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2020年05月09日

自宅監禁日記(五月六日)



 例年であれば、5月になると第二次世界大戦の終戦に関するニュースが増えるのだが、今年は75周年というきりのいい年であるにもかかわらず控えめである。さすがに今日は、ドイツを解放してボヘミア・モラビア保護領にまで攻め込んだアメリカ軍が、西ボヘミア最大の都市プルゼニュを開放した日だというので、かなり詳しく放送されていた。これも、チェコ国内のコルナウイルス騒動が収束に向かいつつあるからであろう。

 1938年のチェコスロバキア第一共和国がフランスとイギリスの裏切りによってナチスドイツに蹂躙されることになったように、1945年のチェコスロバキアはアメリカによってスターリンに売り渡された。その結果、西ボヘミアのプルゼニュまでの地域をナチスドイツから開放したのがアメリカ軍であることはタブーとなった。1989年のビロード革命までは、チェコスロバキア全土を開放したのはソ連軍であり、大戦の終戦記念日もソ連の公式見解に基づいて5月9日とされていたらしい。
 90年代以降は、ソ連の公式見解の縛りも消えて、他のヨーロッパ諸国と同様に5月8日が第二次世界大戦が終わった日ということで祝日になっているし、アメリカ軍のチェコ領域内での活動についても、調査研究が進み、毎年この時期になると新しい情報がニュースになっていたような気がする。西ボヘミアではチェコ国内で唯一アメリカ軍によって解放されたことを誇っていて、戦勝記念の式典には、当時のアメリカ軍関係者を招待している。今年はさすがに式典自体が行われていないと思うけど。

 もちろんチェコの人たちがプラハを開放するために立ち上がった蜂起についてもいろいろなニュースが流れるのだが、ソ連軍についてはあまり触れられることはない。共産党独裁の時代はそれこそソ連軍の活躍しか語られなかったのだろうから、その反動だと考えてもいいし、各地で蛮行を繰り返したソ連軍の悪行を報道しないだけ配慮していると考えてもよさそうだが、後継国家であるロシアや、共産党などのソ連シンパにとっては不満の原因のひとつとなっているのだろう。
 ロシアや左翼の政治家たちが、旧ソ連時代の公式見解を今でも真実だとして信じていて、いや信じる振りをしていて、近年明らかになった歴史的な事実を無視しているのも、プラハのコーネフ像を巡る騒動が大きくなってしまった原因である。反ソ連の人たちが、ことさらにアメリカ軍の功績を称揚して、ソ連軍の功績を無視しようとするのも問題だけど。この辺は日本と、中国韓国が歴史認識において対立しているのと似ている。

 本日一番のニュースといえば、チェコ国内の数箇所で行われた症状が出ていない人がコロナウイルスに感染したことがあるかどうかの調査の結果である。当初予想されていたよりも感染は広がっておらず、ブルノやプラハなどでは、0.1〜0.3パーセントとほどいう数字に終わっている。比較的割合の高かったオロモウツ地方でもリトベルとウニチョフでも、最大に見積もっても3パーセントほどという結果である。
 オロモウツ地方では、感染の有無だけではなく抗体の有無の検査も行われたため(実は他の地方でも行なわれていたと勘違いしていたのだが)、他では指先に針を刺して簡易検査キットでの調査だったのに対して、腕の静脈から血を抜いていた。こちらの結果はその場で出るものではないので、発表までにはもう少し時間がかかるのかな。

 それはともかく、このような検査が行えるようになったということは、コロナウイルス感染症の対応で手一杯だった医療システムにある程度の余裕が出てきたということなのだろう。オロモウツ地方では感染者数の伸びがほぼ止まっており、この十日ほどで25件しか増えていないし、検査の数自体を減らしているようにも見える。検査の件数は増えているけれども、これには再検査、再々検査の数も含まれているはずなので、治癒済みの人が増えればこの検査数が増えるのも当然である。
 政府の話では、現在の非常事態宣言が切れた後は、感染者が増えたとしても、全国一律の宣言は出さずに、感染が広がっている地域限定での宣言を出すことになるという。これにはリトベルとウニチョフの封鎖を行った結果、感染拡大の封じ込めに成功した経験が生かされるのだろう。オロモウツはその対象にならないと信じたい。
2020年5月6日23時。





https://onemocneni-aktualne.mzcr.cz/covid-19
https://www.krajpomaha.cz/








posted by olomoučan at 07:18| Comment(0) | TrackBack(0) | チェコ
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