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2018年06月03日

スラビア=スパルタ(六月三日)



 チェコ第二のサッカーチーム、スラビア・プラハの現在のオーナーは、CEFCとかいう中国の投資会社である。この会社は派手好きの中国資本らしく、チェコ国内で多大な投資を行ってさまざまな企業を買収しているのだが、その派手好きの象徴が、スラビア・プラハと其の本拠地のエデンのスタジアムである。
 スラビアの外資系のオーナー企業というと、10年ほど前までイギリスのENIC社がオーナーだったのだが、この会社、買収したときにはチームに対して多額の投資、特にエデンのスタジアムの建て替えを約束しておきながら、スラビアから選手をイングランドに連れていくぐらいのことしかせず、ファンの反感を買っていたのだが、中国資本は、同じく派手好きの元防衛大臣トブルディーク氏を代理人に立てて、昨年の夏以来スラビアに対しても多額の資金を投入していた。その多額の投資がスパルタの場合と同様に期待通りの結果をもたらしたとは言えないのはともかく、それらの投資の多くを借金で賄っていたというのが今回の問題につながるのである。

 借金自体は、政治的な問題が起こらなければどうにでもなったのだろうけれども、ことは中国の企業である。今年の初めに、ゼマン大統領の相談役にも任命されていた中国のCEFCの本体の社長が逮捕されたことでおかしくなった。経済事件で逮捕されたのか、党の意向に反したということで粛清されたのかは不明だが、連絡がつかなくなったらしい。大統領府でも確認のために特使を中国に派遣したんじゃなかったかな。
 ボス不在の混乱の中で資金切れを起こしたのか、親会社となった政府系の金融会社が出し惜しみをしたのか、CEFCは期限を迎えた借金を返済することができなかったらしい。問題は借金をしていた相手がチェコのJ&Tバンカという投資会社だったということである。実はこの会社、スラビアのライバルであるスパルタ・プラハのオーナー企業なのである。

 トブルディークお得意のネット上での言い訳もむなしく、期日までに返済を完了することができず、J&Tは借金のかたに資産の差し押さえに出た。スラビアでもトブルディークを解任して、暫定の経営陣を送り込んだ。送り込まれたのが、みなスパルタの関係者だったのである。この時点で、J&Tはスパルタとスラビアのオーナーを兼任することになった。
 この状態が続けば、サッカーの国際組織辺りからいちゃもんがついたのだろうけれども、結局CEFCの親会社が資金を提供することで、借金を完済し、スラビアは再びCEFCの手に戻り、トブルディークもクラブの役職に復帰した。スパルタとスラビアの合併なんてことになったらプラハはあれそうだなあなんて考えていたのだけど、まあそれはハナから無理な話だったのである。

 このスラビアの問題が、表ざたになり始めたのが、リーグ戦も二節を残すばかりとなったころで、トブルディークが解任された直後の29節で、スラビアがヤブロネツに惨敗して、プルゼニュの優勝が決まったという事実は気にならないわけではないけれども、優勝したのはスパルタにとっては目の上のたん瘤になりつつあるプルゼニュで、その時点ではスパルタがスラビアを抜いて二位になる可能性は完全に消滅していたから、なにがしかの意図が働いたということはないと思いたい。
 
 ちなみに、チェコリーグは、プルゼニュ優勝、スラビア二位、三位ヤブロネツ、四位オロモウツ、五位スパルタ。ここまでがヨーロッパのカップ戦の出場権を獲得した。降格はブルノと、最終節に直接対決でカルビナーに負けたイフラバ。イフラバは一時は残留確実かと思われたのだけどねえ。
2018年6月3日0時10分。






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