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2022年02月25日
ワクチン接種三回目1
先週一週間、更新が滞ってしまったのは、先々週の金曜日に受けた、新型コロナウイルスに対するワクチンの三回目の接種の後遺症のせいである。接種後の副作用自体はそれほど酷くはなかったのだが、疲労感というか、体全体のだるさが中々抜けず、PCの画面を見ていると、頭痛がし始めるという状態で、普通の仕事をこなすために使用時間を大幅に制限する必要があったのである。酷い風邪やインフルエンザで高熱が出た後も、似たような状態になることはあるけれども、一週間も続くのは珍しい。そうなると感染を完全に防ぐわけでもないワクチンの接種を受けたのは、よかったのか、悪かったのか、悩ましいところである。
そもそも、当初必要とされた二回の接種を完了した去年の八月半ばの時点で、最初に接種を受けた医療関係者や高齢者は、接種から六か月以上たったということで既に三回目の接種が始まっており、自分も三回目を受けるのは規定路線ではあった。二回目から六ヵ月後は二月の中旬で、仕事が忙しくなり始める時期と重なるのが不安だったが、金曜日に打って週末静養すれば、何とかなるだろうと考えて、接種を受けるつもりだった。
特に、九月以降、規制が強化される中、ワクチン接種済みの人に関しては、例外的に規制の対象外にするという優遇を受けられるようになった時点では、ワクチン接種を受けてよかったと思えたし、その後、優遇の条件が三回目の接種を済ませていることに変わるのではないかと予想され、実際に、日本人がチェコに入国する際に、日本の自治体で発行されたワクチン接種証明書がチェコでも有効になり入国後に隔離の必要がなくなったときの条件は、二回目ではなく、三回目の接種が終了していることだった。
だから、三回目の接種が、二回目から五カ月後、つまり一月半ばの仕事が比較的忙しくない時期から受けられるようになったこともあって、去年の十二月半ばまでは、断じて喜々としてではないが、接種を受けるつもりではいたのだ。接種会場が増えて、自宅や職場の近くでも受けられるようになっていたのも、その決定を後押しした。
風向きが変わったのは、昨年末にフィアラ内閣が成立し新たな厚生大臣が就任した後のことである。この大臣、オミクロン株の流行が急速に拡大していることに対する対策として、学校だけではなく企業や官庁などで働く人たちにも、毎週二回の検査を義務付けることを発表したのである。しかも、その検査の対象からは、ワクチン接種済み、三回目の接種を済ませた人も除外しないというのである。
その結果、昨年の秋以降再び増加に転じていた一日あたりのワクチン接種回数が減少することになった。多くの人は、ワクチンによる感染防止のためではなく、検査などの面倒ごとを避けるために接種を受けているのだから、陰謀論など関係なく当然の結果である。結局、ワクチン接種数を増やすことよりも、検査を増やして感染者を把握して隔離させること優先した上での決定だろうと理解したのだが、厚生大臣が政府の最優先課題はワクチン接種だと発言して、接種者が増えないこと批判していたのは意味不明である。
職場での定期的な検査以外のワクチン接種者に対する優遇は残ったが、レストランやプールなんかを利用できると言われても、レストランなんか日本から知り合いがオロモウツに来たときぐらいしか行かないから、誰も来られない現状では意味がないし、プールなんてもう二十年近く利用していない。その点は、スポーツイベントや劇場、コンサートなんかも同様である。
さらに、一月の前半に三回目の接種を受けたうちのが、一回目と二回目は何事もなかったようにけろっとしていたのに、今回は副作用で熱を出して寝込み、熱が引いた後もリンパが腫れるなどしばらく体調不良を訴えていたのも、接種に積極的になれなかった理由である。これまでよりも副作用が強く出るとなると、感染のリスクの低い生活を続けている中でわざわざ苦しい思いをしてまで接種を受ける必要があるのか疑問だった。
結局は、一月の後半になって、例によって夜中の思考力の落ちた時間帯に、発作的に接種を受けることにして、予約システムに登録をして接種の予約をしたのだが、当日までの二週間ほどの間、キャンセルするかどうか悩んでしまった。最終的に受けることにしたのは、ワクチンで感染を防ごうとか、他人にうつさないようにようになんて理由ではない。規制の緩和が議題に上がり始める中で、今後、これまで何度かあったように、またまた規制が強化された場合に、三回目の接種を受けていないと優遇の対象にならないことを危惧したからである。正直ワクチンに関しては、信用も期待もしていないのだが、ワクチン接種を受けることで将来の規制において対象から外されるだろうという点については信用しているのである。
2022年2月24日
2021年05月07日
届いた(五月四日)
先月の七日に国会図書館オンラインで発注した雑誌記事のコピーがようやく到着した。申し込みから到着まで一ヶ月弱という期間には特に文句もない。ただ、四月十三日には、発送準備完了で、遅くとも翌日に発送するというメールが来ていたのに、それから三週間以上も時間がかかったのには納得のいかないものがある。日本の郵便局のページだと航空便なら一週間ぐらいで届くことになっているのだが、現在の世界中で厳しい感染症対策がとられ、飛行機の便数自体が減っている現状では、このぐらい時間がかかるのもしかたがないのだろうか。
正直な話、こちらが名前、住所などの登録を間違えたのかもしれないとまで考えたのだが、登録者情報を見ても、漢字の表記だけで、アルファベットを登録したかわからなかったしさ。それで、そろそろ問い合わせのメールを送ろうかと思っていたら、無事に到着した。実際の発送はいつだったのか確認したかったのだが、封筒の全面の消印は、「YAMASHIROKIZU」とあるだけで日付は入っていなかった。
封筒が予想よりも大きかったのは、複写依頼をした雑誌のうちの一つ「教育報知」がB4版だったからで、半分に折って小さめの封筒で送ってくれてもよかったのにと思わなくもない。複写された資料以外にもインボイスの書類とか、料金支払いのための説明書とかあれこれ入っていて、全部で念のためにキッチンの秤で計ってみたら、102グラムになった。日本の郵便局の料金表によれば、100グラムまでは送料400円で、100グラムを越えたら、670円となっているから、恐らく紙一枚、もしくは封筒のサイズのせいで上のカテゴリーになったと言えそうだ。
複写物とインボイスという必要な書類以外にも、何枚も、支払いの方法を説明する紙、クレジットカード払い用の、使っている人がそれほどいるとも思えないファックス用の申請書などが入っていたのだ。こんなのネット上に挙げておいてダウンロードする形にすればいいと思うのだけど。紙の無駄も防げるし。今にして思えば、表紙が目次になっているのともかく、全ての雑誌の表紙の複写を求めたのも失敗だったかもしれない。インターネット公開していないものでも、表紙と奥付だけは公開してくれないものだろうか。著作権上もそんなに問題にはならないと思うのだけど。
インボイスの請求金額だけを見たときに、ちょっと驚いた。一番上に1260円、その下に5260円とあって、たかだか10枚ほどのコピーに、合計7500円も支払うのかと思ってしまったのである。よく見たら、5260円というのは銀行振り込みで支払う場合の金額で、振り込み手数料として4000円が追加されるということのようだった。1260円はクレジットカードで払う場合である。
その内容を見ると、半分以上が郵送料の670円、残りのさらに半分以上が梱包手数料で350円。複写自体への支払いは、1枚24円で10枚の計240円ということになっている。これは少量ずつ注文するよりも、一度に何枚もまとめて複写を依頼したほうがいいようだ。最初から想定していたことではあるけれども、ここまでだとは思っていなかった。次は100枚ぐらいまとめて注文してみようか。何枚までまとめて郵送してくれるのかはわからないけど。
支払いのほうは、銀行の手数料なんか払いたくないので、クレジットカード一択である。ただその手続きがよくわからない。ファックスできない場合には郵送でもいいし、最悪の場合にはファックス用の書類に記入したものをメールで送ってもいいようである。それで記入したら、別の紙にメールで自分の名前とインボイスの番号を送ることでもカードで払えるようになるというようなことが書いてあった。
不親切極まりない説明に、国会図書館もお役所仕事という点では他と変わらないのかと思いそうになったが、国会図書館では複写、発送と集金の業務を外部団体に委託しているようなのである。銀行振り込みの際の振込口座が、日本キリスト教奉仕団という組織の名義になっている。この組織は障害者の自立支援をしている団体のようだけど、旧態依然の書類をわかりやすく作り変えるぐらいのことはしてもいいだろうに。
届いた複写の内容は、期待はずれだったものもあるけれども、これからひとつずつ纏めていくことにする。
2021年4月5日11時。
2019年12月07日
チェコ語について今まで書いてきたこと(十二月四日)
久しぶりにチェコ語について書こうと思ったのだが、はて何か書いていないことはあったかなと首をかしげてしまった。このすでに記事数の1400を越えたブログを最初から最後まで読み通すなんて人はいないだろうし、いたとしても読んでいる途中で忘れてしまうだろうから、部分的な重複を恐れるつもりはないのだが、チェコ語についてテーマを決めて書くと、テーマが重複した場合に内容も一部どころかほぼ完全に重なる可能性が高い。
ということで、これまで書いてきたチェコ語の説明を分類して、ちょっと説明を付けて、リンクを張っておこう。そうすれば、自分が今後チェコ語について書くときにも便利だし、このブログの記事を読んで、チェコ語を勉強しようなんて恐ろしいことを考える人にとっても有用だろう。ついでに、間違いを修正することができたら最高なのだけど、どうなるかな。
今日はその最初ということで、具体的なことはせずに、何を書いたか、思い出せるだけ思い出してみよう。廃品利用などという勿れ。師走に入って、師ならざるとはいえ、気ぜわしい日々が始まってのんびり記事を書いている時間が無くなりつつあるのだ。ただでさえ文章が粗いのだ。ちょっと余裕を作らないと粗すぎて読めないものが出来上がりかねない。以前は全面改修したこともあるけど、そんな時間が取れるとも思えない。
チェコ語の発音に関しては、チェコ人の誇りである「Ř」の発音も含めて書くべきことはすべて書いたと思う。有声子音の無声化、無声子音の有声化なんて、中級以上向けの説明も、どこまでわかってもらえたかどうかはともかく書いたはずだ。ドイツ語の影響による例外的な読み方なんてのも、外来語のチェコ語読みについても、触れた記憶がある。
チェコ語の勉強に役立つかどうかはわからないが、チェコ語の日本語への音写については、事あるごとに、新たな問題に気づくたびに書いている。日本の新聞雑誌に踊るチェコの人名、地名の表記の中にはひどすぎて、元のチェコ語に復元できないものが多々あるのだ。ここに取り上げたことで、日本語の表記とチェコ語の表記が結びつけられたなんて方がいたら嬉しい。
名詞の格変化は、双数も含めて全部取り上げた。国語文法では名詞の一部としてあつかう数詞も説明したはずだ。もしかしたら、分数とか少数は説明していないかもしれない。確認した上で、書くべきことがあるかどうか考えよう。どう読むかを説明してお仕舞という気もするし。
代名詞は、物をさすものも、人を指すものもすでに説明したと思う。所有代名詞はまだかな? チェコ人でも間違える「můj」と「svůj」の使い分けも、まだ説明していなかったような気もする。
形容詞も、人名などの人を表す名詞の単数から作られる所有形容詞も含めて格変化の説明をした。数詞と組み合わせた形まで紹介した気がする。形容詞の比較級、最上級も済んだし、形容詞から副詞を作る方法、副詞の比較級、最上級も説明済みである。形容詞関係でやっていないとすれば、名詞や動詞から形容詞を作る方法ぐらいかな。でも、地名から作る形容詞は、チェコのも日本のももう説明したか。
動詞は、現在人称変化、過去形、命令形、受身形、仮定法はやったと思う。未来形と完了態動詞の現在変化が表わすものについては自信がないので確認が必要。そもそも完了態と不完了態の詳しい説明ってしてたっけ? 素人の説明でわかりやすくなるとは思えないけど、してなかったら、これも追加だな。日本語の観点から考えると使役をどうやって示すかも、一まとめにしておいた方がいいのかな。要検討である。繰り返しを表す動詞なってのもあったなあ。一部を除いて自分では使わない、否使えないものについて書くか。頑張ろう。
それぞれの格の使い方については、前置詞との組み合わせも含めて途中で止まっている気がする。前置詞も全部は説明していないし、何を説明して何をしていないか確認しないと次が書けない。2格、3格、7格は取り上げた気がするけど、4格と6格はまとめては説明していないはずだ。
前置詞と意味が共通することも多い接頭辞についても、一部紹介しただけで、あまりの細かさに、誰がこんなの読むんだろと疑念を持ってしまった結果、途中でやめてしまったのだった。これもどこまでやったのか確認して継続しよう。ネタがつきかけている以上、細かすぎることまで取り上げるしかない。
慣れるまではなかなか大変な語順については、これ以上書くことがないぐらい書いた。残っているとすれば例外的に語順のルールを壊す場合だけど、これチェコ人も感覚でやっているらしいので、説明できない。チェコ人に聞いても、こういうときはいいんだよ、という答えしか返ってこないんだよなあ。大抵は詩とか、歌の歌詞とかである。「芸術」が絡むとルールは忘れられるのである。
このぐらいだろうか。次からそれぞれの項目に関係ありそうな記事を抜き出して、この場合にはここを見よとか、ここにもこれについて書いてあるなんていう記事を作ろう。毎日ではなく、普通の文章が書けないときの穴埋めにする予定である。クリスマス対策とも言わなくはないけど。
2019年12月4日24時。
2018年03月06日
スロバキア政府とイタリア・マフィアの親密な関係(三月三日)
風邪で寝込みつつあった間にスロバキアが結構やばいことになっていた。すでに先週のことになるが、スロバキアの北西部の小さな村で、若手のジャーナリストが婚約者と共に自宅で銃殺されるという事件が起こった。
最初はそれほど大きな騒ぎにはなっていなかったと思うのだが、このジャーナリストが生前取材を続けていた事件についての詳細が明らかになるにつれて、単なる殺人事件ではなく、記事が発表されることによって窮地に追い込まれるグループが雇った殺し屋による殺人事件ではないかと言われるようになっている。
ジャーナリストのヤーン・クツィアク氏が仕事をしていたスロバキアのネット上のメディアによれば、ここ一年半ほど追いかけていたのは、イタリアの南カラブリアに本拠のあるイタリア・マフィアのヌドランゲタと、スロバキア政府の上層部とのつながりらしい。どうも、フィツォ首相周辺の人物がヌドランゲタとつながっていて、さまざまなEUの助成金を詐取するのを支援していたのではないかと言われているのである。
スロバキアも、チェコと同じで政治的に分断が進んでいて、親フィツォと反フィツォの対立が進んでいるのだが、この件でも反フィツォ派が政権の責任を追及して辞任を求めるデモなどを行っている。大統領のキスカ氏も、フィツォ内閣の退陣、もしくは国会を解散しての総選挙の実施を求める発言をして、反フィツォ派に同調した。事件が必要以上に政治化して、解決が困難になりそうな予感もある。
フィツォ首相が、犯人逮捕につながる情報に賞金を出すと言って、記者会見の際に脇に置かれたテーブルの上に札束を積み上げたのも茶番だったけれども、事件の全貌が明らかにならないうちから首相の責任を言い立てて辞任を求めるのも短絡すぎる。穏当な方針で犯人逮捕、および背後関係を明らかにできるような捜査体制を確立してもらいたいところである。
すでにこの件で疑惑の舞台となった東スロバキアに居住するイタリア系のヌドランゲタの関係者と見られる人たちが何人か逮捕されている。これがトカゲの尻尾きりにならないことを願う限りなのだが、スロバキアのヌドランゲタの触手はチェコにまで伸びているようで、逮捕された中心人物の一人がチェコの会社を買収して企業活動を始めようとしていたらしい。これがチェコの政界にも根を生やしつつあるということになれば話はできすぎなのだけど、現時点ではそこまでの情報はない。
ただ、スロバキアでの補助金の詐取、農場の近代化のための補助金を申請して補助金を受領したはずの農場が何の改修も受けておらず、補助金が何に使われたのかもわからない、いやそれ以前に、当の農場関係者が補助金の申請がなされていたことも知らない場合があるというのと同じような事例はすでにチェコでも発生しているらしいし、何らかのつながりがあってもおかしくはないのかもしれない。
今日はこれ以上は無理なので、短いけどお仕舞い。しばしリハビリが続く。
2018年3月6日14時。
2017年12月25日
バビシュ内閣成立(十二月廿二日)
スポーツ、特にハンドボールにかまけている間に、チェコでは十月の下院の総選挙以来二ヶ月弱のときを経て、新しい内閣が成立したらしい。選挙で第一党になったANOの党首であるバビシュ氏にゼマン大統領が組閣の命令を出して、バビシュ氏が大臣を選んでいるのは知っていたし、他党との連立の交渉がうまく行かず、交渉自体をしていない可能性もあるけど、ANO単独で少数与党として政権を運営していく道を選んだことも知っていた。
だから、内閣が成立したこと自体は意外でも何でもないのだけど、意外なのはいつまでたっても国会で内閣を信任するかどうかの採決が行なわれないことである。内閣の信任投票はそっちのけにして、来年度の予算の審議を進めている。この予算案は、もともとソボトカ内閣時代に作成されて、解散前の議会で審議されていたはずだから、今更審議しても仕方がないと言うか、選挙の前に成立させておくべきだったのではないかという気もする。選挙がない年でも、審議に時間がかかりすぎて年内に成立せず、暫定予算で新年度を始めるなんてこともあるのかな。
日本の場合には、正確には覚えていないけれども、衆議院の総選挙が行なわれた後の最初の招集で首班指名のための選挙が行われるんじゃなかったか。その後、組閣作業を経て、天皇による任命という経過をたどることになっているはずである。組閣が終わった後の内閣への信任投票は行われないと記憶している。首班指名の投票の時点で、首相候補者が過半数を確保しているわけだから、その首相候補者の組閣した内閣に対して、わざわざ信任投票をするまでもないということであろう。
チェコの場合には、首班指名は国会の選挙によるものではなく、大統領の指名に基づくため、指名された時点で、国会内に過半数の支持を確保しているという保証はない。だから、改めて信任を得るための投票が必要になるのだろう。不思議なのは、大統領による首相と閣僚の任命が、その信任投票の前にあることである。
現在のバビシュ内閣は、少数与党のANOの単独政権である。他の政党の動きを見ていると、国会で信任されるとは思えない。信任されなかった場合には、組閣のやり直しということになるのだが、それが大統領に任命された内閣の総辞職という扱いになるのか、信任が得られなかったことで、任命が無効になるのかはわからない。過去に総辞職した内閣の閣僚が、新しい内閣が決まるまで辞任手続き中の大臣とかいうややこしい名目で仕事をしていたことがあるような気もするから前者かな。
とまれ、信任を得られなかった場合、再び大統領が首班指名を行なう。一回目の指名と同じ人物を選んでもいいし、別な党の党首を選んでもかまわないらしい。この前、最初の組閣で信任をえられなかったミレク・トポラーネク氏の場合には、二回目の指名を受けて組閣をやりなおし(閣僚に変化があったかどうかは知らない)、当時政界を引退していたゼマン大統領の支持で社会民主党の議員が何人か投票に参加しなかったことで、辛うじて信任を得られたといわれている。
それを考えると、今回も二回目の首班指名が一回目と同様にバビシュ氏に降りることは、ゼマン大統領が大統領である限り、間違いない。二回目の信任投票で、共産党とオカムラ党の支持を得てバビシュ氏が信任をえるというのが、個人的に想定しているシナリオなのだが、二回目でも信任を得られなかった場合には、三回目の首班指名が行なわれる。この三回目の首班指名を行うのは、大統領ではなく、下院の議長ということになっているらしい。だから、選挙直後に市民民主党が、最大の会派から議長を出すという慣例を破って、議長の座を強硬に求めていたのである。
ANOの議員が議長になっているので、三回目の首班指名もバビシュ氏に降りるのはほぼ決定的である。だからと言って信任されるとは限らないのが、困ったところで、この三回目の試みも失敗に終わった場合には、下院を解散して、再び総選挙が行なわれることになる。こういう事態になると、現状では不満はバビシュ氏側ではなく、かたくなにバビシュ氏を拒否している既存の政党に向かうような気がするが、どうだろうか。
10月の選挙で、ANOが圧勝したけれども過半数には届かないという微妙な結果に終わった時点から、この再選挙の恐れというものは認識されていて、ゼマン大統領が信任を得ない内閣が、今回の下院の任期期間存続してもいいじゃないかと言い出した。不信任案が可決されたり、信任案が否決されたりして、辞職した内閣が、次の内閣が決まるまで辞任中という状態で政権を担当することがあるのだから、その期間が延びただけと解釈すればいいだろうというのだけど、これには当のバビシュ氏からも反対論が出た。
現時点では、バビシュ氏であれ、他の誰であれ、組閣して信任を確実に得られるという候補者は存在しない。だから総選挙を避けるという意味では、ゼマン氏の主張も現実的ではあるのだけど、民主主義の原則に反するという反対論が強いので、実現することはないだろう。だから三回目のバビシュ内閣も信任を得られなかったら、再選挙が行なわれるのは確実である。それにしても、以前は下院は解散できるのかできないのかでもめていたのに、いつの間にか、解散できることが前提になっていることに少々驚いてしまう。
本当は内閣が成立したら、大臣の紹介をするつもりだったのだけど、長続きしない可能性が高いので、国会で信任を得られてから紹介することにする。
2017年12月22日23時。
2017年08月02日
帰ってきたロシツキー(七月卅日)
七月廿八日金曜日に、今シーズンからヘット・リーガと名前を変えたチェコサッカーの一部リーグが開幕した。開幕しただけなら、最近サッカーねたが続いているので、わざわざ書くつもりはなかったのだけど、ロシツキーさまが、あのここ二年間相次ぐ怪我でろくに試合に出ていないチェコサッカー界の希望の星トマーシュ・ロシツキーが、ほぼ一年ぶりに試合に出場したというのだ。試合の映像を見ていないので、どんなプレー振りだったなんてことは書けないにしても、一文物しておかなければ後悔するというのものである。
今シーズンの開幕戦は、ブルノ対バニークのモラビアダービー(バニークが本拠地をシレジア側のバザリから、モラビア側のビートコビツェのスタジアムに移した以上そう呼んで問題はあるまい)だった。ブルノには去年から元代表のポラークが復帰しているし、バニークには元代表のエース、バロシュが、二度目の復帰を果たしている。元代表の中心選手対決でもあるのだ。
昇格したばかりのバニークは、開幕直前に守備の要だったザーポトチニーとの関係がこじれ、契約解除に至り、直前の親善試合では守備が崩壊して大惨敗を喫していたので、この試合もブルノが有利だろうと思っていたのだが、二部のズノイモから移ってきた新監督のクチェラが見事に立て直してきた。大口叩き系の監督のハバネツが率いるブルノが情けなかったという話もあるのだが、新シーズンの開幕最初のゴールを決めたのもバニークで、最初の試合に勝ったのもバニークだった。
バロシュは後半途中から日本人の耳に優しい名字のシャシンカに代わって出場し、復帰した初戦でゴールまで決めてしまった。そのゴールもあってバニークが3−1で勝利した。オロモウツ的には、長年オロモウツの守備を支えてきたシンデラーシュが、出場していたのが印象的たった。
チャンピオンズリーグの予選で二度のリードを守れなかったプルゼニュは、土曜日にドゥクラを迎えての開幕戦に臨んだ。ブルバのチームの特徴の一つとして、無駄に選手を増やさないというのがある。国内リーグと、ヨーロッパのカップ戦とで厳しいスケジュールになっても、ある程度固定されたメンバーでやりくりするのだ。この試合も、火曜日の試合と先発メンバーはほとんど同じだった。
火曜日は出場停止だったヘイダが復帰して得点を決め、怪我で欠場かと思っていたホジャバも元気に出場して得点したから、プルゼニュでのFCSB戦では活躍を期待しよう。フロショフスキーとクルメンチークのゴールもあって4−0でプルゼニュが勝った。相手がドゥクラとはいえ完封したのは守備陣にとっては自信になるかな。
スラビアは昨シーズンの後半、つまり今年の春は絶好調だったテプリツェをエデンに迎え撃った。スラビアのシルハビーは、ブルバとは対照的に、中盤から前の選手をごっそり入れ替えてきた。そのせいもあってか、あまり褒められた内容の試合ではなかったらしい。誤審でもらったPKを新戦力のアルティントップが決めた一点しかとれなかったが、何とか1−0で勝利。今年の春から導入されるされるというビデオ判定が導入されていれば……というのがテプリツェ側の心情だろうか。
監督のシルハビーは、どんな形でも勝ちは勝ちで、失点しなかったことも含めて、ベラルーシでのボリソフ戦に向けて勢いがつくと正直に評価していた。それに対して、オーナーを務める中華資本の代弁者トブルディークは、こんな勝ち方は望まないとかツイッターでかっこつけていたらしいが、こいつの言うことを真に受ける人っているのかね。サッカー界を離れてとっとと政治の世界に戻ってほしいものである。
ヨーロッパリーグの予選で勝利したボレスラフは、一部に復帰したオロモウツをホームに迎えての開幕戦だった。この試合にも勝ってアルバニアでの試合に弾みをつけたかったところだろうけど、前回一部に復帰したときのオロモウツとは違った。
前回はあれこれ中途半端なベテランを補強してわけのわからないことになっていたオロモウツだが、今年は二部でダントツの成績で優勝したチームのメンバーがほとんどそのまま残っている。この試合でも、昨シーズンの二部でホリーと二人で圧倒的な得点力を発揮したファルタが二ゴール決めて、ボレスラフの反撃を一点に抑えて、バニークとともに復帰戦を勝利で飾った。
ボレスラフとしては敗戦も痛かっただろうけど、ここまで公式戦三戦連発だったフラモスタが得点できなかったのも痛そうである。このまま止まってしまうのか、また次の試合から得点を重ねていくのか、ボレスラフのヨーロッパリーグ本戦進出は、そこにかかっていると言ってもいい。
第一節の最後に行われたのが、スパルタとボヘミアンズのプラハ小ダービーである。新しい選手が多すぎてまだまだチームの体をなしていない感のあるスパルタは、この試合もあまりいいところがなかったようである。監督はベオグラードでの試合よりはずっとましだったと評価していたが、対戦相手を考えると、これでましなんて言ってもらっては困る。
前半に先発したイスラエル代表のベンハイムがもらったPKをラファタが決めて先制したものの、追加点を奪うことができずに、後半終了間際にキーパーのドゥーブラフカのミスから失点して、同点に追いつかれそのまま引き分けに終わってしまった。
チェフ、バツリークに次いで、U21からA代表に呼ばれるようになったスパルタのキーパー、コウベクが伸び悩んでいて不安定なプレーに終始して大事な試合に使えないのが困ったところである。バーハの影響をもろに受けているからなあ。次の若手の有望なキーパーを確保するべきかもしれない。代役がドゥーブラフカというのもなあ。かつてのブラジェクぐらいの選手はいないのか。一時ポジションを掴んでいたビチークも最近ぱっとしないし。
ポジティブなのはもうロシツキーが、久しぶりに、本当に久しぶりに出場したことぐらいである。ただ、昨年のEURO2016で復帰を果たしたときでさえ、ブランクからか、かつてのプレーの片鱗しか見せてくれなかった。試合勘を取り戻して完全復活する前に再び怪我をしてリハビリの生活に入らざるを得なかったのだ。今回も復帰直後からかつての輝きを期待するのは無理というものであろう。この試合でも活躍と言えるほどの活躍はできなかったらしいし。
しかし、それでも、そんなことは十分以上に理解した上で、ロシツキーには期待してしまうのだ。ヤンコに、オーストリアのコレルと呼ばれるのに多少なりともふさわしい部分があるのであれば、ロシツキーとのコンビで得点を量産してくれはすまいか。コレルよりもバロシュに近い印象のラファタより、ヤンコのほうがロシツキーとはかみ合うんじゃないかなんてことを、いやヤンコだけでなく他の新戦力の各国代表の選手たちがロシツキーの指揮の下で躍動し、ばらばらだった攻撃も一本芯の通った連続性のあるものに変わるんじゃないかなんてことを妄想してしまう。
ロシツキーに無理はしてほしくない。でもロシツキーが出れば敗勢濃厚なヨーロッパリーグの予選もひっくり返せるかもしれない。ロシツキーが怪我がちになってからチェコ代表を応援する際に感じさせられたジレンマを、またスパルタで感じさせられるとは……。木曜日の試合にロシツキーが出るか出ないか、大げさに言えば戦々恐々として待ち受けることにする。
他の試合で気になるのは、ヨーロッパリーグに本戦に向けて、地味ながらも大幅に選手を補強したズリーンがリベレツに負けてしまったことである。リベレツが強くて上位を争いそうなこと自体はいいことなんだけど、ズリーンがヨーロッパリーグでボロ負けというのは避けてほしいところである。
7月31日17時。
2016年11月02日
チェコ語・日本語辞典
チェコ語を勉強している人に朗報である。我が愛用の教科書『チェコ語初級』の著者、石川達夫先生が編集中の『チェコ語・日本語辞典』デジタル版の完成が近づいているらしい。発売予定は二年後の2018年10月28日、つまりチェコスロバキア独立百周年の記念日に、この大部の辞書が世に出ることになる。
それに先立って、語数が制限された無料試用版が、今年のチェコスロバキア独立記念日に公開された。チェコ語で苦労している人は、一部だけとはいえ、役に立つのは確実なので、以下のアドレスからダウンロードして使用するといいだろう。気に入ったら二年後に正規版を購入して、書籍版も発行されたら購入しよう。
アドレスはこれ。リンクにすると目立たないので、じかに記す
http://czechdicjp.jimdo.com
現在まで日本語で使えるチェコ語の辞書といえば、京産大で出版され、大学書林で再刊されたものが、ほとんど唯一のものだったのだが、タイプとしては小辞典で収録語数、用例に制限があって、大辞典が待望されていたのだ。東京外語大周辺で、編集の企画があるとかないとかうわさになったことはあるけれども、一向に実現に向かうことはなかった。
そんな中で、編集に乗り出した石川先生には、チェコ語を学んできたものとして足を向けて寝られなくなるような思いがする。正規版が完成するのが待ち遠しくてならない。
2016年02月24日
広報活動
このブログでは常に表示されるようになっているチェコの作家アロイス・イラーセクの『チェコの伝説と歴史』を訳した浦井康男氏が、『暗黒』というチェコの十八世紀後半の歴史を描いた歴史小説の出版のためにクラウド・ファンディングというものをしているということを聞いて、期限が迫っているけれども、お手伝いとしてこのブログでも広報しようと思う。
詳細は浦井氏の解説に譲るが、再カトリック化の進められたこの時代はチェコ史の中でもなかなかとりあつかわれない、あつかいにくい時代で、研究者ではない我々のような素人にとっては、よくわからない、それこそ『暗黒』の時代のように思ってしまう。その時代を実感するために『暗黒』のような歴史小説は非常に有用であろう。私自身もぜひ読んでみたいと思っている。日本史の教科書よりも、歴史小説やゲームで日本の歴史を、歴史的な知識や物の見方を身につけた人も多いはずである。
ぜひ以下のページをご覧いただきたい。
https://readyfor.jp/projects/temno
こんな読者のいないブログで広報しても何の足しにもならないのかもしれないが、何かしたかったということで。
詳細は浦井氏の解説に譲るが、再カトリック化の進められたこの時代はチェコ史の中でもなかなかとりあつかわれない、あつかいにくい時代で、研究者ではない我々のような素人にとっては、よくわからない、それこそ『暗黒』の時代のように思ってしまう。その時代を実感するために『暗黒』のような歴史小説は非常に有用であろう。私自身もぜひ読んでみたいと思っている。日本史の教科書よりも、歴史小説やゲームで日本の歴史を、歴史的な知識や物の見方を身につけた人も多いはずである。
ぜひ以下のページをご覧いただきたい。
https://readyfor.jp/projects/temno
こんな読者のいないブログで広報しても何の足しにもならないのかもしれないが、何かしたかったということで。
2月24日15時