2017年03月12日
ゼマン大統領再出馬(三月九日)
これまで、もったいぶってはっきり言っていなかったのだが、そういうことだろうとは思っていたのだ。確か年頭だったと思うが、三月の十日に記者会見で、再度大統領選挙に出るかどうかを発表すると言い、その後、前日九日の夜に何かの集会で最初に公表すると予定を変えたんだったか。
その九日がやってきたのだが、七時のニュースの時点では、まだゼマンの出馬についてはニュースになっておらず、もうすぐこの件について大統領が話すことになっていると何回か繰り返していた。どうも四年前のこの日に、大領就任の宣誓式をのが今日の公表にこだわった理由であるらしい。ただ目立ちたがりの大統領には珍しく、テレビカメラやマスコミは排除した形で、支持者をプラハ城に集めて行なった集会で演説をした際に、来年行なわれる大統領選挙に再出馬することを表明したようだ。
八時半ごろのチェコテレビのニュースチャンネル、24でその様子が、放送されたけれども、携帯で撮影した動画ということで、画質もいまいちだったし、手振れがひどくてとても見ていられなかった。音だけはちゃんと聞こえてきたのだが、ゼマン大統領の言うことは、がんばって聞いてもあまり理解できないのである。まあ、テレビの字幕に再出馬すると書いてあったからそういうことなのだろう。
現時点で、バビシュ財務大臣のANOは、推薦する候補者を発表していないが、このまま行くと、ゼマン大統領とANO推薦の候補が、決選投票に進出するという、一部の人たちにとっては悪夢のような結果になりそうな気がする。かといって、社会民主党などの既成の政党が、納得のいく候補者を立てられるかというと、それはそれでありえなさそうな気がする。
現在のゼマン大統領は、アメリカのトランプ大統領に似ている。職業政治家であるという点では異なっているが、どちらも言い方は悪いけれども、下品なおっさんで、深く考えずに思ったことをそのまま口にしているような印象を与える。
その結果、どちらも熱狂的なアンチに批判される一方で、熱心に支持する人たちがいる。アンチが、自分の正しさを信じたがっている連中である点も似ているか。そして、支持者は、政治的な正しさを強要されることに疲れ果て、きれいごとしか言わない政治家に嫌気がさした人たちである。きれいごとを言わないから支持するというのも短絡的ではあるけれども、きれいごとを信じて、もしくは信じた振りをして自分の正しさに浸るというのもあまり気持ちのいいものではない。
そうなのだ。トランプのであれ、ゼマンのであれ、熱心なアンチにも支持者にもうんざりさせられているのだ。どっちも議論にならないという意味では、目くそ鼻くそである。だから、そういう連中が目立つことがないように、ゼマン大統領が引退してくれることをひそかに願っていたのだが、無駄な望みだったようだ。支持者が一定数いる状況で、再選の可能性がある状況で、引退という選択肢はなかったのだろう。
アメリカはこれからしばらくは選挙がないが、チェコは来年大統領選挙を控えているのである。最悪なのは、ゼマン支持者もアンチゼマンも嫌いと言ったときに、支持できる人がいないことだ。とある世論調査で信頼できる政治家として、上位に入ったのが、自称日系人政治家のオカムラ氏と、バビシュ財相だというのが、チェコの現実である。これはチェコ人がいわゆるポピュリズムに毒されているからではなくて、既存の政党の政治家がひどいから、この二人への評価が比較的高くなってしまっているだけである。それでもバビシュならまだしも、オカムラ氏を信頼するチェコ人の頭の中は覗いてみたいと思うけど。
ハベル大統領と同じレベルで、というのは、誰が大統領になっても難しいのだろうけれども、もう少し国民全体の支持を引き受けられる存在が出てきてくれないかと思う。かつて半ば本気で主張していたズデニェク・スビェラークが、ヤーラ・ツィムルマンの名前で大統領になるというのも、スビェラークの年齢、80歳を考えると難しそうだしなあ。
ビロード革命を主導した世代が去りつつある中、その下の世代に国民全体の支持を引き受けられる候補がいないのが一番の問題である。大統領になってほしくない人なら、いくらでも挙がるが、なってほしい人となると名前が上がらないのがチェコの悲しい現実なのだ。
3月10日17時。
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