2016年05月22日
EURO2016チェコ代表(五月十九日)
フランスで行われるサッカーのヨーロッパ選手権の代表候補二十八人が発表された(現時点ですでに三人減って二十五人になっている。三人はけが人が出たときの代替要員らしい)。今後オーストリアでの合宿と練習試合を経て、最終的な登録メンバー二十三人が決定されることになる。
メンバーを眺めてみると、初めてチェコ代表を応援しながら見た2004年のヨーロッパ選手権に出ていた選手が三人もいる。キーパーのペトル・チェフとロシツキーは、すでに主力として活躍し、プラシルは期待の若手として一試合だけ先発で出場したんじゃなかったかな。
ロシツキーはすでに2000年の大会に出場しているので、代表選手として十六年も活動を続けていることになる。ただし、2008年の大会には怪我で出場しておらず、チェフやプラシルと同じで四回目のヨーロッパ選手権である。プラシルは、ネドベド、ポボルスキーなどの最強世代が引退し、ロシツキーが怪我で欠場がちだった時期の代表を支えた功労者なのだが、プラシルが代表の中心となっていた時期の成績があまりよくなかったせいか、チェコでは過小評価されている嫌いがある。
当時の代表選手は、すでにほとんど引退してしまっているが、チェコリーグのヤブロネツで頑張っているヒュプシュマン、ムラダー・ボレスラフで復活を目指すバロシュなど、少ないながらも現役を続けている選手もいるようだ。オロモウツ出身のDFロゼフナルも、出場しているかどうかは情報がないけど、ベルギーリーグにいるみたいだし。でも、こうして思い返して見ると当時のチェコ代表ってのは、長期にわたって代表で活躍した選手が多いという意味で、やはり特別だったのだなあ。
次に特筆すべきグループは、2012年のロンドンオリンピック出場を目指して、2011年のU21ヨーロッパ選手権に出場した選手たちである。ドバリル監督に率いられて不思議なほど負けなかったこのチームは、本大会では準決勝で敗退し、オリンピック参加をかけた試合にも負けてしまったのだが、多くの選手が、その後A代表に呼ばれたという意味では、非常に成功したチームだったと言える。ただ、その後の成長が期待されたほどではないのが残念である。当時はしょうもない試合を続けていたA代表と試合したらU21が勝つんじゃないかというぐらいだったんだけどなあ。
まずは、チームの守護神だったトマーシュ・バツリーク。このゴールキーパーは、チェフほど体格に恵まれているわけではないが、チェコでも二部のチームや下位のチームでプレーすることが多かったおかげか、劣勢の中でも冷静さを失わずに危うい守備陣を支えて失点は少なかった。
DFからは、スラビアがチェコリーグで優勝してチャンピオンズリーグに出場したときの主力マレク・スヒーだけがA代表に定着できた。バツリークと同じスイスのチームで活躍しているので、バツリークが出るときには、スヒーも出るんじゃないかな。MFとしては、一度国外に挑戦してチェコに戻ってきたドチカルとマレチェク。本来はここにオロモウツ出身のホジャバにいてほしかったのだが、伸び悩んでいるからなあ。
FWのトマーシュ・ネツィットは、U21の本戦は怪我で欠場していたかもしれないが、予選でペクハルト、コザークと共に、コレルの縮小版電信柱系FWとして活躍したのだった。この三人の中では、ペクハルトが一番若いころから期待されドイツに移籍したのに大成せず、コザークは活躍すると怪我に泣かされるという不運な選手生活を送っている。ネツィットも以前の大怪我から復帰したのだが、怪我前のプレーレベルには戻っていないように見える。
このグループの中で、一番主力選手として出場しそうなのは、ロシツキーの状態次第なところはあるけど、今回の予選でも大活躍だったドチカルかなあ。バツリークはチェフが怪我でもしない限り控えだろうし、ネツィットはブルバ監督の選ぶ戦術次第かな。
そして、昨年チェコで行われたU21のヨーロッパ選手権に出場した伸び盛りの選手たちがいる。筆頭は、SBのパベル・カデジャーベクだろう。本来は前目の選手だったのだがコンバートされてから一気に才能が開花して、今ではドイツで活躍している。同じくドイツにいるベテランのゲブレセラシエとどちらを使うかは監督も悩むことだろう。このどちらかが怪我したら、スパルタのザフステルが招集されることになりそうである。
二番目はちょっと調子に波がありすぎるスパルタのラディスラフ・クレイチー。好調だったらレギュラー間違いなしだけど、調子を落としたら同じスパルタのシュラルにポジションを取られそうである。この二人のどちらかが怪我をした場合に備えて予備メンバーとしては、2011年のU21メンバーのコバジークが控えている。
三番目のイジー・スカラークは、冬の移籍期間にイングランドの二部に移籍して、最近活躍を始めたようであるが、移籍したばかりの頃の代表選で見たときには、プレーが荒っぽくなっていて、心配だった。ブルバ監督が招集したということはその辺も解消されたということなのだろう。
最後のコウベクは、三人目のキーパーということで、経験を積ませるために連れていくということになりそう。チェフとバツリークがいれば問題はないポジションだし。本当はこのグループの中心には、バーツラフ・カドレツがいるはずだったんだけど、ドイツ移籍後に出場機会を失って、現在デンマークでリハビリ中である。
最初のグループと二つ目のグループの間に、三十歳前後のベテラン選手が、たくさん呼ばれていて、特にDFでは、トマーシュ・シボクとミハル・カドレツの二人はCBの第一候補で、控えにオロモウツ育ちのロマン・フブニークがいる。SBには、リンベルスキーと控えのダニエル・プディル、反対側で若いカデジャーベクとポジションを争うゲブレセラシエという具合に、DF陣は経験を重視してベテラン優先の選出をしたようだ。できれば、CB枠で若いバラーネクかブラベツを呼んで経験を積ませてほしかったところだけど。
MFにはこのベテラン枠での選出がおらず、FWは、恐らくネツィットと先発を争うだろうチェコリーグ得点王のダビット・ラファタと、遅咲きでアンダー世代の代表経験もなく最近招集され始めたスラビアのミラン・シュコダ。シュコダは、なかなか才能を発揮できなかった選手で、スラビアでは一時期DFで出場させられていたこともある。その後、FWに戻ってゴールを量産し始めたから、DFの経験は無駄ではなかったようである。
二つ目と三つ目のグループの間の二十五歳前後の比較的若手選手としては、何と言ってもダリダである。2012年のヨーロッパ選手権で、怪我のロシツキーに代わって鮮烈なデビューを果たしたダリダは、今大会でも、活躍してもらわないと困る選手である。これまでは、招集されいてもいなくても常に代表の中心にロシツキーがいたが、今後はダリダのチームに、世代交代することになりそうだ。間の世代がパッとしなかったので、間隔が空いてしまったけど。
ヨゼフ・シュラルとダビット・パベルカはどちらもリベレツでの活躍が代表選出につながった。シュラルはクレイチー、パベルカはダリダ、プラシルあたりが怪我をした場合に出番がきそう。二人とも出場したら何かやらかしてくれそうな、期待感のある選手なので、ブルバ監督が上手に使ってくれることを期待しよう。
最後に完全若手枠で、現U21代表FWのパトリック・シクが選ばれた。アヤックスにいるバーツラフ・チェルニーも候補に挙がったらしいけれども、トップチームでの出場機会が少ないことが嫌われ、チェコリーグ下位とはいえボヘミアンズでレギュラーとして活躍しているシクが優先されたらしい。今後の経験のために、最終的に代表から外れることになっても、チームに帯同させてほしいところだ。
こうしてみると、超ベテランから若手までなかなかバラエティにあふれた選手たちで、ちょっとDFがベテランばかりなのが気になるけれども、前回の2012年よりも期待が持てそうな気がする。2006年のワールドカップと2008年のヨーロッパ選手権は、期待は大きかった分だけ落胆することになったが、今回はどうなるだろうか。
忘れていたけれども、この二十五人の中から最終的には二人落選することになるのか。減らすとすればFWからな。
5月20日18時30分。
ビドラは二大会連続で直前で代表落ちということになったらしい。同じくイングランドの二部に在籍しているプディルも同じような目にあっていたはずだから、やっぱりイングランドは鬼門なのかな。5月21日追記。
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