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2017年07月27日

ハンドボール界のあれこれ2017年夏2(七月廿四日)



 これももう、一月前には決まっていたことだが、来年一月にクロアチアで開催されるヨーロッパ選手権の組み合わせが決まった。こちらは16チームの出場だが、世界選手権が24ヵ国中15チームがヨーロッパの代表であることを考えると、世界選手権に出るのも、ヨーロッパ選手権に出るのも大変さは変わらない。

 チェコ代表は、スペイン、デンマーク、ハンガリーと共にグループDに入った。こちらは上位三位以内に入れば次のステージに進める。クラブレベルではドイツと並ぶハンドボール大国スペインに、リオオリンピックで金メダルを取ったデンマーク、北欧系の端正なハンドボールが身上のデンマークには好勝負はできるかもしれないが、どちらのチームにも勝てそうなイメージはわかない。
 そうなると、ハンガリーと三位の座を争うということになるのだが、ハンガリーもクラブレベルではチャンピオンズリーグの常連を擁する国である。十年以上もチャンピオンズリーグから遠ざかっているチェコと比べると、格上なのは否定できない。救いは恐らく両チームとも二連敗した後の三試合目で直接対決することだ。この三試合目の相手が、バルカンの汚いハンドボールをするマケドニアとか、モンテネグロとかだったら、チェコには勝ち目はない。でもハンガリーならぎりぎりバルカンに入るかどうかだし、何とかなりそうな希望が持てる。

 希望といえば、チェコ代表の実力を、国内の若手選手を積極的に登用することで引き上げることに成功したダン・クベシュとヤン・フィリップの二人の監督との契約が延長された。選手としてヨーロッパでもトップレベルのクラブで活躍し、チェコ人選手の評価を高め国外に出る道を築いたと言ってもいいこの二人は、監督としてもスイスやドイツのクラブで実績を上げており、世界の最先端のハンドボールをチェコにもたらしてくれる存在だと考えていい。
 代表を引退したばかりのこの二人に監督の座を託したチェコのハンドボール協会の決断は英断だったし、今後も長期にわたって代表の指揮を取らせることで、チェコ代表をヨーロッパ選手権、世界選手権で上位争いができるところまで引き上げてもらえたらなあ。

 そのためにも、チェコのクラブチームから、次々に若手が出てくる必要があるのだけど、男子のチェコリーグの現状は、一言で言って混乱である。当初の予定では今年の九月から始まるはずだったスロバキアとの共同リーグは、スポンサーの確保ができなかったことで、チェコのチームが参加に二の足を踏み、実現しなかった。
 その直後は、スロバキアとの共同リーグが実現していた場合と同じ10チームでチェコリーグを開催するということになっていたため、リトベルとコプシブニツェの二チームが降格し、昇格をかけたプレーオフでフラニツェに負けたストラコニツェは、二部リーグに参戦することになっていた。それが、六月に入ってやはり去年までと同様に12チームで開催されることになった。一部から二部に降格するのはリトベルだけで、ストラコニツェは一部に昇格することになった。

 今年のエクストラリーガは、女子よりも少し遅れて、九月九日に開幕する。できれば久しぶりにモラビアのチームの優勝を見たいのだけど、期待できそうなのはカルビナーとフリーデク・ミーステクぐらいかなあ。今年も昨シーズンに優勝を争ったドゥクラ・プラハとプルゼニュが優勝候補の筆頭ということになりそうだ。プルゼニュには代表のステフリークが加入するというし。
 そのドゥクラとプルゼニュが出場するEHFカップの予選一回戦の対戦相手も決まっている。ドゥクラの相手は、アイスランドのHafnarfjardarである。共産主義の時代からヨーロッパのカップ戦で活躍してきたドゥクラにして初めてのアイスランドのチームとの対戦だという。当たる可能性のあるチームの中で一番遠方のチームだというのは、財政的にはちょっときついかもしれない。代表は、ヨーロッパ選手権の予選で一勝一敗、得失点差でかろうじて上に立てたけれども、クラブレベルではどうかな。厳しいだろうなあ。

 プルゼニュは、ギリシャのXyni Dikeasとの対戦である。ギリシャはハンドボールが強いというイメージのない国なので、こちらのほうが勝ちぬけられそうな気がする。チェコの優勝チームが、アイスランドの準優勝チームとの対戦で、準優勝チームがギリシャの優勝チームとの対戦。優勝チームと準優勝チームの組み合わせという点では問題ないのだろうけど、くじ運のないドゥクラがかわいそうになって来る。
 一回戦を勝ち抜けた場合、ドゥクラはロシアのペテルブルクとの対戦で、プルゼニュはスペインのAnaitasunouが対戦相手となる。これはもう、どちらかのチームが一回戦を勝ちぬけてくれたら万々歳ということでいいんじゃないかな。

 それから、今年のチェコハンドボール界の大ニュースとしては六月十九日から廿一日にかけてプラハで行なわれた大イベント「フビェズディ・プロ・レゲンディ」がある。日本語には訳しにくいのだけど、強いて訳せば「スター選手が伝説となるために」とでもなるだろうか。世界中からハンドボール界のスター選手、伝説的な選手を招待して、オールスターゲームを行なったり、ハンドボールマラソンと称して、チームや選手を入れ替えながら、延々マラソンの距離と同じ42.195時間プレイし続けるなんてことをやったりしていた。

 これは今年がいくつもの記念年に当たるからだという。まず1947年にプラハで初めての七人制ハンドボールの試合が行なわれてから七十周年、1957年に女子のチェコスロバキア代表がユーゴスラビアで開かれた世界選手権で優勝し、男子のドゥクラ・プラハがチャンピオンズリーグの前身であるPMEZで優勝してから六十周年、1967年に男子のチェコスロバキア代表がスウェーデンで行なわれた世界選手権で優勝してから五十周年、1972年に男子のチェコスロバキア代表がミュンヘンオリンピックで銀メダルを獲得してから四十五周年に当たるというのである。
 チェコの歴史では、末尾が8で終わる年に、歴史を変える出来事が起こると言われるが、チェコのハンドボールの歴史では7で終わる年に、大きな成功を収めてきているようだ。ということは、今年のヨーロッパのクラブチームのカップ戦、女子の世界選手権は期待できるかもしれない。とはいえ、最後に7で終わる年にチェコのチームが、いやチェコスロバキアのチームが優勝を遂げたのは五十年前のことだから期待はしないほうがいいのかもしれない。

 オールスターゲームでは、引退した選手も含めて、世界中からやってきた言わば世界選抜対チェコ、スロバキア選抜という形で試合が行なわれた。世界選抜の選手たちはチェコとの試合で見たことはあっても、顔と名前の一致しない選手ばかりだった。日本の選手は誰も呼ばれていなかった。ヨーロッパが中心のスポーツだし、まあ当然か。この試合中継はなかったからどんな試合になったのかは知らないんだけどね。
 チェコハンドボール界の総力を結集して行なわれたこのイベント、とりあえず成功裏に終わったようである。教育省からの補助金は出たのだろうか。
7月25日23時。







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