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2022年08月29日

発達の偏り

発達の偏りのあるS。私は今年から彼のいるクラスを授業で担当することになった。だが、ここにきて、Sの予想外の行動に、さらに先生たちを悩ませているように見える。

4月当初、彼はまだ私に親しく話をしてきたので、「授業くらいは大丈夫かな…」と思ったのだが、6月の終わりくらいから、私から逃げるようになって、授業に出なくなった。

そのまま一学期の期末試験に突入したため、当然点数がとれるはずもなく、S自身、さらに首を絞めることになった。いわゆる赤点である。

そのため、終業式に教頭先生より指導があったのが、Sはこれをもすっぽかした。「父親と北海道旅行に行く」と言って、呼び出した時間より前に出発してしまったのである。

怒った担任は、すぐさま電話を掛けて呼び戻し、小一時間遅れの指導となった。Sは、申し訳なさそうな素振りはしていたが、心の底からそうは思っていまい。父親も「またか…」というような感じ。手のかかるかわいい息子には、父親ですら盲目になる。

かくして無事赤点に関する指導は行われたのだが、最近その再テストが行われた。
私は、「もしかしたら受験しないのではないか」とも思ったが、試験はきちんと受けた。

だが、合格点にはほど遠かった。与えた課題もほとんど取り組まず、担任が課題のほんの数ページだけを持ってきて、「やっていませんでした」と悲しげな顔をして言った。

「人は嫌なことから逃げ続けると、どこまでも追いかけてくるものだよ。」
私は久しぶりに教室に残っていたSにそう言ってみたものの、果たして彼に理解できるか不安になった。

刹那的で、その場の指導しか通じない。同じ事を注意されても、翌日にはまた同じことをしてしまいがちな生徒なのだ。

彼の場合中3だが、高1、高2でも同様の生徒はおり、担任たちが献身的に寄り添っている。

「さぼっているのか、本当にできないのか」の判断は難しい。

しかし、学齢期に受けた愛情は、彼等のこの先の人生で何らかの糧になるのかも知れない。

昨今、こうした生徒が増えてきている…。




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