2017年05月18日
チェコのテレビドラマが日本で見られる?(五月十五日)
うちのに突然「ラビリンス」って知ってると聞かれた。質問の意図がわからず応えかねていたら、日本語で「ラビリンス」と書かれたイジー・ラングマイェルの写真のあるページを見せられた。AXNミステリーとかいうテレビ局でチェコテレビが制作したオカルトじみた刑事ドラマ「ラビリント(迷宮と訳したいなあ)」が放送されるらしい(すでにされたのかもしれない)。その紹介ページがここ。
チェコでも衛星放送などで有料のチャンネルを展開しているAXNが、公共放送のチェコテレビが制作したドラマを放送するというのに、違和感を感じたけれども、日本のNHKが制作したドキュメント番組をチェコの民放のプリマが放送するのと同じだと考えればいいのか。ただ、チェコに同じAXN系列のテレビ局があるのが違うだけである。
AXNミステリーのページには、このドラマについても、監督や俳優たちについての情報もあまりない。「北欧の香りのする東欧ドラマ」というキャッチコピーで、どれだけの人がどんなドラマか想像できるのだろうか。リンクされていたページにはもう少し詳しいことが書いてあったけど……。「監督のイジー」って、いや、カタカナで「イジー」と書かれていることは評価する。だけど、これは名前なので、名字のストラフを使ってほしかった。
キャストについてはこっちのページに、出ている。ただし、主役の二人だけ。主役の男は「イジー・ラングマヤ」、うーん惜しい。女は「スザーナ・カノッツク」、名前はともかく名字は読めんぞ。
ということで、せっかくなのでこのドラマにかかわる人々の情報を提供することにする。出演者や監督の見た目についてはチェコテレビの特集ページから見てもらうことにして、ストーリーについても、すでにリンクしたページに書かれている以上のことを書くとネタばれになって興ざめだろうから、いつものように周辺情報である。
まずは、監督から。監督のイジー・ストラフは、1973年生まれで、もともとは俳優として活動していた。主役を演じた代表作としては、カレル・チャペクの原作をズデニェク・スビェラークとカレル・スミチェクが1997年に映画化した「ロトランドとズベイダ」が挙げられる。これは、子供向けの童話映画で、ミュージカル映画としても高く評価する人がいる。ここでは、ちょっと間抜けな盗賊の親分の息子を演じていた。
それから主役ではないけれども、1994年放送のテレビドラマ「俺達五人組」(チェコ語だとBylo nás pět)で、主人公の男の子のちょっと年の離れた兄を演じていたのが印象に残っている。どちらかというとちょっととぼけたというか、ナイーブなというか、独特な味のある男の子の役を演じていた印象がある。
それが、九十年代の半ばぐらいからテレビ向けの長編ドラマや連続ドラマの制作を手がけるようになり、現在では俳優としてよりも、監督として有名な存在になっている。劇場公開された映画では、子供向けの童話映画の傑作「アンデル・パーニェ」が一番有名で、続編も制作されて昨年末に公開されている。観客動員が百万人を超えたので三作目も制作されるはずである。いつになるかはわからんけど。
テレビドラマとしては、日本のジャンルで言うと伝奇小説家のアルノシュト・バシーチェクと組んで制作した「悪魔の罠」「失われた門」の二部作が最高傑作である。どちらも、毎回一時間ちょっとで三回に分けて放送されたから、実質的には三時間ほどの長編ドラマということになる。こっちの方が日本でも受けるんじゃないかと思うんだけどどうかな。
前者は、中世のカトリックの修道院内に巣食っていた悪魔崇拝の秘密結社の一員の生まれ変わりが、当初の目的に目覚めて儀式的な連続殺人を犯すというもので、後者は、別世界へとつながる失われた門を発見しようとしたフリーメーソンのプラハにあるロッジのメンバーが次々に殺されていくという事件である。どちらも、同じ捜査官二人と助っ人の宗教学者の三人が事件の解決に当たるのである。噂によると三作目も準備されているようなので、非常に楽しみにしている。
他にもいろいろなジャンルの作品を監督していて、現在チェコで最も評価の高い監督のひとりである。ツィムルマンほどではないにしても、チェコ語がわからない人にはわかりにくい部分があるので、外国での知名度はそれほど高くないものと思っていた。それがドイツなどの近隣諸国ならともかく、遠く離れた日本で放送されるというのだから驚きである。この文章が、理解の一助に、なったりはしないだろうなあ。
実は、この「ラビリント」、ちゃんと見ていないのである。部分的には見た記憶がある。七回とチェコのこの手の一つの事件を追うドラマにしては長すぎるので、途中でだれてしまって見るのをやめたのか、「悪魔の罠」「失われた門」には及ばないと評価したのか。今年の冬にある有名なスポーツ選手が、お気に入りの番組として「ラビリント」を挙げたのを見て、そんなによかったかなと、機会があったらちゃんと見てみようと思ったのだけど、機会を逃してしまった。
今年の三月から、第二シリーズが放送されたのだけど、第一シリーズを見る前に見るのは避けたいと思って見なかった。その後、四月末から第一シリーズの再放送が始まった。しかし、その第一回を見逃してしまったのである。チェコテレビのホームページで視聴できるようになっている可能性はあるけれども、そこまでして見たいとも思えない。
長くなってしまったので、出演者については次回に回すことにして今日はお仕舞い。個人的には、特に理由はないけれども、「北欧の香り」のするドラマと言われると、こっちを思い浮かべてしまう。
5月15日22時。
「ラビリンス」で検索したら……。さすがになかった。なんだかよくわからないけど、せっかくなので載せておく。5月17日追記。
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ターボル在住のアッキーといいます。
私、ラビリンス好きで思わずコメントです。日本のAXNでは、もう放送終わりましたよー。もしかしたらAXNではよく再放送やってるから、再放送してるかもしれませんが。日本にいたころはよくAXN見てました。
チェコでもホームページからは見れますが、2は、1ほど面白くなかったです…苦笑