2020年05月19日
自宅監禁日記(五月十六日)
久しぶりの晴天に、朝起きたときには、今日こそ外に出るぞと思ったのだが、この二ヶ月で体に染み付いた怠け者の気性が許してくれなかった。何かこれからしばらく同じような書き出しが続きそうでいやになるけど、これも明日までの辛抱である。二度にわたって延長され、二ヶ月以上も我々チェコに住む人間の心を蝕んできた非常事態宣言は明日で効力を失うはずである。
非常事態宣言が解除されても、緩和されながら継続しているさまざまな規制は継続されるから、日々の生活に大きな変化はない。いや、自分のことだけを言うなら、規制があってもなくても大差はないと言ったほうが正しい。ただ、毎日職場に出るか、自宅で作業をするかの違いだけである。その違いが意外に大きく、運動不足となって体を蝕んでいるから、自宅監禁生活で身も心もぼろぼろになりつつある。
日常生活には大きな影響を受けていない人間ですら、二ヶ月もたつと、非常事態宣言とさまざまな規制が存在するという重みに耐えがたい気分になるのである。実際に影響を受けて逼塞を余儀なくされた人たちの耐え難さは想像にあまりある。こういう厳格な規制というのは、やはり一ヶ月以内に終わらせるのが理想であって、ずるずると引き延ばすべきではないのだろう。一ヶ月を超えると経済的な問題以上に、人々の心の安寧にあたえる影響が大きい気がする。
非常事態宣言を出して、人々の移動の自由を制限するというのは、日本の場合には緊急事態宣言だけど、これは訳語の問題で、いくら言葉をかざったところで憲法で保障された基本的人権の制限に他ならない。言い換えれば政府による人権侵害である。それをマスコミ関係者が政府に求めるというのは、自らの存在意義の否定じゃないのか。
左よりのマスコミの報道というのは、政府が議論をよぶようなことをやろうとするたびに、人権侵害だとか、何とかの自由を阻害していると言って、野党といっしょに大騒ぎするのが定番となっている。それが悪いと言うつもりはない。どの党が政権を握ろうと、あれこれ問題のある決定や法律の制定を行っているのだから、批判するのが共産党だけではないことは重要である。
ただ、民主主義というものを絶対視し、何とかの自由、かんとかの自由というのを金科玉条にしているのが正しいというのなら、今回も政府が緊急事態宣言を出して移動の自由などの人権を制限しようとするのに反対するべきであろう。それなのに、国民の自由を阻害する宣言を出すことを政府に強要し、何でもかんでも自粛すべきだという雰囲気を作り出し、お互いに人権を侵害しあうような社会にした罪は重い。
しかも、その自粛の押し付けを奨励しておきながら、自らはその対象外に置くというのだから、国民に対する裏切り以外の何物でもない。さすがに目のある人たちから批判を受けて後には多少の対応を取るようになっていたようだが、自分たちを特別視するテレビの出演者も含めたマスコミ関係者には、うんざりするとしか言いようがない。
仮に、今回の武漢風邪の危険性を警告するためだとか、国民に危機感を持たせるためだったから仕方がないなどと強弁するなら、もっといい方法があったはずだ。それは、テレビ局なら番組の制作をすべて停止して、再放送だけにしてしまうことで、新聞雑誌なら発行を停止することである。そうすれば、百万言を費やすよりもはるかに、マスコミの感じている危機感が視聴者、読者に伝わったに違いない。繁華街にたくさんの人が集まる映像をニュースとして流すよりも、ニュース自体の制作と放送を自粛した方が、今の状況はやばいと考える人が増えるはずだ。
まあ、他者に営業の自粛を強要しておきながら、自分たちの業界は例外にしてしまう厚顔無恥さからは、その主張する危機感というものもまやかしでしかないように思われる。要は何がテーマであれ、話題性が高くなることが重要で、視聴率と売り上げのためなら何でもするという浅ましさしか感じられない。日本のマスコミにとっては報道の自由というのは建前でしかなく、そもそも必要としていないということなのだろう。不祥事を起しても反省する不利だけで、同じことを繰り返し、同業他社の不祥事も好意的に解釈してかばい合うのだから救い難い。今回も発言の改竄をしていたテレビ局があったらしいし。
またまた以前書いたことの繰り返しになってしまったような気がする。
2020年5月17日11時。
https://onemocneni-aktualne.mzcr.cz/covid-19
https://www.krajpomaha.cz/
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