2016年08月30日
新生? チェコ代表(八月廿七日)
スポーツの話題が続いてあれだけれども、きゅうりの季節で取り上げたくなるできことがあまりないのだ。サマースクールの三年目は、何だか今更な感じがするし、ねたがないときにとっておきたいし。
ということで、サッカーのチェコ代表である。EUROでの惨敗を受けて、監督のブルバがロシアに逃亡した跡を襲うことになったのは、ムラダー・ボレスラフを指揮していたカレル・ヤロリームだった。ボレスラフが、ヨーロッパリーグの予選で、予想通り敗退すると、八月初めに正式に代表の監督に就任した。
そのヤロリームが初めて召集する代表が発表されているので、簡単にコメントしながら紹介する。チェフ、プラシル、リンベルスキー、フブニークが代表を引退した分だけ若返りしているはずなのだけど、大半は代表常連であんまり新味はない。
GK
トマーシュ・バツリーク (バーゼル 6/0)
トマーシュ・コウベク (スパルタ 2/0)
ヤロスラフ・ドロブニー (ブレーメン 7/0)
ここ数年チェフの控えを務めてきたバツリークが一番手ということになるのだろうか。コウベクは今年のユーロにも帯同していたし、スパルタでもビチークを控えに追いやって、先発の座を獲得しているから将来が楽しみである。そして久しぶりにドイツで長期に亘って活躍しているドロブニーが復帰したのだけれども、チェフより上の世代なんだよなあ。
DF
テオドル・ゲブレセラシエ (ブレーメン 37/1)
パベル・カデジャーベク (ホッヘンハイム21/2)
ミハル・カドレツ (スパルタ 65/8)
ダニエル・プディル (シェフィールド 33/2)
マレク・スヒー (バーゼル27/1)
トマーシュ・カラス (フルハム 2/0)
フィリップ・ノバーク (ミッティラン 2/0)
ルカーシュ・ポコルニー (リベレツ 0/0)
ヤン・シーコラ (リベレツ 0/0)
今年のユーロに召集された選手の中から、引退のプルゼニュ組と怪我のシボクを除いて全員召集されている。カドレツはベテランだけど、復帰したスパルタでのチャンピオンズ・リーグ、ヨーロッパ・リーグ予選での不安定なプレーを見ているとちょっと厳しいような気がする。身体能力から言うとカラスが一番なのだろうが、オロモウツからチェルシーに買われていって以来、レンタルでたらい回しにされているからなあ、期待されたほど伸びていないのが現実である。カラスとスヒーがディフェンス陣の真ん中で定着してくれる、としばらく楽になるのだけど、ベテラン偏重でカドレツを使うんだろうなあ。
初召集のリベレツの二人は、ヨーロッパリーグの予選で、四戦負けなしのリベレツを支える選手なので期待が持てそう。シーコラは、キプロスのラルナカとの試合では中盤の選手として出場して、ハットトリックを決める活躍をしたので、ぜひとも前目で試してみてほしい。この二人を招集したことで、多少新生チェコ代表になったかなというところ。
MF
ボジェク・ドチカル (スパルタ 25/6)
ブラディミール・ダリダ (ヘルタ・ベルリン39/1)
ダビット・パベルカ (カシムパサ 10/0)
ラディスラフ・クレイチー (ボローニャ 26/4)
ヨゼフ・シュラル (スパルタ 14/1)
イジー・スカラーク (ブライトン 11/0)
ヤン・コピツ (プルゼニュ 2/0)
マルティン・フリーデク (スパルタ 2/0)
ヤクプ・ラダ (ムラダー・ボレスラフ 2/0)
スカラークまでが、今年の夏のユーロ出場者。それ以下の三人も、何度か召集されて有力候補に上がっていたので、あんまり新鮮味はない。それでもブルバの時代に代表に定着した若い選手が多いので、納得の人選ではある。ロシツキーの今後はまだ明らかになっていないけれども、今後はダリダを中心にしたチームになっていくのだろう。
ただ怪我で辞退者が出そうなのが心配。ドチカルはスパルタのヨーロッパ・リーグのプレーオフを怪我かなんかで欠場したし、ラダも先週末の試合で怪我をしたというニュースがあった。辞退者が出た場合には、是非、オロモウツ育ちのホジャバ(プルゼニュ)、ポスピーシル(ヤブロネツ)、ナブラーティル(リベレツ)あたりを追加で召集してほしいところなんだけど、みんなあんまり活躍していないから無理かなあ。追加だとリベレツのブーフとか、ボレスラフのベテラン、マゲラあたりが候補になりそうである。
FW
トマーシュ・ネツィット (ブルザスポル 42/12)
ミラン・シュコダ (スラビア 11/4)
バーツラフ・カドレツ (ミッティラン 11/2)
マテイ・ビドラ (ダービー 17/5)
ここが一番新味がないかな。シュコダ以外は、もう何年も攻撃の中心になることを期待され続けてきた選手ばかりだし。カドレツなんてボヘミアンズが産んだ最後の天才みたいなコピーがあったような気がするんだけど、現時点ではそのコピーに完全に負けている。ビドラは、所属チームにいいように使われているような感じがする。カラスと同じでレンタルでたらい回しにされている間に、チームの戦力として扱われにくくなっているような印象があった。でも、今回二部のチームだけどダービー・カウンティとかいうところに完全移籍することが決まったみたいなので今後に期待。
個人的にはネツィットが、コレルのような存在になることを期待していたのだが、怪我やなんかがあって……。まあ期待した選手が、みんな期待したような存在になってくれていたら、監督も苦労しないのだろうけど。
2000年代に入ってリーグ優勝から遠ざかっていたスラビア・プラハを率いて、リーグ連覇、チャンピオンズ・リーグ本戦出場を果たしたヤロリームが、チェコ代表をどのように立て直すのか、もしくは、ブルバの敷いた路線を発展させていくのか、楽しみに見守ることにしよう。アルメニアとの親善試合は負けてもいいから、ワールドカップの予選に向けていろいろな選手を試してくれないものだろうか。
ちなみに、ボレスラフでヤロリームの後釜に座ったのは、オロモウツとも縁の深いレオシュ・カルボダで、この人、二部のチームの監督としては、チームを昇格させるなどいい仕事をしているのだけど、オロモウツも含めて一部チームの監督としては、それほど目立った成績は残せていないんじゃなかったかな。チームの成績というものにはめぐり合わせというものも大きいので、監督だけの功績、責任というわけではないのだろうけど。デビュー当時のコバーチとウルバーネクをひっぱたきながら指導して、アンダー世代の代表にまで育てたのがこの人である。A代表に定着して活躍したコバーチはともかくウルバーネクは誰も知らないだろうけどさ。
8月28日14時。
怪我のドチカル、ラダの代役としては、オロモウツ育ちのホジャバが追加で招集された。そんなに調子が上がっていない感があるので、どうなのかなあ。8月29日追記。
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