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2016年01月08日

Scoovo C170 造形の基本ノーハウ3

 マシーンにノーハウがたくさんあるというのは、発展途上マシーンであるということです。Scoovo C170が発展途上マシーンであることは誰もが認めることでしょう。

 ところで細部ではトラブルの可能性をたくさん持っていても、Scoovo C170の基本性能は高いことも感じています。
具体的にはRepetier-Host(SCOOVO Studioの代わりとなるソフト)を用いると造形を早送りすることができます。「送りレート」で3倍速まで造形のスピードアップが可能です。

 あるとき、何かのはずみでScoovo C170が異常なスピードで造形を始めました。あわてましたが、「このまま見てみよう」という気になって造形が終わるまでがまんしました。できたものは心持ちやせている気はしましたが、遜色はありません。
 Repetier-Hostの画面をよく点検してみると「送りレート」が300パーセント(3倍速)近くになっていることが分かりました。つまりフィラメントの流出速度もエクストルーダの動作スピードもすべて3倍速、造形時間は3分の1にすることができるのです。

 いまでは造形はいつも180パーセントで行っています(確実な造形を期して)。造形に60分かかるものは1.8倍速では33分程度で終わります。
 エクストルーダはそれこそ手にぶつかったら骨折するのではないか、と思うくらいビュンビュン動きますが、造形は成功します。
 Repetier-Hostについてはいずれ紹介するつもりです。

 Scoovo C170 は昔のパソコンを思い出させます。昔のパソコンでは、うまくいかないのはあたりまえでした。プログラミングでも「正常に動いているソフトはコメントも変更してはいけない」などと気をつかいながら使用していました。パソコンが家電製品のように使いやすくなったのはプラグアンドプレイが実現してからです。

 3次元プリンタもいずれそうなるでしょう。

 しかし、うまくいかない発展途上の時代のパソコンから、はらはらどきどきの感動をもらいました。現在の3次元プリンタはそれに相当するものです。

 おもしろいのは今です。
 Scoovo C170にはノーハウがかなりあるけれどどのように発展していくのか見たいと思います。

 それでは今回のノーハウです。

 写真を見てください。ヒーテッドブロックのヒーターから赤い耐熱カバーのついた配線が出ています。このカバーの中ではヒーターからのニクロム線(?)と電源からの配線が銅板で圧着接続されています。
 造形時にはヒーテッドブロックはx方向に激しく振動します。
 長時間使用しているとこの圧着接続がはずれる可能性があります(私の場合は期間をおいて両方ともはずれました)。
 このトラブルの原因にはもう一つ考えられます。
 この配線はほとんど水平で最初はベッドに、そして造形時には造形物に接触して振動することがあります。これが大きな原因とも思われます。つまり

(1) ヒーターからの赤い配線はベッドや造形物に触れないように調整してください。

(2) ヒーターからのニクロム線が露出した場合には、ヒーター温度を上げている(かなり大きな電流が流れている)ときにそこにピンセットを近づけてはいけません。火花が散って内部基板のヒューズが飛びます(サポート送りになります)。

 つづいてノズルは目詰まりが起こると交換が必要になります。(どうしたらノズルの寿命を延ばせるか考えています)
 ノズルを交換するときヒーテッドブロックからの取り外し、取り付けはかなり苦労します。しっかり取り付けないとノズルを加熱できないような気がしますが、新しいノズルをはさんでヒーテッドブロックがきちんと合わさらないことがあります。融けたフィラメントが隙間に入り込んで固化しているせいです。
 このときは無理にネジを締め付けるとアルミの雌ネジの溝がけずれて効かなくなります。ノズルをはさんでペンチで強い力を加えるとヒーテッドブロックが折れる可能性もあります。
 経験から分かったことですが、ノズルは強く締め付ける必要はありません。ゆるくても熱はしっかり伝わります。ヒーターの熱は空中に発散するよりすぐそばのアルミにほとんど吸収されます。

 試してみればわかりますが、造形時の200度近い温度ではノズルをはさんでいるヒーテッドブロックはドライバでつつくと簡単に動きます。ゆるゆるになります。はさまっていたフィラメントかすが融けたからです。このときヒーテッドブロックのネジをまわしてブロックをしっかり合わせることができます。それでも動くのであまり締め付けてはいけません。
 そこで

(3) ノズルを取り外すときはヒーターを加熱した状態でヒーテッドブロックのネジをゆるめペンチでブロックをわずかに離しておきます。逆に取り付けるときは加熱しない状態では軽く合わせてエクストルーダーに取り付け、加熱してからペンチでブロックを持ってネジを軽く締めるだけでよいです。火傷に注意。

 温度を200度程度にしてヒーテッドブロックを分離するときは、ヒーターをOFFにするのが安全です。温度センサーはヒーターとは別のブロックにあるので、分離するとセンサーは一気に温度が下がるのでシステムは限りなく温度を上げようとします。ヒーターのあるブロックは際限なく過熱されてしまいます。とても危険です。

DSCN2337.JPG


DSCN2367.JPGDSCN2370.JPG


 ブルーテープはよく工夫されたテープです。ブルーテープに代わるようなものを探したことがありましたが見つかりませんでした。着表できなかったり、着表できても層を重ねると剥がれて端が跳ね上がります。
 しかし、ブルーテープでも造形物の端が跳ね上がることがあります。それは造形物の端がブルーテープの境目にあってブルーテープが剥がれる場合と、テープが剥がれなくても造形物のその部分の着表面積が小さいために造形物の端がブルーテープから浮き上がるという2つの場合があります。

 左上の写真を見てください。これは以前の記事の「キーボード棚」や「自炊三脚」の雄柱です。この柱は強度を確保するためにベッド上に寝かせて造形します。造形の都合上完全な円柱ではなくかまぼこ型にしてあります。
 写真下の大きく反っているのはブルーテープが剥がれたものです。真ん中ではブルーテープは剥がれません、造形物がブルーテープから剥がれて浮き上がったものです。
 小さな三角形の板は転倒防止板です(造形の開始時は倒れやすい状況です)。

 一番上で小さな長方形の板は反り防止板です。反りが起こりやすい場所にはこれをつけておくとブルーテープが剥がれなければ反りは防止することができます。

 上のものは反り防止版をつけてブルーテープも剥がれなかったので成功したものです。

 反りは造形物の単なるゆがみとなるだけでなく、造形時にノズルがぶつかって割れることもあるけっこう危険なものです。

(4) ブルーテープを貼り替えるときはウェットティッシュでベッド上にこびりついているぬめりをよくふき取りましょう。そしてふつうの乾いたティッシュで水分をとってから斜めにブルーテープを貼るといいです。造形物の多くは縦横方向にへりがあるので、ブルーテープの境界と並んでしまうのを防ぐことができます。

つづいてもう一つ

(5) ベッドはベッドマウンタの上に磁石で設置されますが、この磁石はいずれ剥がれ落ちます。所定の穴からはずれて磁石が移動するとベッドの高さが大きく上がります。これに気づかないで造形を開始するとノズルがベッドをこすります。とても危険です。ベッドを設置するときに磁石の位置を確認してください。

ちょっと疲れました。
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