2016年09月29日
リベレツとスパルタの憂鬱(九月廿六日)
週末、チェコテレビの七時のニュースの後のスポーツニュース「ゴール、勝ち点、秒」(日本語に訳すと意味不明になるなあ)を見ていたら、サッカーのエーポイシュテニー・リーガのリベレツとカルビナーの試合が延期になったと言っていた。
チーム内に伝染性の病気が蔓延しているというので、試合に出られる健康な選手の数がそろわないのだろうと思っていたら、それどころではなく、選手だけでなく監督なども含めてチーム全体がリベレツ地方の保健所の指示によって隔離状態に置かれているらしい。隔離ということは、伝染性の病気のチームの外への拡散を防ぐための処置だろうから、かなりやばい病気なのかもしれない。本来は昨日の日曜日までの予定だった隔離は、最低でも明日火曜日まで延長されたようだ。
木曜日にはヨーロッパリーグのグループステージの第二戦がリベレツで行なわれる予定なのだが間に合うのだろうか。隔離状態が解かれたとして、病み上がりの選手たちが90分プレーできるところまで回復するのだろうか。いや、間に合わなかった場合に、不戦敗扱いになったりするのではないかというのが一番の心配である。
一説によると、ヨーロッパリーグの初戦でアゼルバイジャンに出かけたときに、病気をもらって帰ってきたらしい。最初は何人かの選手が感染しただけだったので、直後のスラビアとの試合には、欠場者は出たものの十分な数の選手が確保できたけれども、その後の一週間でチーム全体に病気が広がったということのようだ。スラビアに負けてしまったのも病気での欠場者の影響かも知れない。アゼルバイジャンでは終了直前に同点に追いつかれた上に、病気をもらってきたというわけだから、踏んだり蹴ったりとはこのことである。
そのスラビアの監督には、結局ゼマンではなく、元リベレツの監督で、今年の夏からドゥクラの監督になっていたシルハビーが就任した。就任したばかりの監督を、中国企業の金で強奪したということなのだろう。スラビアの監督としての初戦は、引き分けに終わったが病気で弱体化したリベレツに勝ち、調子の上がらないスパルタとのプラハダービーに完勝しチーム内での地位を固めることができたようだ。監督を変え過ぎるのはよくないと思うのだけど、ウフリンよりは実績が上だから、期待はしてもいいのかな。
スパルタは、ヨーロッパリーグで惨敗した後も調子が上がらず、今シーズンの台風の目になっているズリーンと何とか引き分けた後、チェコ中から注目されているプラハダービーで、スパルタホームの試合で完敗を喫してしまった。その結果、監督のシュチャスニーが解任されてしまった。夏のシーズン前のキャンプで選手たちの調子を上げきれなかったのが響き続けているようで、強いスパルタは、いくつかの試合で片鱗が見られたに過ぎない。
同じ調子の上がらないプルゼニュは、監督ではなく、中心選手を放出して選手を入れ替えることでの活性化を図り成果を挙げつつある。スパルタは移籍期間が終わっているせいもあって、監督の交代という手に出たわけだが、成果は上がるだろうか。このチームも、復帰したばかりのロシツキーを含めて、けが人が多いというのが一番の問題だという面もあるのだから、もう少し我慢してもよさそうな気はする。誰が後任になるにしても、大変ではあろう。
もう一つのスパルタの問題は、大きな期待と共に復帰させたミハルとバーツラフの二人のカドレツが全く期待に応えられていないところにある。国外移籍が予想されていたセンターバックのヤクプ・ブラベツの代役として、守備を強化するためにトルコからミハル・カドレツを獲得したけれども、昨シーズンのディフェンスのほうが安定していたような気がする。また停滞する攻撃陣を活性化するための最終兵器として大枚はたいて購入したバーツラフ・カドレツも、代表の親善試合ではいいところを見せたが、スパルタでは重要な試合で結果を出せていない。監督が変わっただけで、この状態が劇的に変わるとも思えない。噂によると、スパルタはリベレツの監督を狙っているらしいから、この監督解任はリベレツにとっても他人事ではないのである。
このままだと、スパルタは、よほどのことがない限り、ヨーロッパリーグでもグループステージで敗退、国内リーグでもプルゼニュの後塵を拝することになりそうだ。現在のスパルタのオーナー企業はチャンピオンズリーグへの進出を目指して、毎年お金をかけた補強を繰り返しているけれども、補強の仕方が悪いのか、監督の選任が間違っているのか、結果は出ていない。垂れ流しの赤字に嫌気がさして、中国企業とも提携しているらしいこのスパルタのオーナー企業が、スパルタを中国企業に売却するなんてことのないように祈ろう。
個人的には、スパルタの一強状態だった以前の国内リーグは退屈だったので、プルゼニュやリベレツ、ムラダー・ボレスラフが、スパルタと優勝争い、ヨーロッパのカップ戦をかけた上位争いをするのは、歓迎すべきことなのだけど、ヨーロッパの舞台にチェコの代表として進出する以上は、強いスパルタであってほしいとも思う。将来、スパルタとプルゼニュの二チームがチャンピオンズリーグに進出するなんて奇跡を引き起こすためにも、スパルタには頑張ってもらいたいところである。今シーズンはもう難しそうだけど。
9月27日16時30分。
リベレツの選手たちの隔離は火曜日に解かれて、夕方から練習を再開したらしい。とは言え、二日間で体調を万全にできるのだろうか。心配である。9月28日追記。
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