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2018年10月29日

ショートショート(超短編)(2)−−フィットネスクラブ


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第2話 フィットネスクラブ

 僕は最近フィットネスクラブに行き始めた。最近ストレス性の肥満にかかっているからだ。ここ1年間で体重が20キロも増えてしまって、仕事をするときも、ちょっと体を動かしても、ゼーゼーいってしまうほどで、これではいけないと思ったからだ。あまりしんどいので、病院にいって検査をしてもらったが、どこも悪いところはありませんね、って言われてしまって、ちょっと残念だった気がしたが、帰り際に医者に、やっぱりちょっと体重オーバーですかね、といわれた。自分でもうすうす、いや、しっかりとわかっていたけど、人に言われると、気分はよくないね。そういったことで、フィットネスに行って、体を絞ってと思ったんだ。
「いらっしゃいませ。初めてのお方ですか?ようこそお越しくださいました。今までどこかでフィットネスクラブに入っていたご経験はおありですか?」
「あ、はい、えぇ、その・・・・」
クラブの部屋に入ると、いきなりカウンターのところにいた若い活発そうな女の子が立て続けに質問を機関銃のように撃ちまくってきた。これがこのクラブの方針なんだなと、ついつい考えてしまう。職業病なんだろうなと思った。これ以上肉がついたらもうテレビの前面には出られなくなるなって思っていたし、上司も冗談半分だったけど、そろそろ画面からはみ出すかもしれないな、なんていっていた。もっとゆっくり迎えてくれないかなと思ったが、フィットネスクラブの受付はやはり活発で、はきはきしているってイメージを作るのがいいのだろう。この子はそれにぴったりの対応をしている。若いし、可愛いし、活発そうで、スポーツは何でも出来そうだし。
「ご入会ですか?どのコースをお考えですか?スイミングですか?ウオーキングですか?エアロビですか?・・・・・ですか?・・・・ですか?・・・・はどうされます?」
とにかく次々に、打ちまくる彼女の質問という機関銃。「はぁ、えぇ、その、まぁ、・・・・」僕にはなんて答えて良いか分からなかった。初めてで、体重が最近増えてきたので、ちょっとウエイトトレーニングをしたり、スイミングをしたり、他に何か適当なコースものがあればそれをするか、また、時間は最初はしんどいだろうから、毎日ってわけにはいかないので、週に1回か2回で、夕方の7時くらいから始められたら良いのに、なんてここに来る前は思っていたんだが、それを口にする暇もないんだね。早口、早口、本当によく言うと気風の良い喋り方をしてるんだけど、駄目だ。追いついていけない。太ったので動作が鈍くなったのは日常生活の中で実感しているけど、頭の回転も、口の回転も鈍くなってるのかね。このクラブに来て、僕は殆ど何も喋っていないんです、何か喋れるまでちょっと待ってくれませんか。分かりますよ、きびきびとした雰囲気を出そうってのは、それが社長の方針なのでしょ。それは良いですよ。でも、僕は今はスローなんです。今はちょっと愚図になったんです。
「どうされました?何かお聞きになりたいことあります?お分かりにならないことあります?」
また始まった。駄目だ。
「すいません。カタログありますか?」
「カタログです?あぁ、入会案内書のことですね。」彼女はそういう前から入会案内書を左手に持って喋っていたのだ。それで、一応カタログですかといいながら、それをぱっと右手に持ち替えて、カウンターの上においたのだった。この早業にまた驚いて、「あぁ」って言いながらつい後すざりをしてしまった。その後すぐに、急いで、「ありがとう」といいながら、唾を飲み込みながらそれを受け取って鞄の中に入れようとしたが、急いでいたこともあって、鞄のファスナーがなかなか空かなくて、背広のポケットに押し込んで、もう一度「ありがとう」といって、出口の方に向かった。彼女はありがとうございます、またどうぞ、お待ちしています、と明るい活発な声で、歯切れ良く僕の背中に向けて、言ってくれた。何とか体重は減らさなければならないけど、どうしたものか。

「やっぱり、少々体重が多めのようですね。だから、まず、スイミングとかプールの中で歩いたりするコースから始められたらいいと思いますよ。でも、まず、退院されてからになるでしょうから、退院されたらまたクラブの方に寄って、入会手続きをして下さい。お待ちしてますからね」

実は、カタログ、いや、入会案内書をもらった日に、あまりに焦っていたために、いやそれだけでなく、重い体重を脚が支えられないって不平を言ったんです。巷では転ぶって言いますが、それなんです。そのまま、救急車で病院に直行。骨折していました。減量は骨折回復の後ってことになりました。

今日も、最後まで読んで頂き、ありがとうございました。コメントなどありましたら、お願いします。また、ご訪問下されば幸いです。
posted by yuchan at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | タイ生活
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定年前に退職し、人生が終わるまでに何かしたいと思っていました。それまでは、アメリカに仕事で訪問することが多かったのですが、アメリカ的価値観に少し食傷気味になっていました。仕事ではなく、いわば、自分探しの感覚でアジアの国々を短期間訪問するようになりました。そして、アジアこそ、自分の余生をおくるに最適な地だと確信しました。そして、中国に1年滞在し、その後、タイに渡り、retirement visaでlong stayを始めました。昭和の日本的空気を求めて、タイの中でも後進地方のイサーンに住んでいます。とにかく人生はチャレンジ。新しい可能性を求めて、何でもしてみよう、見てみようの精神で日々を送っています。
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