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2019年04月12日

オロモウツ観光散歩ルート1(四月十日)



 昨日オロモウツに来られた方が、午後は時間が空くと仰るので、こちらも時間の調整のしやすい仕事だし、一時過ぎから昼食に出かけて、その後町の案内をすることにした。せっかくオロモウツまで足を延ばしてくれたのである。洗脳してオロモウツ好きになって帰ってもらわねばなるまい。問題はどういうルートで、見せたい場所を案内するかである。ということで、実際に昨日案内したのとは違うけれども、理想的に近いルートを想定してみよう。地図は例えばここを参照。

 始まりは当然、旧市街のホルニー広場からである。天文時計でがっかりして終わるというのも捨てがたいから、ホルニー広場で終わるという手もあるのだが、12時きっかりに戻ってくるような時間の調整が難しいから、12時に天文時計の前からスタートするスケジュールにするのが望ましい。少し早めに到着したら、世界遺産の聖三位一体の碑や、天文時計の前にある昔のオロモウツの街を再現したモデルやヘラクレスの噴水を見てから天文時計の前に移動する。
 残念なことに、現在オロモウツの市庁舎は改修中で、周囲に足場が組まれていて、塔の上の部分の解体作業が続いているのだが、天文時計だけはおおわれていないから、人形とニワトリの動きはみられるはずである。ただ下の天文時計の本体は見にくくなっていて、いつもよりがっかりドが高まっているかもしれない。

 天文時計とその前の聖三位一体の碑や噴水を見たら、塔のある方から市庁舎の裏側に向かおう。二つ目の噴水が目に入ってくるはずである。これがオロモウツの伝説上の建設者シーザー、別名カエサルの噴水である。シーザーが顔を向けているほうの丘の上でローマ軍団の駐屯地の遺跡が発掘されたなんて蘊蓄を垂れてもいい。
 シーザーの噴水のある広場の角のところには、マーラーという名の喫茶店があって、これは作曲家のグスタフ・マーラーにちなんでいる。マーラーと細い通りを挟んで反対側の建物、広場からはちょっと引っ込んだ、魚の紋章のついた建物がマーラーが住んでいたと言われる家である。案内するのがマーラーファンなら、喫茶店マーラーか、マーラの住んでいた建物に入っているお店で一服するのも手である。

 マーラーつながりで市庁舎の裏を通って広場の反対側に向かおう。オロモウツで7つ目の噴水、例外的にブロンズ製のアリオンの噴水の先に、マーラーが仕事をしていたモラビア劇場の建物が目に入ってくる。多少の値段の高さをいとわないのなら、その隣の建物のモラビア・レストランで食事をとるもいい。なかなか雰囲気のいいお店である。以前は高そうで敬遠していたのだけど、予想していたほどは高くなかった。
 反対側に入っているカフェ・オペラは、昔々第一次共和国時代にも有名な喫茶店が入っていたところらしいから、昔をしのべるかもしれない。どうだったかなあ。ひところの自転車店よりは確実にしのべるけど、モラビア・レストランのような凝った内装ではなかったかもしれない。アリオンの噴水の脇にはカメがあって、その近くには最近できた、水が出るらしい地面から突き出した円柱についている蛇口もある。ただここの水が飲めるのかどうかは知らない。

 市庁舎が改修中でなければ、中庭には入れるのだが、現在は市庁舎の建物の中に入ろうと思ったら、ツェーザル(シーザーのこと)という名前のレストランに入るしかない。レストランで食事するだけでなくトイレにも行くと、建物の中がもう少し見られる。ガラス張りのドアが開いていれば、上の階にあるホールまで行けるのだけど、開いていないだろうなあ。
 これで、ホルニー広場で見るべきものはすべて見たことになる。これからどちらに向かうかだが、坂を上って下の広場に行ってもいいのだが、一筆書きでオロモウツの見るべき場所を一周するには、アリオンの噴水から一番近い通りに入っていくほうがいい。この通りの右側にキキリキという鶏の鳴き声を名前にしている鶏肉料理専門のレストランがあるのは、指摘しておこう。

 通りがトラム通に突き当たるところで止まろう。横断歩道を渡ってまっすぐ行くと、展示会会場のフローラにつくのだが、今回の散歩コースには関係ない。右手前方に見える立派な建物が、地方裁判所である。これはイギリスのスコットランドヤードの建物を模したものだと言われているので、案内する人の中にイギリス好きがいたら感想を聞くのを忘れてはいけない。
 裁判所の二軒ぐらい隣の建物が、珍しく赤レンガで建てられた教会のような建物で、本来は教会として建てられたのだが、現在では隣にある図書館の書庫として使われている。もし、信じてくれない人がいる場合には、近くにまで行って教会の窓を見上げると、本棚の棚があるのが見えることを指摘しておこう。

 交差点の左手手前には、大きな城壁の残骸が残っている。かつては兵舎としても使われていたので、厚い壁の内部には飲食店がいくつか入っている。壁の切れ目のところから半地下に入っていくのは喫茶店で、その市内側の隣の階段を上っていくとレストランがあるらしい。改修が終わってきれいになっているので、壁の上に上って上から辺りを見下ろすのも悪くない。
 その後は壁の外側を通っても、内側を通ってもいいのだが、ここは内側を通ろう。チェコ語を勉強していたころに学生たちに連れられていったことのあるキャプテン・モルガンというピザ屋(学生がよく行くのは国際学生証があれば二枚目がただになるというサービスをやっていたからである)を初め二つ三つレストランか飲み屋を越えると、城壁に穴が開いていて外側に出られる通路があるはずだ。半地下の短い通路を通って城壁の外側に出るとトラムの通る大通りである。ここで、この現在はトラムが通っている大通りが、かつてオロモウツが城塞都市だったときには、川が流れていてお堀の役割を果たしていたことを説明しておこう。
 左手前方に、テレジア門と呼ばれるマリア・テレジアにちなんで名前が付けられた門の残骸が見えてくる。城壁の中に入っているアイリッシュパブの入り口の前まで行って、門のほうを向くと、城壁に開いている穴、つまりアイリッシュパブの入り口の穴と、テレジア門の真ん中の穴が対応していいることが見て取れる。そうすると堀に橋が渡されていて、ここから要塞都市への出入りができていたことが想像できるはずである。

 テレジア門の左手は、現在では駐車場になっているのだが、ここにはかつてシナゴーグがあった。第二次世界大戦中にナチスによって破壊されたのだが、他の多くの町とは違って再建されることがなかったのである。駐車場の奥に見える白い大きな建物は、ドイツ騎士団の経営するギムナジウムだから、世界史好きの人の説明すると喜んでもらえるかもしれない。また、テレジア門の外側には、オロモウツが城塞都市としての地位を失うまでは、見晴らしを確保するために建築物はもちろん木も存在することが許されなかったという話はここでしておこうか。
 城壁が残っているのはほんの一角だけで、残っている部分の反対側の終わりは、城壁の上にさらに建物が継ぎ足された感じになっていて、兵舎が足りなくなって収容人数を増やすための対策だったのかななんてことを考えさせる。とまれみょうちくりんなアートの描かれた城壁の切れ目のところを左に曲がって、旧市街、具体的にはドルニー広場に向かおう。
 ちょっと疲れたのでここらで球形を入れるのも悪くないかな。
2019年4月11日23時。




オロモウツ( Olomouc )都市チェコ共和国金フラグ Cufflinks 刻まれたボックス












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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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