ネコと贅沢　ボンビーライフ

うちの店だけかな？
いや、そんなことないと思うのだが、
5月はゴールデンウイークが終わってから
めっきり客足が少なくなってしまった。
客足だけではない。
単価も著しく低下した。

一転して先日の土日はかなりの繁盛ぶりだったので、
人々が給料日まで余計な支出を控えていたことが想像できる。
おそらくどこの行楽地も商業施設も
そんな感じだったことだろう。

おそらく熊本の地震も
消費活動を不活発にする要因になった。
東日本大震災で苦しんだ思いが
熊本の地震で再び思い出されて
財布の紐をギュッと縛ったはずだ。

だが面白いもので
一度覚えてしまった支出する喜びというのは
なかなかなかったことにはできないものだ。

突然ヒット曲が生まれた歌手やプロデューサー、
一時期年俸が跳ね上がったプロスポーツ選手、
一発屋と言われる芸人など、
羽振りの良さそうな話題の数年後に
破産みたいな報道をされることがよくある。

下から上に生活レベルを上げることは簡単なのだが、
上から下に生活レベルを下げるのはなかなか難しい。

ある程度手元にお金があると遣いたくなる。
人々にそういった欲求があるからこそ
資本主義が成り立っている。
世の中全員が煩悩を捨て去った坊さんみたいだったら
資本主義などあっという間に消え去ってしまう。

結局消費を我慢するといっても
数週間が限度のようだ。
次の給料日が来れば、なんだかんだ理由をつけて
消費するようになってしまう。

みんなが消費したいと思っているのに
なぜだか個人消費額が伸びない。
なぜか。
現在の社会構造だと個人消費が渋滞して
気持よくスムーズに消費できないようになっているからだ。

ゴールデンウイーク中に各行楽施設地が
賑わっていたという報道がされる。
だが一方で、
そういった報道を見て行楽地に行くことを断念する人もいる。
行かない人より行った人に注目が集まるから
なんとなくゴールデンウイークという時期は
世間の殆どの人が出掛けている印象になっているが、
実は出掛けない人って相当数いるはずである。

この出掛けない人が出掛けるようになれば
個人消費は相当数伸びるはずである。

人気行楽地の宿泊施設でも
ゴールデンウイーク中は満室だけど
それ以外なら空き室があるところは結構あるはずだ。
どうやってゴールデンウイーク以外の日に
宿泊客を獲得するか。
それは宿泊施設の営業努力では限界がある。

抜本的に社会構造を変革して
人々の消費の渋滞を解消してやれば
今まで混んでいるからという理由で
出掛けなかった人は出掛ける率が高まるし、
満室空き室の差が激しかった宿泊施設は
まんべんなく部屋が稼働する。

具体的にどう社会構造を改革するかといえば
「休みをずらす」
これだけである。
たったこれだけで相当個人消費は伸びるはずだ。

だがこれが難しい。
やっちゃえば「なんだこんな簡単なことだったのか」と思えるのだが
今に人たちは物心ついた時から
日曜日はお休み、という意識が染み込んでいる。
この認知バイアスを解放するのは
「家事は女のすること」とか
「結婚したら姓は男の姓を名乗る」以上に難しい。
なぜなら、そこにはハッキリとした被害者がいないからだ。

休みをずらせば個人消費は伸びるし、
行楽地も安定した労働力を求めるから
正規雇用が増えて税収が増える。
渋滞が少なくなってストレスが減り
現在逼迫している国の医療費も減る。

良いことばかりのはずなのに
誰もそのように動こうとはしない。
それほど認知バイアスというものは強力なのだ。