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2020年07月07日
チェコ・スロバキア友好杯(七月四日)
テニス界では、ジョコビッチ選手が自ら主催して開催した大会で、自分自身も含めて多くの武漢風邪感染者を出したことで、あちこちから批判をあびている。中には大会を開催したこと自体を責める声もあるようだが、批判されるべきは開催したことではなく、杜撰すぎる体制で開催したことである。当時はすでに、感染が収束に向かいつつあり、スポーツ界では中断したシーズンの再開に向けて動いていた時期で、一部ではすでに再開していたのだから、開催すること自体は問題なかったはずだ。
確か、チェコのテニス界でも、同じぐらいの時期に、テニス協会が中心となって、男女のチェコ人選手を8人ずつ集めて、小さな大会を開催していた。当然無観客で、選手たちにかされた感染対策も厳しいもので、大会から感染者を出さないように細心の注意を払っていた。確か大統領杯と名図蹴られていたこの大会で誰が優勝したかはどうでもいい。大切なのはチェコ国内で再びテニスの大会が行われたということで、その大会が無事に終了したという事実である。
この大会が開催された目的は、恐らく二つある。一つは八月といわれるツアーの再開に向けて、チェコの選手たちに実践の機会を与えることで、もう一つは武漢風邪の流行が完全に終わらない中、大会開催の経験を積むことだろう。チェコのテニス協会は現在WTAとの間で、八月のツアー再開直後にプラハで女子の大会を開く方向で交渉を進めているという。すでに無事に大会を開催したという事実は、その交渉でも有利に働くに違いない。
大統領杯のあとは、女子だけの大会、チャリティーを目的とした大会が開かれた。プラハで第一回が行われた男子テニスのレーバー・カップを真似た形式で、女子の有力選手を、クビトバーとプリーシュコバーを主将にした二つのチームに分けて行われた。一回目がプラハで、二回目はチェコのテニスの聖地プロスチェヨフでの開催だった。プラハでの大会ぐらいから観客を少しずつ入れ始めたのだったのだろうか。いずれにしても国の定めるルールに基づいて観客の数を決めていたはずである。
ちなみに男子の大会が行われなかったのは、次々に若手選手が育って、世界ランキングの100位以内に入る選手が常に十人近くいる女子と違って、男子は二チーム作れるほど有力選手がいないからである。将来を嘱望された左利きのベセリーも期待に応えられないままベテランの域に入りつつあるし、ランキングも一時と比べると大きく落としてしまっている。そのベセリーと引退も近づいているロソルの二人を越える選手が出てこないのが、チェコの男子テニスの最大の問題である。
それはともかく、チェコのテニス協会では、更なる一歩として、スロバキアと組んでチェコ・スロバキア友好杯という大会を今日と明日の二日を使って開催する。両国のデビスカップ、フェドカップの代表が対戦するのである。男子の大会はプラハで、女子の大会はブラチスラバで行われる。初日の今日はシングルス二試合、明日はシングルス二試合とダブルスの三試合が行われることになっている。試合時間が完全に重ならないように、プラハでの男子の試合は午前中に始まり、女子の試合は午後からに予定されている。
チェコテレビでは、ほぼ全試合放送する予定だが、映像の制作はスロバキアの国営放送と共同で行うため、男子の試合の中継画面はチェコ語で表示されていたが、女子の試はスロバキア語が使われていた。当然試合後のインタビュー担当も男子はチェコの、女子はスロバキアのアナウンサーでチェコ語とスロバキア語が飛び交っていた。これもまたチェコとスロバキアの共同プロジェクトであることを印象付けた。
実はプロレベルの大会だけでなく、ジュニアレベルのいくつかのカテゴリーでもチェコとスロバキアの団体戦が行われているようで、チェコとスロバキアという二国の関係が分離した今でも、EUなど及びもつかないレベルで密接なものであることを証明している。この大会もどちらが勝つかというのは二の次三の次で、開催されることに意味のあるものである。今後も毎年行われるなんてことはないだろうなあ。
2020年7月5日12時。