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2018年03月28日

国民芸術家続(三月廿五日) 



 ふどばさんのコメントで存在を思い出した「národní umělec」と「zasloužilý umělec」について記事を書いたら、知り合いにこの称号を持つ方がいるというななしさんからコメントを頂いた。結構ネガティブなイメージを持っていたのだけれども、実際に受賞された方々の中にはそれを誇りに思っている方もいるという話を読んで、チェコスロバキアの共産党政権というものの評価の難しさを改めて思い知らされた。

 一般には共産党=悪で、共産党員だった人や、秘密警察の協力者だった人も批判の対象になることが多く、今でも信仰を捨てず共産党員だという人以外は過去を隠していることが多い。熱心に活動していた人でも、共産党員だったことがわかると、あれはキャリアのために仕方がなかったんだという言い訳をする。たしかに、昔師匠から、英語を大学で勉強したかったけど、母親が農場の国有化の際にあれこれもめたせいで認められず、共産党に入党すればと言われて心が動いたと言っていたことがあるし、そういう面もあったのだろう。
 しかし、それとは別に、自分の意思で、共産党政権の内部に入って守るべきものを守ろうとした人たちもいるらしいのだ。以前もちょっとふれたけれども、共産党時代のコメンスキー研究者の代表的な存在と見られている学者は、その学説があまりにも共産党よりで現在では強く批判され評価も低くなってしまっているのだが、このブログの主役の一人H先生の評価は全く違っている。

 あの時代、共産党に支配された学界の内部でああいう学説になるのは仕方がなかったのだという。そして何よりも大切なのは、その学者が存在してチェコのコメンスキー学界の頂点に君臨してある程度共産党に都合のいい説を発表することで、チェコスロバキアのコメンスキー研究を守ったことだという。H先生は、仮にあの人が共産党の内部でああいう活動をしていなかったら、チェコスロバキアのコメンスキー研究は壊滅していた可能性もあるのだと仰っていた。
 H先生自身は、共産党政権に対しては反対の立場を崩さず、研究を続け論文を発表するのにも、本を出版するのにも苦労し、博士の学位はブラチスラバの大学の先生の好意で半ば秘密に取らなければならなかったというけれども、先生が秘密でとはいえ研究を続けられたのも、共産党政権の内部で信を枉げてまで活動していた学者達のおかげなのだろう。H先生に博士号をとるチャンスを与えた教授もその一人で、H先生の学位の件で処罰を受けかねなかったのだという。

 こんなことを考えると、「národní umělec」と「zasloužilý umělec」なんかを管轄していた共産党政権の文化行政の担当者の中にも、そういう内部から文化を守ろうとした人がいたのだろうと思われてくる。だから、共産党を嫌いつつ称号を誇りに思っている老芸術家達は、共産党政権に叙勲されたことではなく、政権内部で文化を守るために奮闘していた担当者に、共産党政権にふさわしい芸術家ではなく、チェコスロバキアを代表する芸術家として認められたことを誇りに思っているのだと考えておきたい。
 もちろん、ここに書いたことは単なる憶測に過ぎないのだけど、共産党政権の時代のことはあしざまに振り返るのに、当時の文化、映画やテレビドラマなどについては、多少の共産党臭があるものも含めて愛してやまないチェコ人たちを見ていると、あながち間違ってはいないような気がする。

 ついでに秘密警察への協力者についても一言しておけば、協力者として登録され監視された人物の情報を秘密警察に提供していた人たちの中にも、積極的にすべての情報を上げてくる協力者と、当たり障りのない情報しかあげてこないやる気のない協力者がいたらしい。この件に関しては、一番重要な協力者の名簿は革命直後に処分されたという話もあるし、名簿に載っているのは本名ではなくコードネームらしいし、チェコ史の闇の一つになってしまっている。
 全貌が明かされることはないだろうけれども、秘密警察と非積極的協力者の間の虚虚実実の駆け引きがあったとすれば、小説とか映画なんかの面白い題材になりそうである。誰か書いてくれんかなあ。できれば日本語読みたいものである。
2018年3月25日24時。





 検索したらこんなのが出てきた。3月27日追記。

チェコスロバキア社会主義共和国 『社会主義労働勲章』






posted by olomoučan at 05:51| Comment(0) | TrackBack(0) | チェコ
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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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