2016年06月16日
Scoovo C170 3次元プリンタの未来形(その3)(テーブルと椅子の完成)
嵌め込み部分が直線上に並ばないようなジグソーパズルのピースはないものかと考えたところ、右図の右の形が機能することを思いつきました(ちょっと卍形みたい)。これを組み合わせると図の左のように面がどこまでも広がってゆきます。 |
テーブルの脚については、前の記事で紹介したネジでの結合はやめました。座板からの脚はプリンタで一体として造形することではるかに強固になります(右図)。脚の延長もネジではなく嵌め込みのほうが強固です。 テーブルの脚つきの部分を含めても5種類のピースで完全な脚付き長方形ができます。 テーブルを小ぶりにしたのは個人的な必要からです。このピースの組み合わせで食卓のような大きなテーブルも可能だと思います。 |
さて、自慢の椅子の説明に入ります。
記事「3次元プリンタの未来形(その1)」では、嵌め込みによる座板の作成は不可能と結論したのですが、あきらめきれずにその後も可能性を考えていました。
そしてついに、とても強固な嵌め込みによる座板を発明しました。下図は「123D Dsign」によるその基本ピースとその造形中です。
嵌め込み部分を二重にして斜めにずらすことで面の結合と同等の耐久力が生まれます。
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座板の嵌め込みの線は板を横断しています(右図)が、厚さの半分(1センチ)で終わっています。下のピースの嵌め込みはそこにはないので曲げに対する弱点はありません。 |
脚の延長も斜めにずらした嵌め込みです(左図)。座板の厚さは2センチですが、脚の嵌め込み部分は大きくずれているのでさらに頑丈です。 |
椅子の板は横40センチ縦60センチ、脚による地面からの高さは36センチです。背もたれの長さは34センチです。深く座ると背もたれが気持ちいいです。
右図は強度を確認するために椅子の中央に立って全体重をかけてみたところです。初体験には不安はつきものです(膝が笑っています)。 |
以下に、椅子の製作過程や部分図を示します。
重さは5.2キログラムです。
現在1キロ2千円弱のフィラメントを使用しています。したがって材料費だけで1万円になります。しかし、これくらいの大きさの椅子の値段はこれ以上です。現状においても理不尽な値段ではないです。
前に完成した小ぶりの椅子(右図、図1とします)はネジによる結合のため、藤の椅子のようにゆれますが、新しい椅子は揺れません。 |
尚、造形の密度はすべて30パーセントです。この密度でもプラスチックハンマーでたたいて嵌め込むことができます。
かって5パーセントの密度を試してみましたが、たたいたところがクラッシュしました。あたりまえですね。しかし、30パーセントの密度があればかなりの力でたたいても大丈夫です。
造形スピードは200パーセント(2倍速)です。(「ネジ」による構造物(その2)、スピードへの挑戦)の後は造形速度はすべて2倍速です。スライサーが「所要時間8時間」と表示しても2倍速では4時間で完成します。ただし最初の3層は1倍速です。
この椅子には欠点が1つあります。それは椅子に座ったり立ち上がったりするときに「ギシッ」という音が、嵌め込み部分からでることです。慣れると恐怖はなくなります。夏は肝が冷やされて涼しいです。
苦労して作成したので破壊実験をする気にはなれません。これから使用を続けてみて強度などを確認したいと思っています。図1のネジによる結合の椅子は毎日3時間程度座って1か月以上になりますが、壊れません。
現在、新しい椅子で使い勝手を試しているところです。
「未来の3次元プリンタは各家庭で家具を製作します」。この実証実験は順調です。
右図は単なる記念撮影です。 それではまた。 |
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ありがとうございます。
言われてみて気付きました。六角ねじではずすことができるようです。
まだやっていませんが、自分でできる守備範囲が広がりそうです。
サポート送りは気が重いですから、この情報はとてもありがたいです。
Z軸の昇降ネジへのアクセスは、本体の側面のパネルを外すと良いですよ。
裏を空けるよりネジ数が少なくて済みますので。
ただ、両方あける必要があるかもですけど。一方でも作業はやりやすい筈。
ちなみに、グリスの方が良いかもです。
では、よしなに。