2020年10月23日
馬鹿者どもが(十月廿日)
武漢風邪の流行拡大が洒落にならない領域に入り始めて、政府では次々に規制を導入しているのだが、感染者の数が多い上に、感染者一人当たり何人に感染させるかを示すR指数が、1を越えているため、一日辺りの新規感染者数の増加が止まらない。R指数自体は最悪だった時期に比べると多少はよくなっているのだけど、政府が目標とする0.8以下には程遠い。
感染者の増加とともに、恐らく割合的には変わらないのだろうが、入院を必要とする患者、集中治療室に入る患者、亡くなる人の数も急増中で、当然医療関係者の感染も増えており、医療現場からは悲鳴が上がり始めている。そのため軍を使って臨時の野戦病院的な入院病棟の準備も始まっている。春もそうだったけれども、軍の人たち、便利屋的に人手が足りないところにまわされて大活躍である。
そんな状況で、政府の規制強化に反対するデモがプラハで行われた。主催者によれば、現在の状況は危機的でもなんでもなく、政府が国民の管理を強化するためにでっち上げた大嘘で、規制など必要ないとかいうのだったかな。春は比較的政府の言うことを正しいと認めて、規制を守る人が多かったのだが、国民の間に政府不信が広まり、政府のいう規制は守らなくてもいいという考えが広まっているようだ。それが対策の効果を下げているめんもある。
ただ、政府不信に関しては、完全に政府の自業自得で、夏のバカンスシーズンに、ほぼ完全に規制を撤廃してしまい、感染者が再度増加に転じても、何の問題もないとして全く対策を打たなかったのがいけないのである。チェコの感染症対策で最悪なのは、両極端に走りがちなところで、夏の間も一部の規制を残しておけば、人々の警戒心も残って、ここまでひどいことにはならなかったと思う。
プラハで行われたデモには、サッカーやアイスホッケーのリーグ戦が中断に追い込まれたことを不満とする自称ファン達も押し寄せた。旧市街広場で行なわれた抗議集会の主催者達は、集団を20人ずつに分けるという政府の規制を守らせるために地面に線を引いてグループ分けをしようとしていたようだが、そんなのをファン達が守るわけがなく、開始早々すべての参加者が入り混じった状態になった。
マスクを着用していない人たちもかなりいた上に、デモの参加人数の上限である500人をはるかに越える人が集まっているのは明白で、警察はデモの中止を主催者に命令した。何度か繰り返された後にデモ自体は終了が宣言されたのだが、集まった連中が素直に解散して自宅に戻るはずもなく、解散させようとする監視の警官ともめ始め、やがて暴動と化した。アメリカのデモと称する暴動ほどひどいことにはならなかったが、数人の警官が負傷して病院に運ばれ、暴動鎮圧のための部隊が出場して、結局150人ほどのデモ参加者、いや暴徒が警察に拘束されたという。
その中には、当然のように、オストラバからわざわざプラハまで出かけて参加した、悪名高きバニーク・オストラバのファンたちもいた。サッカーリーグの試合を禁止するからこんなことになるのだ。この連中、社会のことに興味があって規制強化に反対しているわけじゃないのだ。サッカーさえあたえておけば、それが無観客だったとしても、ここまで騒動を起すことはなかったはずである。
サッカーの1部リーグなんて、特にヨーロッパリーグに出るようなチームになると、選手たちをホテルにほぼ監禁した上で練習、試合に臨ませているし、全てのチームで、最低でも毎週一回選手たちに検査を受けさせて陽性者は即刻隔離し、陰性の選手も念のためすぐに再検査をするという、考えうるかぎり最上の対策を講じた上でリーグ戦を開催してきたのである。
政府が国民に科した規制よりも厳しい対策をとっているのだから、サッカーの一部リーグだけでも継続させておけばよかったのに。例外はよくないといいつつ、オストラバで行われているテニス大会や、ブルノで行われた格闘技の大会には例外的に開催の許可を与えているのだから、正直理解不能である。
今後も政府の対応が、場当たり的なものに終始する限り、国民の政府不信はなくならないだろう。その結果規制を守らない人もあまり減らずに、最悪の結果になりかねない。ちょっと鬱になりそうである。
2020年10月21日22時。
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