2020年05月18日
自宅監禁日記(五月十五日)
氷の男たちはすでに姿を消したというのに、今日も肌寒い一日となり、ここ数日と同じように雨が降っていた。今日は昨日サボった分、外に出て歩くつもりだったのだけど、運動不足のなまった体と軟弱な精神の持ち主は、ひよってしまった。週末は、天気がよくなったら、人のいなさそうなところに散歩に行こう。
今年も、二月辺りは雨が多かったような気がするのだが、三月以降雨があまり降らなくなってチェコ各地で水不足の恐れが出始めている。連年の雨量不足で地下水の水が下がってしまって、水道を引かずに井戸水を使用していた村の中には、水道の導入、近くの町から水道管を伸ばして各家庭に供給することを計画しているところもある。ただ、今回のコロナ騒ぎ対策に予算をとられて計画の見直しを余儀なくされているところもあるらしい。
国は国で、医療関係者などの最前線で活動する人たち向けの感染防止対策の装備を確保していたが、地方自治体も独自に医療関係者に配布するために手当てをしていたのである。国は国全体を見て配布先を決めるので、末端まで届かないことがある。その隙間を自治体の活動が埋めていたのだが、経費を後から国が出してくれるということはなく、しわ寄せは他の活動に向かう。
小さな自治体だとそこまで積極的な活動はしていないが、それでも殺菌剤や消毒液などを購入して役所に置いたり何だりで、当初の計画ない支出が発生している。予算規模の小さな村や町だと、その程度でも対応が難しい問題になっている。今後の不景気で町の収入事態が減ることが予想される中、設備投資の計画を見直す自治体が出始めているようだ。
政府は、不況が近づいているからといって、公共投資を減らすなとか、借金を恐れるなとか言っているが、現時点では財政支援をする予定はないようだ。企業や個人事業主に対する支援があるのに、コロナ騒ぎで困窮する地方自治体を支援しないのはけしからんという批判も上がり始めていて、自治体の首長たちが作る団体の代表者と政府との交渉が予定されている。八方美人の現政権のこと、これでまた今年度予算の赤字額が増大することになりそうである。
その赤字額の増大に最大の貢献をしているのが、恩着せがましくマスクなどの医療品を特別価格で販売してくれた中国である。その特別なありえないような高額で購入させられた製品の中に、かなりの割合で不良品やら使用期限切れが含まれていたというからひどい話、チェコ政府にしてみれば泣きっ面に蜂である。きれいごとを言えば商品の価格なんてものは需要と供給の関係で決まるものだということになるが、あまりにもひどいぼったくりぶりだった。返品でもしようものなら、次は売らないと脅しをかけてきたに決まっている。
値段が高騰しているのは、マスクなどだけではなく、物流に滞りがでている関係で一般的に物価が上がりつつある。特にひどいのが野菜類で、これは物流だけでなく生産地における人手不足が一番の原因になっているようだ。イタリアとスペインというEU最大の農業生産国二つが武漢風邪によって壊滅的な被害を受けたのが尾を引いている。
国全体が隔離状態に置かれ人の移動ができなかっただけでなく、季節労働者の受入が不可能だったことが農業の現場における人手不足を引き起こし、収穫が間に合わない畑なんてものも出ているようだ。これはチェコでも似たような状況になっているようで、ニュースではイチゴ農家が収穫と出荷の手が足りずにせっかくの実りを朽ち果てさせることになっている様子が紹介された。生産者直売市もいまだにかつての活気を取り戻せていないようだし、農家のかたがたも大変そうである。
こういう生きていくために必要なものの値段が上昇しているというのは、家計にとっては大打撃である。宵越しの金は持たねえじゃないけど、クリスマスプレゼントや休暇の旅行のために借金をするような人の多いチェコである。家計のやりくりに困って自己破産とか増えそうである。自殺者は日本ほどには増えないだろうけど、いろいろ人生が変わる人は出るだろうなあ。
2020年5月16日11時。
https://onemocneni-aktualne.mzcr.cz/covid-19
https://www.krajpomaha.cz/
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