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2019年04月22日

ヤーグル復活(四月廿日)



 チェコのアイスホッケーが誇る英雄といえば、1998年の長野オリンピックで優勝したメンバーになるのだが、中でもドミニク・ハシェクとヤロミール・ヤーグルの二人が別格で、ハシェクも現役生活が長かったけれども、ヤーグルにいたっては47歳の現在もなお現役を続けている。現役とは言っても、アメリカのNHLでもロシアのKHLでも、チェコの一部リーグのエクストラリーガでもなく、チェコの二部リーグで、自らがオーナーを務めるクラドノでだけれども。
 そのクラドノでも、怪我の影響でシーズン初めから欠場を続けていた。だからというわけでもないのだろうけど、クラドノは、もしかしたらオーナーのヤーグルの決定で、代表で一緒にプレーしたことのあるプレカネツを奇妙な契約で獲得していた。奇妙なというのは、クラドノだけでなく、エクストラリーガのブルノでもプレーすることになっていたからで、週代わりなのか、一試合おきなのか、よくわからないけど、両チームの選手として試合に出場していた。

 アイスホッケーは特に興味があるわけではないので、しかも二部リーグのことで、詳しい情報が入ってきたわけではないのだけど、シーズン当初ヤーグルの欠場が続いたころのクラドノは苦戦しているようだった。ただ、二部は15チーム中8位までに入ればプレーオフに進出できるというレギュレーションなので、よほどのことがない限り、エクストラリーガ昇格を目指すチームがプレーオフにも進出できないということはない。
 クラドノも最終的には4位に入ってプレーオフに進出した。一回戦の相手は5位のプシェロフで、二回戦の相手は1位のイフラバで、どちらも4勝1敗でクラドノが勝ち抜けた。このプレーオフではヤーグルも得点を挙げていたけど、一番大活躍したのはプレカネツで、全10戦で、13ポイント(得点+アシスト)も挙げたらしい。

 二部リーグのプレーオフでは決勝は行われず、準決勝で勝った二チームが、エクストラリーガの下の二チームと入れ替えのリーグ戦を行う。それぞれの相手とホーム、アエウェーとも2試合ずつで全部で12節のリーグ戦である。エクストラリーガから入れ替え戦に回ってきたのは、パルドルビツェとホムトフで、ホモウトフは、これも長野オリンピックに出場していたルージチカが監督を務めるチームである。

 クラドノは最初の二試合で対戦したこのエクストラリーガの二チームに連敗したのだけど、ヤーグルの言葉によればそれがよかったらしい。その後は勝ちを重ね、第十節でエクストラリーガへの昇格を決めた。その試合を一人で決めてしまったのがオーナーのヤーグルで、4ゴールも決めたのである。さすがというか何というか。入れ替えリーグの10節終了時点ではヤーグルがもっとも多くポイントを獲得した選手なのだとか。
 オーナーのヤーグルの言葉によれば、クラドノが昇格できたのは、レギュラーシーズンでの優勝は諦めて、二部のプレーオフ、入れ替えのリーグ戦に向けて調子をあげていくような調整をしてきたのが最大の理由だという。単にチームを入れ替えるのではなく、入れ替え戦が行われる以上、そこで勝たないと意味がないのはその通りである。ちなみに降格が決まったホムトフは入れ替えリーグの開始前に、チーム全体がサルモネラの食中毒に襲われて、肝心なところで必要になる体力が失われていたのが最大の敗因だという。

 これで、クラドノのエクストラリーガ復帰は確定だけれども、それがそのままヤーグルのエクストラリーガ復帰にはつながらないようだ。ヤーグルは現時点ではすべては未定だと言っているけれども、怪我さえなければまだまだエクストラリーガでも十分通用するはずである。もしかしたらNHL復帰を狙っているのかもしれないけどさ。

 このまま50歳ぐらいまで現役生活を続けていると、次の大統領選挙が行なわれる年になる。ヤーグル大統領というのも悪くない気がする。少なくとも噂されるクラウス元大統領が再出馬して当選するよりははるかにましである。ということで合言葉は「ヤーグル・ナ・フラット」である。
2019年4月21日23時50分。


 





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マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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