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2016年06月01日

タブロ(五月廿九日)



 オロモウツに限らず、四月の後半から五月にかけてチェコを旅行した人の中には、街中のショーウィンドーに人間の写真がたくさん並んでいるのを見て、何だろうと不思議に思った人もいるかもしれない。もちろん写真に写った人、若者たちを売りに出しているというわけではない。

 チェコの学校制度は、日本とほぼ同じで、義務教育が九年、その上に高等学校の三年間の課程が続く。義務教育は一貫で一つの学校に通うことが多いが、五年+四年に分けて、前半の五年と後半の四年で別の学校に通うこともできる。後半の四年から通う学校は、大抵高等学校と一緒になっているので、日本の中高一貫の学校と同じようなものである。
 大学進学率の低かったチェコでは、この高等学校の卒業というのが、社会へ出ていくための関門として認識されており、卒業に際してさまざまなイベントが行われる。最大のイベントは、「マトゥリタ」と呼ばれる高校の卒業試験なのだが、その難しいらしい卒業試験に合格できたことを、家族も一緒にお祝いするためのパーティーが行われる。
 これは、かなりフォーマルなパーティーで、卒業生たちは社交ダンスを披露することになっていて、ちゃんと踊れるように、卒業試験に向けて勉強が大変な中、ダンスのレッスンを受けるらしい。だからチェコ人の多くはダンスができ、ダンス教室がたくさんあって、テレビのスターダンス(芸能人やスポーツ選手がプロのダンス選手と組んでトレーニングをして優劣を競う番組)も人気があって、ほとんど毎年新しいシリーズが製作されているのだろう。

 その卒業パーティに向けた準備の一環として、クラス単位で作成するのがタブロ(ここにいくつか例がありそう)というもので、展示するために街中の商店と交渉をしてショーウィンドーを貸してもらうのである。街中で、あれこれ見てみればすぐに気づくと思うが、ものすごく手の込んだものもあれば、集合写真一枚でお茶を濁したものもある。
 どんなタブロが出来上がるかは、ひとえにクラスの結束にかかっているらしい。いいもの、独創的なものを作ろうとすれば、お金はもちろん、時間もかなり必要になるため、クラス全員がこのクラスでよかったと思えるようなクラスでないと、なかなかいいものはできてこないようだ。一人二人熱心な生徒がいても、他がみんなやる気のない顔で写っていたら、あまり魅力的なタブロにはならない。

 独創性を狙うあまり、生きたタブロというものに挑戦するクラスもあるらしい。生きた、つまり写真ではなく、生身の本人たちがショーウィンドーの中に入って、みんなでポーズを取って道行く人に見てもらおうというのである。四月中からショーウィンドーの中に、五月何日の何時から生きたタブロを展示するから見に来てくださいなんてメッセージだけを入れておいて、当日みんなで、というわけなのだが、時期的にうまくいかないことが多いようだ。
 五月というのは、年によって差はあるものの、大抵は気温が上がって、ひどいときには三十度を超えることもある。人に見てもらう必要があるから、昼間に実行しなければならない。日の当たる広いとは言えないショーウィンドーの中に大人数で入る。こうやって問題点を数え上げてみればわかるが、暑さに耐えきれなくなって、すぐに終わってしまうのが関の山だという。運がよければ気温があまり上がらず予定の時間を耐えきれるのかもしれないけれども、一度どこかのクラスが失敗したお店では引き受けてくれなさそうである。
 ただでさえ季節感に乏しいチェコで、室内での仕事に没頭するという季節感に乏しい生活を送っているのだが、毎年、このタブロとレストランのザフラートカの準備を目にすると、すでに春が来て、夏に向かおうとしているのだと実感することができる。

 最後に一つ警告をしておこう。毎年この時期には街中に珍妙な格好をした高校生の集団が現れ、道行く人を止めてお金を求めるのを目にすることがある。これも高校卒業のイベントの一つで、卒業学年の生徒たちが、卒業記念パーティーの資金集めに、街の人たちに寄付を求めるという風習のようなものがあるのだ。ひどいときには学校の前の通りにバリケードを築いて、寄付した人だけ通すなんてことをしている連中もいる。そんなのに遭遇したときには、なんて馬鹿なことをしているんだなんていきり立たずに(連中だって馬鹿なことをしているという自覚はあるはず)、いくばくかのお金を寄付していい思い出にしてほしい。チェコのお金じゃなくて日本のお金を与えるといういたずらをしてもいいかもしれない。
5月30日13時30分。


タグ:習慣 高校生
posted by olomoučan at 06:05| Comment(0) | TrackBack(0) | チェコ
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