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2020年07月10日
チェコ安全?(七月七日)
先週の末ぐらいから、患者数が増え続けるチェコを危険国指定して、チェコ人の入国に制限をつけようとしていたスロベニアだが、その規制が実際に適用されてから、わずか一日、二日で撤回された。チェコの感染者数の動向は、スロベニアの独自基準を越えて続けているのは確かなので、撤回に至ったのは両国間の直接交渉によるものと思われる。
実は、チェコ人たちの最大のバカンスの目的地であるクロアチアも独自基準を設けており、チェコの新規の感染者数はその基準も超えているらしいのだが、クロアチアの場合には数だけではなく、他にもいくつかの項目が設定されていることで、チェコが安全国リストから除外されることはなかったらしい。はたから見ていると、クロアチア側がチェコからの観光客を逃したくないと考えているようにも見える。
スロベニアに追随してチェコを危険国扱いしたのは、キプロスとバルト三国のうちのエストニアともう一カ国だけで、それに続く国はなかった。おそらく、チェコと状況が変わらない、つまり一度は減った新規の感染者の数が、規制の解除と共に再び増えている国が多いのだろう。そして、それは事前に予想されていたことだから、国境を再度閉鎖する理由にはならないのだと考えている。
それはともかく、スロベニアもチェコ側の巨大な集団感染が起こっているカルビナーを含むモラビアシレジア地方以外は、感染者の数はあまり増えていないという説明に納得したのか、チェコ人に対する規制を再度撤廃する際に、モラビアシレジア地方の人は除くという条件をつけた。それで、チェコの外務省は、スロベニアに入国する予定のある人に対して、入国前にモラビアシレジア地方に滞在していなかったという宣誓書を準備しておくように指導している。そんなのうそのつき放題じゃないかと思うのは、チェコ人を知っているからだろうか。
カルビナーの状況については、野党側から政府や厚生省、地方の保健所の対応が遅れたのが最大の問題だという批判が巻き起こっている。先にポーランド側のシレジアの炭鉱で大きな集団感染が起こったことを考えれば、チェコ側で起こるのも予想がついたはずだというのだけど、五月末にカルビナーの炭鉱で最初の感染者が出たときに、そんなことを主張している人はいなかったと記憶する。当時は与野党を問わず、官民問わず規制緩和のスピードを上げることを求める声ばかりだったはずだ。
厚生大臣の発現にもあったが、カルビナーの集団感染の特徴は、無症状、軽症状の人が多いことで、感染者の数が増えているわりには、入院患者や、重症化して集中治療室に入っている患者の数が増えていない。一時期百人を越えて病院のキャパシティが足りるのか心配された重症患者の数は、十人ちょっとで安定している。これは感染したら重症化する可能性が高いとされる高齢者と、持病を抱える人を守ることに成功していると考えてよさそうである。炭鉱で働く人は確か定年も早いし、病気だと仕事できなさそうだから、炭鉱で集団感染が発生したのは不幸中の幸いだったのかもしれない。
この集団感染に巻き込まれて現在チーム全体が隔離状態に置かれているカルビナーのサッカーチームだが、再検査で全員陰性だった場合に、活動を再開できるのは早くとも7月16日になるという。サッカー協会では、延期された追加リーグの残留争いの部の残り2節を何としてでも開催する意向で、無期限延期された試合の日程を決めた。それによると、23日と26日に残りの2節を開催し、29日と8月2日に、入れ替え戦を行うことになるという。今年は比較的涼しいのが救いだけど、これまで以上にタイトなスケジュールである。
もちろん、カルビナーの選手たちの検査で陽性が出た場合には、リーグ戦は最後まで行われない可能性が高くなり、その場合には、以前の決定通り、1部からの降格はなく、2部から優勝チームだけが昇格して、来シーズンは17チームで優勝を争うことになる。また中間の計画もあって、入れ替え戦だけが開催できなかった場合には、2部の1位と2位のチームが昇格して、1部の15位と16位のチームが降格するという。すべては、カルビナーの検査の結果がわかる16日の翌日、17日に行われるリーグの会議で決定されるようだ。
リーグを最後の試合まで開催するための最大の障壁はUEFAが決めた今シーズン終了のデッドラインで、8月2日に設定されているらしい。来シーズンのことを考えると早く終了するに越したことはないのだろうけど……。移籍期間とかシーズン前のキャンプとか、全部ぐちゃぐちゃになっているからなあ。
そういえば、カルビナーには、日本企業のシマノの工場があるんだった。従業員が集団感染に巻き込まれていないことを願おう。
2020年7月8日12時。