2016年05月28日
チェコのテニス不調(五月廿五日)
今年に入って、チェコのテニス選手たちの調子が上がらない。始まったばかりの全仏オープンでも、上位進出が期待されていたカロリーナ・プリースコバーが初戦で格下相手に逆転負けを喫してしまったし、ペトラ・クビトバーも敗戦一歩手前まで追い詰められてしまっていた。
去年の今頃は、上の相手にはなかなか勝てないけれども、格下の相手に負けなしを続けて、安定した成績を残しランキングを上げていたトマーシュ・ベルディフが、今年はころころ格下の相手に負けてしまって、ランキングはまだそれほど下がっていないけど、ポイントをかなり減らしている。このまま行くとトップ10から何年かぶりに陥落してしまいそうである。現在開催中の全仏では、初戦を楽に突破したから、せめて去年と同じぐらいまでは勝ち進んでほしいところである。
この人、以前は同じチェコのテニス選手のルツィエ・シャファージョバーと、おしどりカップルでいい感じだったんだけど、いつの間にか別れてしまって、去年別の女性と結婚してしまった。トップ選手同士というのは難しかったのかなあ。
そのシャファージョバーが不調なのは仕方がない。昨年の九月に、感染症で病院に入院してしまって、一か月後ぐらいに復帰はしたが、今年の初めにまた体調を崩して入院ししばらく欠場を余儀なくされて、現在回復の途上にあるのだ。たしか二月の初めにフェドカップの試合があったときには、病院から応援のメッセージを送っていたはずだ。その後、復帰してからもダブルスでは結果が出るものの、シングルスでは初戦負けが続いた。そして、プラハで行われた大会で優勝して復活を遂げたと思ったら、翌週の試合では一回戦を勝ち抜いた後、二回戦を食中毒で欠場してしまった。
昨年の全仏で準優勝してランキングを上げてようやくトップ10に入って、本来の才能が開花したと思われていたところなのに、何とも間が悪いというか、運がないというか、昨年の九月以降、不運に付きまとわれているのである。その結果ランキングも二けたに戻ってしまった。そういえば去年のロシアとのフェドカップの決勝も、欠場していたなあ。去年準優勝した全仏で完全復活と行けばいいのだけど。
現役のチェコ人選手で唯一グランドスラムの優勝経験のあるペトラ・クビトバーは、以前からむらのある選手だったのだが、今年に入ってコーチを変えたせいなのかなんなのか、いいときと悪いときの差が大きくなってしまったような気がする。以前から信じられないような強さを発揮して勝った試合の次の試合で別人のような試合をすることも多かったのだが、最近は同じ試合の中でも別人になってしまう。全仏の一回戦も、楽勝パターンだった二セット目の途中で、悪いほうにスイッチが入ってしまって、最後は何とか勝ったけど、がけっぷちまで追いつめられていた。
クビトバーはいいときは本当に誰にも負けなさそうな強さを発揮するのだが、悪いときは本当に信じられないぐらいの崩れ方をして負けてしまう。自滅負けという言葉が、このクビトバー以上に似合う選手はいないんじゃないかな。久しぶりにトップ10から落ちて迎えたこの全仏で勝ち進んで、10位以内に復帰してもらいたい。つい何ヶ月か前にはトップ10に3人のチェコ人選手がいたのに、現在0というのは寂しすぎる。
チェコのフェドカップの代表は、ここ数年クビトバーとシャファージョバーが中心となってきた。不思議なことにクビトバーの調子が沈んでいるときには、シャファージョバーが大活躍し、シャファージョバーが勝てないときには、クビトバーがいいほうにスイッチが入ることが多い。二人とも不調ということがないおかげで、最強チームの名をほしいままにしているのである。昨年から欠場しているシャファージョバーの穴を埋めて活躍し始めたのが、ランキングのトップ10にも入っていたカロリーナ・プリーシュコバーである。
なのだけど、今回の全仏では、一回戦でクビトバーばりの自滅で負けてしまった。二セット目の途中までは負けることは、まったく想像もできないできだったのだけど。このプリーシュコバーは、ランキングのトップ10に入った去年でも、四大大会では、好成績を残せておらず、それ以外の大会で勝利を積み重ねてポイントを稼いでいたらしい。それが今年に入って小さめの大会でも去年ほどの結果が残せず、ランキングも落としてしまった。フェドカップでの戦いぶりを見ていると、もっといい成績を残してもおかしくないと思うんだけど、現時点ではチーム戦だけで発揮できる強さなのかもしれない。
チーム戦で無類の強さというか、ランキング以上の強さを見せるのが、ベルディフと共にデビスカップのチェコ代表を背負ってきたラデク・シュテパーネクである。この天性のエンターテイナー、もしくは道化師は、試合に負けた場合でも観客を十分に楽しませられることを、今年の全仏でも証明した。ミスも多いが、対戦相手にとっても、観客にとっても予想外のプレーを連発して相手をかく乱するのは、やはりベテランの経験なのかな。
デビスカップでは、スイスとの対戦で、怪我で足を引きずりながらフルセット戦い抜いて観客からは喝采を浴びたのに、フェデラーに大げさに痛がって芝居じゃないのかなんて批判されたこともあったし、セルビアだったかなとの対戦では、五セット目が延々終らず、十二時ぐらいまで試合を続けてデビスカップ最長試合の記録を作ったこともあった。一応ランキングトップ10に入ったこともある選手だけど、その事実は忘れられても、印象的な試合振りは少なくともチェコ人の記憶には残り続けるはずだ。具体的には書かないけど、私生活もあれだし。すでに超ベテランの域に入って、怪我で欠場することも増えていて、今後もあまり好成績は期待できそうもないが、もうしばらくシュテパーネクのプレーを見られるというだけで満足するべきなのだろう。
テニスは自分でプレーしたこともないし、特に熱心に追いかけているスポーツではないので、プレースタイルだとか何とかには、触れられないし、顔と名前が一致して多少文章にできるのは、毎年テレビで放送されるデビスカップとフェドカップで活躍して印象に残っているこの五人だけなのだ。願わくは、みな不調を脱し、今年も優勝せんことを。
5月26日23時。
こんな記事を書いたら三回戦でクビトバーもシャファージョバーも負けてしまった。もう一人のストリーツォバーが負けるのはある程度予想通りだったのだけど、三人とも1-2で、二セット目だけ取れたという同じパターンで負けてしまった。クビトバーなんて、一セット目と三セット目を0-6で負けてたから、またミス続出だったんだろうなあ。これでチェコ人の勝ち残りはベルディフだけになってしまった。なんか嫌な予感が……。5月27日追記。
おー、なんかベルディフ、若いぞ。それに着ている物がいいぞ。今回のあの白黒模様の珍妙なウェアは、悪名高かったシュテパーネクのデビスカップの時のやつよりひどいと思う。
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