2020年12月11日
犬のある生活(十二月八日)
先週の月曜日からだと思っていた、学校での授業の拡大は、今週からだったかもしれない。昨日のニュースで学校の様子が取り上げられていた。先週も似たようなことをいっていたと思うのだけど、一番の問題は、規制の緩和にしろ強化にしろ、情報が錯綜しているのがいけない。ネタもとはニュースなのでニュースの報道が悪いといいたいけれども、それ以前に政府の発表自体が混乱しているようで、しばしば批判する人が登場する。
これを以てバビシュ政権の情報の伝達のあり方を批判するのは正しいが、だからバビシュ政権はという方向に行くのは間違っている。チェコの行政の情報伝達のあり方がめちゃくちゃなのは今に始まったことではなく、必要のない情報はいくらでも入ってくるのに、必要な情報がそれを必要とする人のところには届かない、もしくは届くのが最後になるというのはチェコの伝統のようなものである。
もう十年以上も前の話だが、職場から「ロドネー・チースロ」という、チェコ人には生まれたときに生年月日を元に与えられる個人番号のようなものをとれと言われたことがある。同時に、どの役所に問い合わせればいいかも教えられたのだが、その役所に問い合わせても、その役所に言われた別の役所に問い合わせても、外国人がどのように申請すればもらえるのか全く情報が手に入らない。
幸いいつまでにという期限はつけられていなかったので、一旦諦めて放置していた。そして、毎年恒例のビザの延長の手続きに出かけた外国人警察で、こういうことで困っているんだけどと、駄目もとで聞いてみたら答が帰ってきた。ビザの延長の申請をした時点で「ロドネー・チースロ」の申請もしたことになっているから、特に何もする必要はないと教えてくれたのである。
前年の延長の手続きの際に申請したことになっていたのか、この年の申請で申請扱いになったのかは不明だが、それから程なくして「ロドネー・チースロ」を取りに来いという通知が外国人警察から届いた。その通知が二回来て、一回目の通知で受け取りに行った後の二回目は間違いだったという落ちはつくのだが、オロモウツに住む外国人にとって一番頼りになる役所は、やっぱり外国人警察だったのである。
そんな情報不伝達の状況は現在もあまり変わっていない。それでも、今回の政府の対応には、春から何度も同じようなことをして来ているのに、改善の後が見られないというのにはいい加減にしろといいたくなる。最悪なのは鳴り物入りで導入されてうまく活用されているかに見えた犬システムが、いつの間にか有名無実のものになりつつあることである。
危険度カテゴリー5から4へ切り替えて規制緩和に踏み切ったときの対応は悪くなかったのだけど、その後は……。金曜日の会議で規制について決めて翌月曜日から適用すると言っていたはずなのだが、月曜日からの変更は学校関係のものだけになっている。それも任意なので学校によってはまだ規制緩和に対応していないところもある。
とまれ、一度はチェコ全体の数値がレベル3に落ちて安定したことで、生活必需品以外の販売店の営業の再開など大幅な緩和が行われたのだが(これも月曜からではなく木曜からだった)、その後数値は再び悪化を初め、チェコ全体ではレベル4、地方によってはレベル5のところもあるという状態になっている。この状態が一週間続いたら、規制の強化が行われるものだと思っていたのだが、そんなことにはならないようである。
犬システムの危険度評価の内容自体を見直す動きもあるようだし、同時に犬システムが規制を決定するわけではないという声も聞こえるようになった。これでは夏の信号システムと大差ない。規制の強化をしないならしないで、本来なら強化すべきだけど、商業のことを考えてクリスマスまでは規制の強化はしないとか言えばいいのに、聞いているほうがうんざりするような言い訳ばかりである。
さらに昨日の閣議で、水曜日から犬システムには規定されていないレベルでの規制強化が行われることになった。レストランの営業時間が短縮され、屋外でのアルコール飲料の消費が再び禁止された。またクリスマスマーケットでは料理と瓶入りも含めてお酒の販売も禁止された。コップ入りはともかく、瓶入りのお酒の販売を禁止する理由は不明である。
結局、どんなに優れたシステムであっても運用する人次第では意味のないものになってしまうという事なのだろう。犬システムが優れているのかどうかは知らないけど、結果としてはあってもなくても大差のないものになりつつある。新しい厚生大臣も、反バビシュの署名をしたことがあるというわりには、すぐに同じ穴のムジナになっちゃったしなあ。
2020年12月9日23時。
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