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2017年10月04日

Scoovo C170 トレイの制作

 久しぶりにScoovoC170を動かしたくなりました。

 今回の完成品のトレイは以下のようです。縦×横×高さは
   30.5×14.5×3(センチ)
です。

DSCN3302.JPG


30.5センチ の長さはScoovoC170 では一気に造形できません。そこで図からわかるように半分ずつ作成して結合します。

 今回の制作目的は結合部分の構造の実験です。

トレイ.jpg


上が設計図です。高さが結合部分も含めて15.5センチあります(ScoovoC170の高さの限界は17センチです)。
 半分ずつ別々に造形してもいいのですが(造形時間も半分になる)、上のように2つ並べてベッド上に0.5ミリ(これは2層で造形される)の板で連結しておくと安定します。
 高さの高い造形物は接地面が狭いと造形中に転倒します。

 以下は造形結果の結合部分です。面の厚さは4ミリです。45度の矢印構造にして嵌め込んだ後は固定されるようにしました。爪の高さは5ミリです。この爪は思ったより頑丈です。爪の長さ2センチでも実験してうまくいきました。そのときは「これはきっと途中で爪が折れるぞ」と思いながらプラスチックハンマーでたたいて嵌めましたが最後まで問題がありませんでした。

DSCN3290.JPG


 設計段階で爪と爪との間には0.5ミリの隙間を作ってあります。矢印構造は45度の傾きなので面は横にすると繊維は爪の方向になってきれいに造形できます。
 しかし、そうするとトレイの縁は垂直に立つのでその部分の爪は造形できません。

 今回のように爪を立てて造形するとフィラメントが横に走ります。嵌め込むときにこれがかみ合って一度プラスチックハンマーでたたき込むと2度と抜けなくなります。
 そのため爪の長さは5ミリで十分強力な結合となります。

DSCN3292.JPGDSCN3293.JPG


DSCN3305.JPG


 久しぶりにシルバーとブルーのScoovoC170を動かして調子を確認したかったので色違いで造形して別々に組み合わせてツートンカラーにしました。

 上の図で分かるように白い半分の爪の下位置に線が入っていますが、これは造形時の0.5ミリ程度のずれです。
 高い高さの構造物はベッドの移動によって慣性のトルクが強く働きます。これは磁石で固定されているベッドの前後を浮かせるように働きます。

以前の記事「 「ネジ」による構造物(その2)、スピードへの挑戦 」ではタイミングベルトの山が滑ると2ミリのずれが発生することをいいました。
 しかし、今回のずれはずっと小さいのでそれとは異なります。ベッドは磁石で固定されている限りは動きませんが、強い力でずらすとわずかにずれます(0.5ミリ程度)。
 今回はこれが起こったと考えられます。
 対策は、造形物の上部を作成するときは造形スピードを落とすことです。
ちなみに今回の造形時間は2倍速で10時間15分程度です。

DSCN3298.JPG


 トーストを焼いてコーヒーを入れてみました。

 いただきます。

2017年04月16日

Scoovo C170 一輪挿し、花瓶の製作

 春です。お花が咲きます。

 そこで、一輪挿しや花瓶(瓶ではないが)を作ってみましょう。

 一輪挿しは縦長で不安定ですが、受け皿と一体として造形すれば簡単に倒れません。図は大小の一輪挿しです。「123D Design」のTweekの機能で引っ張って作成したものです。

 水を入れて花を入れてみました。

うん、なかなかいい、と思ったのですが、少し時間がたつと台の上に水滴が出てきました。Scoovoの造形物はPLA素材の繊維を張り付けているので密度を100%にしてもわずかな隙間が発生します。

 つまり、Scoovoでは直接液体を格納する完全な容器は無理です。

 解決策として、図のようにビニールなどの袋を内側に入れて水とお花を入れることにしました。造形時に一輪挿しの内側に発生するフィラメントの突起は削りとらないとビニール袋に穴があいてまたまた水漏れが発生するので注意してください。
DSCN3245.JPG


ビニール袋の端が一輪挿しの淵からはみ出ているのは今一かな。そこで花瓶の淵にビニールの端を挟み込めるようにしました。

  下図のように嵌め込み枠を嵌めてから、ビニール袋(うすい袋を二重にセットしました)のはみ出た部分はカッターで切り取ります。

DSCN3256.JPGDSCN3255.JPG


 嵌め込み枠は植木鉢の雰囲気にしてくれますが、枠のないデザインも考えました。
 図の左2つです。

DSCN3263.JPG
 図は「123D Design」でのデザイン画面です。つまりカップの内側に嵌め込みバンドを作成してそれが外から見たデザインに影響しないようにしました。

kabin1e.jpg


 お花を買って、入れてみました。

DSCN3258.JPGDSCN3279.JPG


DSCN3286.JPG

 ではまた。

 追伸 次の投稿は少し先になる予感がします。


2017年01月29日

Scoovo C170 サポート考

 前回は、サポートなしできれいに造形できる仰角を試しました。
 今回は必要なサポートの設定について考えてみます。

 自分で設計する造形物は、可能な限りサポート不要に設計できます。そしてどうしても必要なサポートは自作すると、思い通りの結果を生むことができます。

 しかし、それがむずかしい場合もあります。

 記事「Scoovo C170 と Sense Scanner 3D とのコラボレーション 自分の手文鎮、胸像の制作」
で3次元スキャナで胸像の作成を行いました。胸像のようなオブジェクトは「顎」や「耳」などが顔から俯角(仰角でいうとマイナス)で飛び出ています。
 これに対してどのようにサポート材を作成すべきか、試してみました。

 SCOOVO StudioでもRepetier Hostでも既定値として

Overhang threshold  : 0°

となっています(図はRepetier Host)。

 この角度は仰角(水平が0°)のようです。
 ただ、この値を0°のままにすることは「デフォルト値」を意味するようです(適当にサポート材が作成される、15°程度のサポート材ができる)。
 1°とかにするとサポート材ができません。10°、20°・・・と増加するとサポート材の作成部分が増えます。
Support_material.jpg


 この設定で「Sense Scanner 3D」で取り込んだ胸像を試してみました。

 右図は
 overhang threshold : 0°
つまりデフォルトでサポートの指定をしたものです。
 具体的には、上記の「Configuration」「Print Settings」「Support material」の設定の「Generate support material:」にチェックを入れただけです。

 下欄の「Contact Z distance:」は既定値の「0.2(detachable) mm」のままとします。これはサポート材の上に造形物を作成するときに0.2ミリ離す、という設定です。フィラメントが0.2ミリ上にふんわりと射出されるのでサポート材に固着しません。そのため下部のサポート材をきれいに取り除くことができます。

 記事「Scoovo C170  Repetier-Hostの紹介」で述べたように設定した内容はいったん名前をつけて保存し、「スライス」ボタンを押す前にリストボックスから選択します。
DSCN3274.JPG


 余談ですが、既定値以外の選択肢は「0(soluble)」(溶かしてなくすことができる)です。これが選択できる3Dプリンタは例えば
ネットで検索しただけですが、「FLASHFORGE:Dreamer(ドリーマー)」「Cubeレジスタードマーク 3rd generation」などです。
 これらは、ヘッドが2個あって1個はサポート材の作成専用にすることができます。水溶性のフィラメントでサポートを作成して完成後に水につけるとサポート部分が消えてなくなるというしくみです。

 すごくうらやましいです。

 残念なことにこれらは国産ではありません。日本は先進国といわれていますが、国産3Dプリンタの数とか性能をみるとアメリカ、中国、西洋、北欧に比較してかなり遅れています。日本の製品は企業向けには優秀なものがあるかもしれません。しかし、趣味なんだけれど十分使えるというものが今一です。

 でも「何とかと鋏は使いよう」なので結局道具としての3Dプリンタも使い方次第です。

 さて本題に戻りましょう。
 サポート材の設定条件を現実的にすると上図のように必要な部分に限定的にサポート材ができます。

 しかし、サポート材を取り除くと右のように穴ができてしまいました。
 0.2ミリ離すので取り外せる(detachable)のですが、それはサポート材の上です。下はそんな設定をしたらサポート材が倒れてしまいます。

 つまり、造形物に固着したサポート材の下の部分を取り除くのはとても難しいです。

 図の造形物は内部は15パーセントなのでサポートを取り除くときに表面の皮が剥がれて図のようになります。
DSCN3284.JPG


 サポート材が造形物を外して、斜めに支えていれば解決するはずです。

 これはスライサ―がかしこければできるはずです。そのようなスライサーがあったら教えてください。

 さて、結論はスライサーまかせのサポート材の能力はきわめて限定的です。

 やはり、「サポートは自分で作りましょう」が結論です。

 右は顎の部分に自作のサポート材を設定したものです。造形物の外から斜めに設計しました。耳の下にはフィラメントが垂れています。
 気になるならここにも斜めからサポートを入れましょう。
DSCN3281.JPG


DSCN3282.JPGDSCN3283.JPG


 サポート材は完全に取り除かれて上図のように完成しました。

 胸像のような自然のオブジェクトはstlファイルにしても大変な情報量です。造形ソフト「123D Design」で編集可能なファイル形式に変換できません。なのでサポート材はオブジェクトに合体せずにそばに独立して置きます。オブジェクト(挿入で読み込んだstlファイル)の底面の位置を座標の上に持ってきて(stlファイルの底面に座標が発生しないので)その座標からサポート造形物を作成します。慣れるとむずかしくないです。とりあえず垂直に作成したサポートは「Tweak」の機能で上部を選択して引っ張ることで簡単に飛び出た造形物の下に持ってゆくことができます。

 最近のScoovo C170の値段をみると、昔の定価になっているのでびっくりです。ずいぶん強気です。

 エクストルーダを2つ備えて、水に溶けるフィラメントが使用できる製品を作ってほしいです。

 しかし、上記のようにサポート材を工夫すれば、1個のヘッドでも十分使えます。
 上図の頭部の像は目や口の細部が今一です。これは3Dスキャナー「Sense Scanner 3D」の能力の限界です。stlファイルがしっかりしていればScoovo C170はそれを再現する能力がありそうです。

それではまた。

2017年01月15日

Scoovo C170 (a)風呂場衣類かご (b)積重ね格納ボックス

 最近作成した造形物を紹介します。

(a)風呂場衣類かご

DSCN3182.JPGDSCN3184.JPG


 図は風呂場において使用する衣類かごです。
横124×奥行32×高さ10センチ です。
重さは1.6キロです。

 右上は電気を消して撮影しました。

 前々回の記事
「Scoovo C170 くせものフィラメント、ノズルの劣化、ヒーテッドブロック(リモコン格納ボックス、郵便物ボックスの製作において)」
で述べた蛍光フィラメントを使用している部分が緑色に光っているのが分かります。

 実際の使用状況は右のようです。
 これは、以前に何回も使用した10×10センチのパネルと結合コネクタによる造形物です。
 縁は、直線のものの他にT字形やL字形も作成してそこそこに頑丈になっています。
 大きさは風呂場にある下着格納ボックスの上のスペースに合わせて作成しました。
DSCN3260.JPG



(b)積重ね整理ボックス

DSCN3236.JPGDSCN3238.JPG


 小物格納ボックスの一種です。

 何段にも重ねることができます。

DSCN3231.JPGDSCN3244.JPG


上左図のように、ユニットの下部の突起が上部の穴にパチンと嵌まるようにしてあります。

 上左のものは高さが175センチあります。つまりScoovoC170の高さの限界です。造形物右側に位置する3つの支えのある面は、上部の梁に対するサポート材(自作)です。あとでバリバリと取り除くと梁が残ります。

 使用場所の1つはキッチンです。上部のネジは天井(上部収納庫の下部)に固定するものです。以前に設計したネジが役立っています。

 右は、玄関の下足箱の上です。色彩を周りに合わせてあります(ブロンズ色)。透明色も用いていますが、透過光が内部を明るく照らします。

 宅配用のシャチハタや自転車のカギなどを格納します。
DSCN3243.JPG


 引き出しのように飛び出ている部分は、右のように別に造形して嵌め込みます。

DSCN3225.JPG


 さて、皆さんはこのように完成した造形物をベッドから剥がすとき、どのようにしていますか。
 ベッドへの接地面が大きい造形物を剥がすのは工夫が必要です。

 私もしばらく造形物を破損したり、ベッドにすごい力を加えてはらはらしたり、苦労しました。

 現在は図のようにプラスチックのペンをてこにしてマイナスドライバーを用いて少しずつ剥がすことでほとんど失敗はなくなりました。
 図のペンを手で支えてマイナスドライバーを右に押し下げればベッドを傷つけることはありません。
DSCN3214.JPG


 造形物の端には問題のない程度のわずかな剥がれがけっこう発生しますが、これは剥がすためにマイナスドライバーを差し込むことができてある意味都合がいいです。

 明けましておめでとうございます。今年も楽しい時間をお過ごしください。


2016年12月31日

Scoovo C170 (a)造形実験 (b)Gコードによる一時停止

(a)造形実験


 前回の危険な円形のくり抜きには懲りました。

 右のように三角形のくり抜きにしてみました。
 これは道具立てです。
上の白い部分は縁が少しとび出ています。

 このように中空にせり出すと一般的にはサポート材が必要になります。
スライサーまかせでサポート材を設定すると、例えば仰角45度以下のせり出しに対してサポート材が作成されます(スライサーの設定で変更できます)(仰角というのは水平を0度として上向きに測ります、ちなみに下向きには俯角という言葉があります)。
DSCN3242.JPG


 しかし、サポート材なしで造形できればもっとも手間が省けます。
 そこで、サポート材なしできれいに造形できる最小の仰角を実験で調べてみました。

 右図 123D Design 上で設計した実験用構造物です。
 左から仰角10度、20度、30度のせり出しです。

angleTest.jpg


 右はScoovoC170によって造形したものです。
 10度、20度ではせり出しに造形の乱れが見えますが、30度になるときれいにせり出しています。
 10度単位の大雑把な実験ですが、結論です。
DSCN3235.JPG


◎ せり出しを仰角30度以上にすればサポート材を用いずに問題なく造形が可能である。

 最初の「道具立て」の縁は、これを守って設計、造形しました。


(b)Gコードによる一時停止

 「道具立て」の縁はScoovoC170を一時停止してフィラメントの色を透明から白に変更しました。
 いままでは、このようなとき、縁の造形が始まる頃にScoovoにへばりついて手動で一時停止してフィラメント交換をしていました。
 しかし、今回からGコードにコマンド

 @pause

を記入して、最適な位置で自動的に一時停止して「フィラメント交換待ち」にする設定をしてみました。
 これは「Repetier-Host」のヘルプから学んだことです。ヘルプの記述には誤りがありますが、修正して記載します。

 例えばGコードの途中に

 @pause ――――フィラメント交換!!――――

と記入すると、造形中にそのコマンドに達すると図のように造形が「一時停止」します。
 「――――フィラメント交換!!――――」
のコメントの日本語は文字化けするようです。半角アルファベットが安全です。
 そこでフィラメントを交換して「プリント継続」ボタンを押せば新しいフィラメントで造形が続行されます。
pause.jpg


 さて、「@pause」コマンドの記入場所は次のようにして探します。
 右図は「Gコードエディタ」を開いた状態です。
 コマンドの中で最も多いのは

G1 X6.356 Y75.356 F7800.000

のような「G1」コマンドです。その右のXYZの数値は座標です。Eはエクストルーダーの座標(フィラメントの射出)です。Fはスピードのようです。
 上のコマンドにはZはないので水平の移動を意味します。またEもないのでフィラメントの射出もありません。

G1 Z73.400 F7800.000

はZ方向(垂直)の移動を意味します。

 右のスライダーを下げると最後のコメントとしてこのGコードがどのようなスライス設定(コンフィグレーションの設定)で作成されたか記入があります。

Gcode2.jpg


; first_layer_height = 0.2

は一層目の厚さを0.2ミリとする。

; layer_height = 0.3

は造形の解像度を0.3ミリとする。
というような具合です。

 さてGコードの下の「表示」タブで「単一のレイヤー表示」を指定して数値を変化させると特定の層が表示されます。
 これによって例えば「道具立ての縁が245層から始まっている」と分かったとします。するとこの層のZ座標は
0. 2+(245−1)×0.3=73.4ミリ
と計算されます。

 「表示」タブの並びに「Search」タブがあるので欄に「Z73.4」として検索します(Zは大文字です、またカーソル行より下を検索するのでスライダーを上げて始めにカーソルを置いてから検索します)。
 すると245層の造形のGコマンドの位置が特定されます。

 さて、この付近に「@pause」を挿入すれば一時停止しますが、ノズル先端が造形物に密着したまま停止を続けると、フィラメント玉ができたりします。ノズルを造形物から離したいです。
 また、作成者がフィラメント交換に行くまで何時間でも待っていてほしいので、一度ヒーターを切りたいです。

 そのために、次のようなコードを挿入します。



; G1コマンドの直前にinsert
M104 S0
G1 X0
@pause ――――フィラメント交換!!――――
; insert end



「M104 S0」でヒーターを切ります。
「G1 X0」でX座標0に移動してノズルを造形物から外します。
そして、一時停止します。これら2つのコマンドは「@pause」の前に記入する必要があります。これらはメモ帳にでも記録しておいてコピペで記入します。

 さて「えっ これでいいの!」と気付いた人もいるかもしれません。

一時停止コマンドはそのときの座標を記憶します。なので「プリント継続」ボタンを押したとき、ノズルはいったんX=0に移動します。
 しかし、上のコードが例えば

G1 X6.356 Y75.356 F7800.000

のようなG1コマンドの直前に記入されていればノズルはすぐに造形物の上に移動して造形を継続します。一番望ましいのはそのG1コマンドにはEオプションがないことです。なぜか考えればわかります。ただあってもほとんど問題にはなりません。

 老婆心ながら、「プリント継続」ボタンを押す前にヒーターの過熱をお忘れなく。


 今回はちょっとマニアックになりました。でもプリンタの仕組みがわかると楽しいです。

2016年12月17日

Scoovo C170 くせものフィラメント、ノズルの劣化、ヒーテッドブロック(リモコン格納ボックス、郵便物ボックスの製作において)

 小物の製作をしました。

 テレビやエアコンを操作しようと思ったときリモコンの探索にいらいらしたことはありませんか。
 リモコンボックスを準備してそこに格納します。

 毎日やってくる郵便物はすぐには読むことはできません。これはゴミ箱行き、これは保管、これはすぐに手続き、と分類するまで少し時間がかかることがあります。
 そこでテーブルの上に郵便物一時格納ボックスを準備することにしました。

 リモコンボックスは写真手前中央です。

 リモコンボックスを作成してみたら、これはボールペンや道具を立てて格納するのに便利なことに気付きました。右の2つは高さを少し低くして作成しました。

 左2つと中央後ろは、容器の仕切りを斜めにして幅のある郵便物も格納できるようにしました。
 リモコンボックスは14×14×高さ10センチ、郵便保管ボックス(突き出た仕切りは除く)と道具立ては同×高さ8センチです。
DSCN3221.JPG



《ノズルの劣化》


 リモコンボックスにしても郵便物保管ボックスにしても壁面に穴があっても不都合はありません。むしろ中がよく見えてまたフィラメントの節約にもなります。

 そこでかなり大きな円形のくりぬきをしました。
DSCN3233.JPG



 しかし、これがトラブルを引き起こしました。

 図のように円の上部がつながるときに、突き出た部分が跳ね上がってノズルの先端をはげしくこする現象が起こりました。最初の図のようにいくつかはなんとか製作できたのですが、あるときから跳ね上がりが激しくなってとても危険な状況になったので制作を中断しました。

 このあと、ブルーのScoovoの造形が不調になりました。

 『ノズルの目詰まりはない』のにスカートからしてなめらかにプリントできません。フィラメントの流出が太くて短かくくびれるか気泡が混ざっている感じです。

 やむなくノズルを交換しました。

 ノズルの寿命を調べるためにフィラメントの使用量を記録しています。
 データがたまったら公表したいと思っていますが、現在の中間報告では、

      1本のノズルでのフィラメント流出量は10キロ弱(つまり10リール弱)

と思われます。

 ところがこのブルーのScoovoのノズルはまだ4キロにも達していません。目詰まりも起こしていません。

DSCN3218.JPGDSCN3219.JPG


 ノズルを取り外して新品と比較してみました(上図)。

 左のようにノズルの穴が大きくなっています。原因は右図のようにノズルの先端が摩耗したためです。

 摩耗の原因は前図の跳ね上がった造形物との摩擦と考えられます。PLA樹脂は以外と固く何回もこすると銅はすり減ります(Scoovoのエクストルーダーの移動の力はすごいです)。
 この現象は避ける必要があります。

 目詰まり以外でノズルがだめになる現象をはじめて確認しました。

 ノズルの先端をぎゅっとつまんで穴を小さくする道具があれば使用可能にできるでしょう。しかし、そのような道具が手元にありません。


《ヒーテッドブロックの損傷》

 そして、トラブルはそれだけではありません。

 ノズルを交換するときにヒーテッドブロックを割りますが、アルミの中の雌ネジの溝が黒く焦げたようになってネジが効かなくなりました。推測ですが、ノズルが跳ね上がりにぶつかるときにブロックが激しく振動してネジをだめにしたと思います。

 このような予定外の振動は、記事「Scoovo C170 造形の基本ノーハウ3」では「赤い耐熱カバーのついた配線の圧着接続」を黒く焦がしてだめにしました。似たような現象だと思います。

DSCN3216.JPG そこで以前から考えていた方法を実践しました。

 図のように手元にあった0.9ミリ径の銅線を2回まわしてノズルとブロックを固定しました。

ネジは使用しません。


銅線の端をひねって固定するときにはこびりついたフィラメントかすを溶かして結合するためにヒーターを加熱する必要があります。注意の要する作業です。しかし基本的にはアルミネジをしめるときと同じです。

 ちょっと痛々しい感じですが、実は私はこれで十分だと思っています。

 「Scoovo C170 造形の基本ノーハウ3」で述べたようにこれで機能します。むしろ溝が飛びやすいアルミネジよりこのほうがしっかり結合できます。

 現在のところこれで快調です。


 参考までに、右は造形の不具合を調査中に撮影したものです。ノズルはまだ交換していません。アルミネジは未練がましくまだ入れてあります(左の方が効かない)。
 太くなった穴の先端からフィラメントが垂れていますが、造形時の流出状況もこんな具合です。目詰まりしているわけではないので密度100パーセント近くでのプリントは可能です。しかし低い密度での内部の格子構造はかすれてしまって造形できません。
 細いなめらかな流出が必要です(下方の写真参照)。

 このようになると円の上部の跳ね上がりが起こりやすくなるはずです。

DSCN3190.JPG



《くせものフィラメント》

 インターネットを探していたら1キロ1980円(これまで使用しているものと同じ値段)で出品されているフィラメントを発見しました。試しに3リール購入しました。

 これはくせものでした。PLAというだけで使用温度などのスペック記載がありません。色はやや緑がかった透明色なのですが、暗くするとしばらく緑の蛍光を発します。

 これを用いた造形物はまた別の記事に載せたいと思っています。

DSCN3187.JPGDSCN3203.JPG


 上左の図はこれまでの性格の良いキロ1980円フィラメントです(白)。右が今回購入した蛍光フィラメント(キロ同じ値段)です。ともに造形可能な流出状態です。しかし右はフィラメントがなめらかではないことが分かります(ぶつぶつが見える)。これは目詰まりを起こしやすいようです。

 左はシルバーのScoovoで、右はノズル交換したブルーのScoovoです。左のノズルでのフィラメント使用料は現在3キロ弱ですが、こちらのノズルで蛍光フィラメントを使用すると途中で流出が止まってしまいがちです(完成までもつこともある)。

 右の新しいノズルでは問題なく造形できました。しかし最近は右のノズルでもときにダッキングが出てプリントがかすれるようになりました。

 現在、残りの1リールと少しは特に蛍光色の造形が必要になるまで保管状態です。


《結論》

 今回のトラブルの原因は壁面に大きな円形の穴をあけたことです。
 製作中に円の上部での跳ね上がりを防止するには何らかのサポート材を準備する必要があります。三角形のような穴ならば跳ね上がりは起こらないはずです。

(1)大きな円形の穴はあけない(小さなものは問題がない)。

(2)どうしても大きな円形の穴が必要な時は適切なサポート材を作成する。

サポート材を使用しないとき、構造物の空中へのせり出しの角度による造形の乱れについて簡単な実験をしてみました。

 次回以降で記載したいと思います。それではまた。

2016年12月01日

Scoovo C170 (a)大きな整理棚または本箱 (b)昇降ネジへの給油 (c)自問自答

(a) 大きな整理棚または本箱


「Scoovo C170 よもやま話2(完成した本箱、作品のその後、ノーハウ)」で作成した本箱を4段重ねにしてみました。

 横35センチ奥行25センチ高さ163.5センチと小柄な人程度の造形物です。

 重さは8.6キロでScoovo C170の中から生まれたものとしては巨大です。なにしろ8リールと半分のフィラメントを使ってしまいました。

 極力フィラメントを節約したいのと軽くしたい思いから、造形時の密度は15パーセントです。造形物の表面近くの3層は100パーセントなので板のような薄い構造物は密度を下げてもそれほど軽くはなりません。また強度も思うほど落ちません。
DSCN3154.JPG


DSCN3153.JPG 左図は最後の側面を嵌め込む直前のものです。


 板の厚さは1センチあるのでそこそこに頑丈です。本のような重いものでも格納できます。

 現在の使用用途は図のように、散らかっているものは何でも押し込むという雑なものです。

 縦長なので部屋のスペースは有効利用できます。

DSCN3174.JPG



(b) 昇降ネジへの給油

 Z方向昇降ネジの付近からまた異音が出るようになりました。カシャカシャ!という音です。造形中にエクストルーダーが移動する前後における1ミリの上下のときです。

 「Scoovo C170 3次元プリンタの未来形(その3)(テーブルと椅子の完成)」で頂いたコメント 「Posted by hkora11 at 2016年09月20日 20:53」 のアドバイスに従ってScoovo C170の左右側面のパネルを取り外しました(ありがとうございます)。

 パネルを固定している六角ネジ(飛び出ない皿子ネジ)の穴はScoovoの窓に取り付けるオプションのパネル装着用のネジ(こちらは飛び出る丸ネジ)の穴と同じ大きさです。
 もしオプションパネルを購入していればそこに付属している2ミリの六角レンチがぴったりです。それを用います。

 あるいは記事「ScoovoC170と付き合うための工具」の(m)六角レンチセットの小さい方から2番目です。

DSCN3148.JPG


 パネルを取り外したまま造形して音の原因が分かりました。

 Z軸昇降ネジはとても長いので、これが回転するとき、そのわずかのゆがみで左右前後にぶれます。ゆとりがないと昇降ネジの装着されている雌ネジはうまく機能できません。

 このゆとりを生むために、雌ネジは箱のなかで四角形の形状をしていて、エクストルーダなどのユニットが固定されている箱に対してわずかにすべります。
 昇降ネジが左右に回転するときにゆとりのずれがカシャカシャという音が発生します。油が切れるとこの音が大きくなります。

 昇降ネジのところどころと、ゆとりのための雌ネジユニットにも油をさしました。使用したのは、KUREのグリースメイト(スプレーグリース)です。

DSCN3151.JPG



(c) 自問自答

 記事「Scoovo C170 よもやま話2(完成した本箱、作品のその後、ノーハウ)」の中の
(4)「ジョブ開始」ボタンからエクストルーダーがホームポジションをとってから動き出すまでにすごく時間がかかることがあります(温度が十分に高いにもかかわらず)。

 なぜでしょう。すぐに造形を開始させる設定はあるのでしょうか。


 このことについてサポートにメールで質問してみました。

 質問の一番のポイントは

 「造形開始のタイミングは、Gコードに設定されている目標温度に到達すること以外にあるかどうか」ということです。回答の本文をそのまま引用させていただきます。


≪≪ ホームポジションからスカートを描き始めるまでの待機時間はGコードに記述される設定温度に到達するかどうかによります。
 
 つまり、造形温度が200℃設定であれば、200℃まで上昇したのち温度が安定しなければ、造形は開始されません。210℃〜190℃など、オーバーシュートとアンダーシュートを繰り返していると、造形は開始されません。

 ノズルを温めるアルミブロックの接合がきちんとされていないとオーバーシュートとアンダーシュートが発生いたします。ノズルを交換する手順内に、アルミブロックの接合があるため、ノズル交換をすると温度が安定するかのように感じてしまうかもしれませんがノズルが原因ではありません。
 ヒーターと温度センサーが挿し込まれているアルミブロックの接合が原因でございます。

 すぐに造形を始めるための方法ですが、ノズルを常時プレヒート状態にさせるとよいです。事前に目標温度までノズルをヒートさせておくことで、温度が安定し、すぐに造形が開始されます。

以上の説明が参考になれば幸いでございます。 ≫≫


 そこそこに参考になりました。
 はっきりしたのは、造形開始条件が温度以外にはないということです。
 「安定しないといけない」ともありますが、これについてはあまり打つ手はありません。


 しかし、以下の作業でこのトラブルは大幅に改善されました。

 私はフィラメントの流出をよくするために比較的高い温度(230度)で造形しています。スライサのConfigurationのFilamentSetingsには温度を220度に指定しています。

 そのため造形が始まってから230度に設定します。


Gcode1.jpg


 Repetier-HostのPrint PreviewのEdit G-CodeボタンをクリックするとGコードを編集することができます。
上図の10行目を見てください(解像度を高くしてあるので画像をクリックしてみてください)。

 ;M104 S220 ; set temperature

 最初のセミコロンは私がつけてコメントにしました。もともとは生きていましたが、これがあると造形開始が遅くなるようです。

 15行目の
M104 S230

は後から挿入したものです。これによって「プリンタ操作」による温度設定は不要になります。

 14行目の
M109 S200 ; wait for temperature to be reached

は実は、もともとの
M109 S220 ; ・・・

の「2」を「0」に変更しました。

 これが一番のポイントです。

 この「M109」コマンドの温度に安定するまで、造形はおあずけです。220度で安定するのは時間がかかるようです(最悪の場合オーバーヒートで250度を超えてプリンタがエラーを起こすことも予想されます)。
 200度での安定は比較的短時間で達成できます(経験によると)。

 上記の変更でトラブルが減りました。私の場合は(家具の製作)、同じものを何個も造形するので「Print Preview」の「Save to File」でGコードを保存し(拡張子gcode)、次回はこれを開けば即造形開始できます。

 今回はこのへんで。

2016年11月06日

Scoovo C170 ホームページ





 「Scoovo C170との毎日」の記事がそこそこに増えました。

 閲覧している方が探している情報の記載されている記事に到達できることを願って、見出しを作成しておきます。
DSCN3166.JPG


(28)Scoovo C170 くせものフィラメント、ノズルの劣化、ヒーテッドブロック(リモコン格納ボックス、郵便物ボックスの製作において)
   造形時のトラブル、ノズル、ヒーテッドブロックについて
(27)Scoovo C170 (a)大きな整理棚または本箱 (b)昇降ネジへの給油 (c)自問自答
   3次元の大きな構造物の製作、側面パネルの取り外し、Gコードによる操作
(26)Scoovo C170 ホームページ
   ブログ案内、関連記事へのリンク
(25)Scoovo C170 よもやま話2(完成した本箱、作品のその後、ノーハウ)
   3次元の大きな構造物の製作、その他
(24)Scoovo C170 よもやま話(ノーハウ、自炊、作品のその後、製作中本箱)
   3次元の大きな構造物の製作、その他
(23)Scoovo C170 3次元プリンタの未来形(その3)(テーブルと椅子の完成)
   家具の製作の実証実験
(22)Scoovo C170 造形の基本ノーハウ4
   エクストルーダー、フィラメントについてのノーハウ
(21)Scoovo C170 3次元プリンタの未来形(その2)(テーブルと椅子の製作)
   家具の製作の実証実験
(20)Scoovo C170 3次元プリンタの未来形(その1)(テーブルと椅子の製作)
   家具の製作の実証実験
(19)Scoovo C170 「ネジ」による構造物(その2)、スピードへの挑戦
   Scoovo C170 の造形スピードの限界
(18)Scoovo C170 「ネジ」による構造物(その1)
   PLA樹脂で実用的なネジの作成
(17)Scoovo C170  Repetier-Hostの紹介
   SCOOVO Studio より便利な Repetie−Host
(16)Scoovo C170 フィラメントの2種類の不良品
   フィラメントとノーハウ
(15)Scoovo C170 と Sense Scanner 3D とのコラボレーション 自分の手文鎮、胸像の制作
   三次元スキャナーの体験
(14)Scoovo C170 造形の基本ノーハウ3
   ノーハウ
(13)Scoovo C170でへんなものを造りました
   自炊三脚
(12)Scoovo C170 の楽しみ
   別バージョン整理棚。キーボード台。
(11)Scoovo C170 フィラメント送り機構の改善 善は急げ
   Scoovo C170を購入したら、サポートに送ってフィラメント送り機構のバージョンアップをお願いしましょう。
(10)2台目のScoovo C170が来ました(その2)
   10段整理ボックスの作成。ノーハウ。
(9)2台目のSccovo C170が来ました(その1)
   同じ(あるいは似ている)ものが2つあるのは便利です。
(8)Scoovo C170 は間違いなく実用的
   究極的には役に立たなくてもいいと思いますが、ためになるということはいいことです。
(7)Scoovo C170 造形の基本ノーハウ2
   エクストルーダーのノズル内のフィラメントはヒーテッドブロックによって溶融して射出されます。この温度調整がなによりも重要です。
(6)ScoovoC170の希望と現実(ミニチュアバイオリンの製作から)
   バイオリンのアクセサリーを作ってみました。
(5)ScoovoC170と付き合うための工具
   仕事を上手にこなすこつは、適切な道具を適切に使用することです。
(4)小さい面積で造形するときのコツ
   「その昔、展示会場でScoovoC170のデモンストレーションを行ったとき、造形物を固化させるために扇風機で風を送った」と聞いています。しかし、2つ同時に造形すればそんなことは不要です。
(3)造形の基本ノーハウ1
   ScoovoC170は発展途上マシーンです。想像力を働かせて扱います。
(2)ScoovoC170を購入した理由
   1台目のScoovoC170の値段は?
(1) ScoovoC170を購入して挫折していませんか
   ブログ開始


ノーハウの具体的な内容についての記事へのリンク
(a)ノズルの温度について
  (3)造形の基本ノーハウ1 (7)造形の基本ノーハウ2 
(b)ノズルの交換について
   (14)造形の基本ノーハウ3>(28)くせものフィラメント、ノズルの劣化、ヒーテッドブロック(リモコン格納ボックス、郵便物ボックスの製作において) 
(c)ヒーテッドブロックの取り外し方
  (14)造形の基本ノーハウ3 (22)造形の基本ノーハウ4(28)くせものフィラメント、ノズルの劣化、ヒーテッドブロック(リモコン格納ボックス、郵便物ボックスの製作において)
(d)フィラメントについて
  (22)造形の基本ノーハウ4 (16)フィラメントの2種類の不良品>(28)くせものフィラメント、ノズルの劣化、ヒーテッドブロック(リモコン格納ボックス、郵便物ボックスの製作において)
(e)3Dスキャナーによる造形
  (15)Scoovo C170 と Sense Scanner 3D とのコラボレーション 自分の手文鎮、胸像の制作
(f)造形物の反り、剥がれ、ブルーテープ
  (14)造形の基本ノーハウ3
(g)フィラメントの送り機構
  (11)フィラメント送り機構の改善 善は急げ
(h)フィラメントの流出の滞り
  (16)フィラメントの2種類の不良品
(i)給油
  Comment(2)  (24)よもやま話(ノーハウ、自炊、作品のその後、製作中本箱)
(j)小さい造形物の作成方法
 (4)小さい面積で造形するときのコツ
(k)自作リールホールダー
 (9)2台目のSccovo C170が来ました(その1)
(l)ベッドの高さの調整
 (10)2台目のScoovo C170が来ました(その2)
(m) 「ジョブ一時停止」「ジョブを終了」「非常停止」について
 (10)2台目のScoovo C170が来ました(その2)
(n) Gコード について
 (27) (a)大きな整理棚または本箱 (b)昇降ネジへの給油 (c)自問自答 (19)「ネジ」による構造物(その2)、スピードへの挑戦





2016年10月13日

Scoovo C170 よもやま話2(完成した本箱、作品のその後、ノーハウ)

 月日のたつのは早いものです。

 製作中だった本箱はだいぶ前に完成しました。


 製作途中の画像を2つ示します。

 右は側面のアップです。前に説明した事情によりこの面はScoovoのベッドに寝かせて造形します。
 卍構造のピースであることは側面以外の面と同じですが、結合部分は羽根のようです。この羽根が、ベッドに立てて造形したH型コネクタで結合されます。造形時にベッドから浮くことになる羽根の下にはサポート材を自作設計して、造形後に平やすりでガリガリと削り落とします。
 画面中央の黒い長方形がコネクタです。コネクタの長さは接続部分によって基本的に2種類です。
DSCN3114.JPG


DSCN3117.JPG 左は、右の側面をプラスチックハンマーで嵌め込む直前です。1フロアーの側面を完成させてから一気に嵌め込む必要があります。他の面においても、嵌め込み手順を間違えるとトラブルが起こります。
 (どんなトラブルが発生するかはノーハウです。
 「ノーハウ」は「know-how」で、一般には「ノウハウ」です。私は長い間「ノーハウ」を「no-how」と思って「聞くのがはばかられること」としていました(アバウトな性格です)。




 下図が完成した状態です。


DSCN3118.JPGDSCN3122.JPG


 昭和の時代のミカン箱を本箱に流用したような感じです。重さは3.6キロです。
 どうということはない無駄な造形物のようですが、三次元の大きな箱物につながる重要な一歩です。
 
 前回紹介した整理棚などの作品のその後です。
 重さで歪んだ状態を改善する簡単な方法を思いつきました。下の図です。

DSCN3132.JPGDSCN3134.JPG


DSCN3135.JPG


 つまり、棚のへりに「コ」の字型のサポートを嵌めました。
 最初の2つの図に使用されているサポートの1本の長さ(長い方)は20センチです。この長さはScoovoの縦横高さ(15×15×17.5センチ)をかなり超えます。
しかし、ベッドに45°に置けば

 15×√2≒21.2センチ 

となって細いものなら20センチは造形可能です。そのようにして作成したものです。

 最後の本立てはヘリが40センチあるので嵌め込み結合してアロンアルファで接着しました。もう少し頑丈にしたほうがよかったかもしれません。

 いずれにしても、これらの家具はまだまだ使えそうです。


 最後にノーハウです。

 7時間くらいかかる造形をすることがあります。200パーセント(2倍速)でなかったら14時間です。
 放っておいて行ってみると造形がストップしてしまっていることなどがあります。たまになので「まあいいか、やり直そう」ということにしています。

(1)「ジョブ開始」ボタンでエクストルーダーがホームポジションに移動した後の待機中にパソコンの画面上では造形がすごいスピードで始まっているのに実際のScoovoはホームポジションのまま固まっている
 対応 → 「緊急停止」「プリンタ切断」ボタンで停止してやり直す

(2)エクストルーダが造形途中に突然フリーズしている。ホットエンドの過熱が切れている。造形物にノズルが固着している。

対応 → ノズルが造形物に貼りついているのでエクストルーダを移動させてはいけません。上に持ち上げるとベッドごと持ち上がります。XまたはY方向に移動させようとすると移動できずタイミングベルトが空回りしてすごい音が出ます(2〜3回やってしまいましたがこわれませんでした)。
 正しい対応は過熱してホットエンドの固着を溶融してから移動することです(「2台目のScoovo C170が来ました(その2)(5)」で述べたようにくれぐれもエクストルーダを下げないように)。

(3)これは極め付けですが、造形途中でWindowsUpdateが始まって知らないうちに再起動されてしまう。これはほんとうに腹が立ちます。

 (3)についてはインターネット上で調べて最近対策をしました。以下のようです。
 ローカルグループポリシーエディター(gpedit.msc)を起動して

コンピューターの構成−管理用テンプレート−Windowsコンポーネント−WindowsUpdate

の中の

「スケジュールされた自動更新のインストールで、ログオンしているユーザーがいる場合には自動的に再起動しない」を「有効」に設定することです。

 ところが、2台のScoovoを操作している2台のPCはWindows10 Homeです。これにはローカルグループポリシーエディター(gpedit.msc)が装備されていません。

しかし、[Windows10]Windows10 Homeでローカルグループポリシーエディター(gpedit.msc)をインストールする方法 が紹介されていました。
 指示に従ってインストールしました。英語版です。

Computer Configuration−Administrative Templates−Windows Components−Windows Update

の中の
「No auto-restart for scheduled Automatic Updates installations」を「Enabled」に設定します。

 設定してから日が浅いので、これで本当に大丈夫かの確認はこれからです。

 最後に、造形の失敗ではないのですが、これはずっと思っている疑問です。
(4)「ジョブ開始」ボタンからエクストルーダーがホームポジションをとってから動き出すまでにすごく時間がかかることがあります(温度が十分に高いにもかかわらず)。なぜでしょう。すぐに造形を開始させる設定はあるのでしょうか。

 シルバーのScoovoですが、この記事を書いている間に(4)について致命的な現象が起きました。

 ホームポジションの後にRepetier Host がフリーズするようになりました。SCOOVO Studioを使うと問題なく造形が始まります。明らかにRepetier Host の問題です。
 このところ、Windows10の自動アップデートが何回かありました。ちょっとびっくりしたのですが、ネットワークの設定が書き換えられていました。下図です。

 一番下の「ユーザーアカウントとパスワードを使用して他のコンピューターに接続する」としておいたはずなのに選択が「・・・(推奨)」のほうに変更されています。
 そういえばアップデートの後の起動画面に大きく
「ネットワーク接続の安全性に役立ちます」のようなメッセージが表示されたのを記憶しています。「アップデートは自動でこんなことをするんだ??」とちょっとびっくりしました。
 Repetier Hostに問題がでるようになったのはWindowsUpdateのせいかな?と疑ってしまいます。
ネットワーク変更.jpg


 この際、保留しておいたRepetier Hostのバージョンアップをすることにしました。
https://www.repetier.com/」にいってバージョン1.6.2をインストールしました。
「1.5.6」からのアップです。以前のものはそのままで上書きされたようです。プリンタ設定やスライサのコンフィグレーションファイルはそのまま生きていて何の手間も不要、すぐに造形開始できました。

 感謝感激です。

 いまのところ不具合はありません。
 ブルーのScoovoは「1.5.6」でしばらく使ってみようかな、と思っていたのですが、こちらは(1)の現象がたびたび起こります。
 次の日にはバージョンアップしてしまいました。

 とりあえずは快適な造形の毎日です。



2016年09月17日

Scoovo C170 よもやま話(ノーハウ、自炊、作品のその後、製作中本箱)

 ひさしぶりです。
 前の記事から1か月以上になりますが、ScoovoC170に飽きたわけではありません。

最近はらはらしたことは、音が出るようになったことです。「酷使の因果応報かな?」「Scoovoの寿命かな?」などと不安になりました。

 以前の記事「Scoovo C170  Repetier-Hostの紹介」で述べたとおり、使用しているScoovoには「同じ層でエクストルーダーが場所を変える(Travel)とき、動く前に上に1mm持ち上がります(Lift Z)」と設定しています。つまり造形中に頻繁にz方向にエクストルーダーが1mm上下します。
 最近、このとき「キュンキュン」と音が出るようになりました。明らかに油ぎれです。Scoovoは垂直方向の長い雄ネジを回転させて万力のようにエクストルーダーと水平方向のタイミングベルトのユニット全体を上下に移動させます。
 前に一度この現象が起こってユニットの雌ネジ部分にKURE5−56をプシューと吹きかけました。これで音が消えました。しかし最近また音が出るようになりました。今度は油を吹きかけても音が消えません。そうこうしているうちに「キュンキュン」が「キャンキャン」と小型犬の鳴き声のようになってきました。

 しばらく悩んだのですが、雄ネジは左右に2つあることに気付きました。左の雌ネジばかりに気を取られていました。そこで右の雌ネジにKURE5−56を吹きかけました。

 音は消えました。

 取り扱い説明書にはこの辺のことは記載がありません。油をさす場所には気をつけましょう。例えばタイミングベルトに油がつくとまずいと思います。

 右図はScoovoの上の穴から右の雄ネジとユニットに固定されている雌ネジを撮影したものです。光がうまく入らなくてよく写っていません(文字を読むには図をクリックしてください)。
 この辺にKURE5−56を吹きかけました。
DSCN3101.JPG


 もう1つ、ちょっとしたトラブルでうまく対応できました。
 このところ、ベッドの高さの調整は長い間行っていません。
 以前の記事「2台目のScoovo C170が来ました(その2)」の中の(3)で述べてあることですが、スカートの出来が良いので高さの調整は必要ないのです。
 ところが、あるとき「ジョブ開始」ボタンを押すと、久しぶりにエクストルーダーがダッキング音を多発しました。
 観察してみるとノズルがベットをこすっているようでフィラメントの流出が滞っています。
 「これは、あれだな」とすぐに気が付いて造形を中止しました(ほとんど始まっていませんが)。
 ベッドをはずしてベッドマウンタの上を見ると、案の定フィラメントの細い繊維が載っていました。このためベッドが高くなってしまったのです。
 ほかにもゴミが載っていないことを確認して無事に造形を開始することができました。
 あわててベッドの高さ調整を始めるのは間違いです。



 以前の記事「Scoovo C170でへんなものを造りました」で製作した自炊三脚を用いて、図書館から借りた本を撮影してみました。

5ページだけアップしてみます。

図の解像度を少し、高めにしておきました。
クリックして拡大してみてください。

 ガラス板を載せて撮影しているので、自炊三脚とカメラがうっすらと映り込んでいます。これはちょっと残念ですが、妥協しました。
DSCN2885.JPG


DSCN3008.JPGDSCN3009.JPG


DSCN3006.JPGDSCN3007.JPG

 きれいですね。



 いままで製作して紹介した様々な実用品のその後を報告しましょう。

 右図は10段収納棚です。
 下から3段目にしばらく重いものを入れておいたので沈み込んでいます。
DSCN2872.JPG


DSCN2873.JPG 左図はキーボード台です。へりに変形防止用の構造があるのでだいたい安定していますが、最上段の中ほどが少し沈んでいます。


 右図は衣類整理棚です。整理整頓がなっていません。これは10段の整理棚より面を厚くしてあります。DSCN2874.JPG


DSCN2875.JPG 左は金属製ラックの中に置かれた本立てですが、重みで左右の仕切りが歪んでいます。

 PLA樹脂は長く力を加えていると塑性があって変形するようです。


 さて大きな椅子は、使っているうちに座面の中央つまりお尻の下が少し下がってきました。そこで右図のように中央に5本目の脚を追加しました。10センチ四角をアロンアルファで張り付けました。


 これでとてもじょうぶになりました。躊躇なく踏み台としても使えます。



 椅子の上にクッションを置きました(下左)。また長時間の作業では、イオンでみつけた「StyleAthlete」を用いて座っています(下右)。

DSCN2876.JPG
DSCN2877.JPGDSCN2878.JPG


 現在製作中の本箱について紹介します。

 製作動機は、すでに使用している整理棚の上記の状況です。薄いパネルのコネクタによる結合では本棚や本箱のようなしっかりした家具はできません。
 椅子やテーブルに使用した「板」ができたのだから、それを張り付ければ本箱は簡単だろうと思うのですが、実はそうではありません。

 3次元プリンタを用いるのですから、コーナー部分は一体構造として製作すべきです。

 右図は製作途中の本箱です。板は以前の記事で紹介した「卍ピース」による欠点のない嵌め込みで作成します。
  前回の記事「3次元プリンタの未来形(その3)(テーブルと椅子の完成)」で触れたように、嵌め込み構造を作成するために面はベッドに立てて造形します。
 図の前部の構造は問題なく製作できます。後部の面のピースはそのへりにある結合用の嵌め込み部分も含めてプリントします。すると面はベッドに寝かせて造形することになります。
 横に寝かせるといままでの嵌め込み部分は製作できなくなります。そこで異なる種類の嵌め込みを発明しなければなりません。サポート材を使うとしてもヤスリで簡単に削り落とせるようなものです。
 思いついたのは、H型のコネクタを使用するものです。
 実験して一応の成功はしました。しかし、設計に手間がかかります。新しい種類のピースも基本的には「卍ピース」です。

 最初に設計したピースの規格(大きさ)が不適切だったので製作中に規格を変更しました。苦労したのです。
DSCN2869.JPG


DSCN2881.JPG 左図は前図の2つの部分をプラスチックハンマーで嵌め込んだものです。
 とてもしっかり組みあがりました。

 「これでうまくいく!!」と確信した瞬間です。

製作のノーハウはすべて手に入れたので、あとは部品を設計しながらScoovoに指示するだけです。


 完成したらまた記事を書きます。

 少し前からフィラメントの使用量の記録をとりはじめました。これはノズルの寿命を知ることが目的です。使い方によってはノズルの寿命は意外に長いかもしれません。結果が出たら報告したいと思います。

 ごきげんよう。
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