2018年12月15日
国家試験解説「応用力試験(No.181,182,183)」〜臨床栄養学、栄養教育論〜
次の文を読み「181」、「182」、「183」に答えよ。K内科クリニックに勤務する管理栄養士である。居宅療養管理指導を行っている。患者は、84歳、女性。約30年前に糖尿病を発症し、現在は1,200kcalの食事療法と毎食、食前に即効型インスリンの薬物療法で治療を続けている。糖尿病網膜症により視力はほとんどないために、87歳の夫が食事を作って食べさせ、一緒に入浴するなど、日常生活のほとんどを介護している。
身長147cm、体重52kg、血圧138/94mmHg。空腹時血液検査値は、アルブミン4.0g/dL、血糖118mg/dL、HbA1c7.0%、トリグリセリド95mg/dL、総コレステロール175mg/dL、LDL-コレステロール105mg/dL、HDL-コレステロール48mg/dL、尿素窒素16mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL。
身長147cm、体重52kg、血圧138/94mmHg。空腹時血液検査値は、アルブミン4.0g/dL、血糖118mg/dL、HbA1c7.0%、トリグリセリド95mg/dL、総コレステロール175mg/dL、LDL-コレステロール105mg/dL、HDL-コレステロール48mg/dL、尿素窒素16mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL。
Q181.患者の栄養アセスメントの結果である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)脂質異常症にあてはまる。
(2)標準体重の範囲を超えている。
(3)低栄養状態である。
(4)糖尿病腎症が進展している。
(5)血糖のコントロールは良好である。
【解説】…正答(5)
<アセスメント>
・糖尿病網膜症で視力がほとんどなく、日常生活のほとんどを夫が介護→基本的ADL低下
・身長147p、体重53s(標準体重47.5s)→BMI24.1s/uで普通
・血圧138/94oHg→拡張期血圧高値(診断基準:140/90oHg以上)
・アルブミン4.0g/dL→正常(基準値:3.7〜4.9g/dL)
・空腹時血糖118o/dL→正常(診断基準:126mg/dL以上)
・HbA1c7.1%→血糖コントロール良好(速効型インスリン療法によるコントロールかつ基本的ADL低下による血糖コントロール目標:8.5%未満)
・血清脂質:トリグリセリド96mg/dL→正常(診断基準:150mg/dL)
LDL-コレステロール105mg/dL→正常
(診断基準:140mg/dL以上<境界域は120〜139mg/dL>)
HDL-コレステロール48mg/dL→正常(診断基準:40mg/dL未満)
non-HDLコレステロール127mg/dL→正常
(診断基準:170mg/dL以上<境界域は150〜169mg/dL>)
・尿素窒素16mg/dL→正常(基準値:9〜21mg/dL)
・クレアチニン0.7mg/dL→正常(基準値[女性]:0.4〜0.9mg/dL)
(1)誤り。トリグリセリド、LDL‐コレステロール、HDL‐コレステロール、non-HDLコレステロールの
いずれも正常であり、脂質異常症ではない。
(2)誤り。標準体重とはBMI22s/uとなる場合の体重を指し、範囲は存在しない。
(3)誤り。BMIは普通、アルブミンは正常であり、特に体重減少が生じている記載もないため、
低栄養状態とはいえない。
(4)誤り。尿素窒素、クレアチニンともに正常であり、糖尿病腎症が進行しているとはいえない。
(5)正しい。患者は84歳と高齢で、即効型インスリン療法による血糖コントロールを行っており、
かつ基本的ADLが低下している。
このことから「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標」のカテゴリーVに分類され、
血糖コントロール目標(8.5%)を下回っている。
したがって、血糖コントロールは良好とアセスメントできる。
Q182.昨日の食事メモをもとにして、日常の食事内容をアセスメントした。ほぼ毎日これに近い食事を続けているという。管理栄養士が患者に最初にかける言葉である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1)食塩摂取量が多めですね。
(2)たんぱく質摂取量が少なめですね。
(3)簡単な料理の繰り返しですね。
(4)3食バランスよく摂取できていますね。
【解説】…正答(4)
(1)・(2)適切でない。管理栄養士から先に患者の食事内容を評価するのではなく、
聞かれた質問を行い、自身の食事内容の問題点について患者に考える機会を与えたり、
患者の行動の準備性を確認した上で、専門家としての意見を述べたりすることが望ましい。
(3)適切でない。患者の食事内容を否定しており、管理栄養士が患者にかける言葉として不適切である。
(4)適切。記録方も主食、たんぱく質源、副菜が3食ともそろっていることがうかがえる。
受容的な態度で患者に接しており、ラポールの形成をする上で最も適切な発言といえる。
Q183.これまで夕食後20時ぐらいにお風呂に入っていた。最近、夫が19時からの野球中継を観るため、夕食前の17時にお風呂に入るようになり、風呂上りに低血糖になることがある、と患者から相談された。これに対するアドバイスである。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
(1)低血糖を防ぐため、昼食の量を増やし、その分夕食の量を減らす。
(2)低血糖を防ぐため、朝食の果物を入浴前の補食に回す。
(3)低血糖を防ぐため、入浴の時間を短くする。
(4)夫にテレビ観戦を我慢してもらい、これまでと同じ時間に入浴してもらう。
【解説】…正答(2)
(1)適切でない。夕食の量を減らすと就寝時低血糖が起こるリスクが高まるため、
適切なアドバイスとはいえない。
(2)適切。朝食の2品のデザートのうち1品を入浴前の補食に回すことで、
入浴後に低血糖が起こるリスクを下げることができる。
(3)適切でない。患者のQOLを下げることになるとともに、
入浴時間を短縮しても低血糖を予防できるとは限らないため、適切なアドバイスをはいえない。
(4)適切でない。介護者のQOLを下げることになるため、適切なアドバイスとはいえない。
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