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タグ / 短縮版拓馬
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短縮拓馬篇−6章6 ★ [2019/07/05 18:00]
休み明けの放課後、拓馬は数人のクラスメイトとともに空き教室へ移動した。集合目的はヤマダによる大男捕獲作戦の聴講。同席者にはヤマダが協力を打診した須坂もいる。彼女はとくにゴネることなく、あっさり承諾したという。須坂は須坂で、大男が自分を守る理由を気にしていたので、その思いをヤマダが汲みとれたようだ。
拓馬と須坂以外の聴講者は二人。こういった計画には確実に関わる三郎と、その日は参加できるか未確定なジモンも面白がってついてきた。性格的に参加しそうだった千智は今回欠席する。彼女..
短縮拓馬篇−6章1 ★ [2019/07/04 18:00]
須坂が拓馬たちに友好的に接してくれた日の放課後、拓馬はヤマダとともに帰宅した。校門を出てまもなく、例の金髪とその手下の刈り上げの少年と出くわしたが、大した騒動にはならなかった。彼らは偵察にきただけで、事を起こす気はなかった。なにより、彼らはヤマダのスカート姿におどろいた。彼らが見たヤマダは私服のズボン姿であり、それゆえ彼女を女子だと認識しなかったようだ。そのあたりの会話を聞くに、金髪は女子には手を出さない性分だと知れて、友人女子への被害は出なさそうだと拓馬は安心した。また、..
短縮拓馬篇−3章◆拓馬視点★ [2019/07/03 18:00]
体育祭は例年通りのにぎわいで、無事に終わった。その後の授業日の放課後、拓馬のもとに三郎がやってくる。
「これから空いているか?」
「やることはないけど……」
「ならば好都合! 折り入ってたのみたいことがある──」
三郎は成石を襲った犯人捜しを提案した。本摩との約束通り、体育祭を終えたいま行動を起こすつもりだ。手始めに最近、公園でたむろしだした少年らに話を聞きにいくらしい。彼らは夜にも公園に集まるというので、もしかしたら、彼らが成石を襲った連中かもしれない、との推測..
短縮拓馬篇−3章2 ★ [2019/07/02 23:15]
シズカの狐は幽霊と似た存在だ。それを見える者はシズカと、拓馬の父と、そして拓馬。普通の人には見えず、狐がなつく対象であるヤマダは狐を見れない。それゆえ拓馬は彼女に狐のことを伝えておいた。動物好きなヤマダは不可視の動物を気味悪がることなく、むしろどんな愛らしい姿なのか気になっていた。
狐が派遣されて半月ほど経ったころ。拓馬は連休明けの中間テストの真っ只中にいた。いまの時限の試験監督者は銀髪の英語教師である。彼は今学期から赴任した新人だ。新人といってもその年頃は三十歳ち..
短縮拓馬篇−2章3 ★ [2019/07/01 18:55]
今日は授業が午前中で終わる土曜補習。一日の余暇時間が多い日ゆえに、生徒らは活気づく──のが通例だった。拓馬が登校したところ、教室内には異質な空気がただよう。同級生たちが不安そうに話し合っているのだ。
(テストでもやるのか?)
成績にかかわる授業がある日は生徒たちがざわつくものだ。ただ、拓馬はそんな授業があるとは聞いていない。そこで拓馬は友人たちに「今日はなんかあったっけ?」と質問をする。質問相手は、たまたま拓馬と目があった長身の女子と小柄な女子だ。
「あったのは昨日..
拓馬篇−終章3 ★ [2018/08/27 09:00]
3
シドが才穎高校へ再就任する方向で話が落ち着いた。ヤマダはさっそく「いま校長に言ってみたら」と催促するが、教師はこばむ。
「いえ、まずは双方の疑問を解消しましょう。そのうえで貴女たちが私をそばに置いてもよいと思うのか、たしかめたいのです」
「先生の疑問って……わたしたちが先生の裏の顔を知って、どう感じたかってこと?」
「そうです。私はさきほど、自身が犯した罪を告白しました。それを知ってなお、私の復職を希望する理由はなんですか?」
「先生がほんとうはわるい人じ..
拓馬篇−終章2 ★ [2018/08/23 23:00]
飲食店への集合時刻は午前九時。拓馬はその五分前に到着した。店内を見回したところ、四人から六人掛け用のソファ席に、ヤマダと銀髪の二人が向かい合っていた。
三人がすわるテーブルにはコップが三つある。現実の学内では常人に見えなかった少女も、いまは実体化しているらしい。
拓馬と少女の視線が合う。彼女はとなりの銀髪仲間になにごとか告げ、そこからシドがヤマダに話した。するとヤマダが席を立ち、拓馬に近づいてくる。
「タッちゃんの分のドリンクバーはもう注文したよ」
「じゃあ取っ..
拓馬篇−終章1 ★ [2018/08/22 21:40]
はた迷惑な騒動が鎮まった日の夜、拓馬のもとにシズカの連絡が入った。これまでの出来事について犯人みずからが話すという。そのため、ヤマダとともに話し合いの席を設けてほしいとの依頼だ。その会話は当然、他者に聞かれてはまずい内容である。
「俺かヤマダの家で話しますか」
と拓馬がたずねたところ、通話者は『場所は気にしなくていいよ』とやんわり否定する。
『きみたち以外の人には、おれの友だちがべつの話を聞かせる。ようは幻術の音声バージョンだね』
「あ、じゃあまた猫がくる?」
..
拓馬篇−10章6 ★ [2018/08/08 02:55]
シズカと拓馬は壇上へ向かう。壇上にてヤマダが演台にもたれかける様子を拓馬は記憶していた。いま見てみると彼女は壇上で横たわっている。
「あれ? あいつ、体勢が変わってるような……」
拓馬たちが体育館にきたとき、彼女は壇上にある演台にもたれかかっていたはずだ。
「おれがああしたんだ。ヤマダさんから力を分けてもらうときに、ちょっと姿勢をくずさせちゃってね。変なことはしてないから、信じてくれよ?」
「わかってますよ」
拓馬はシズカの潔白を疑わなかった。次に拓馬は壇への..
拓馬篇−10章5 ★ [2018/08/07 00:30]
シズカはヤマダのいる壇上へ駆ける。その進路に、長身の男が立ちふさがる。彼もシズカの作戦は予想がついているのか、シズカの進行をはばもうとした。
シズカが呼び出した猿が、全身を使って敵の足にまとわりつく。猿は両手両足を使い、敵の捕縛に徹する。つまり、無防備な状態だ。敵はその隙を見逃すことなく、猿の背に鉄拳を落とす。鈍い音が鳴る。重い一撃をもらった猿は床に伏した。
「ごめん、エーコちゃん!」
シズカがさけんだ。それと同時に一枚の札をシドに向ける。札は上下にやぶけ、分かれ..
拓馬篇−10章4 ★ [2018/08/05 23:55]
「It's so great!」
壇上より、拍手とともに称賛の声があがった。壇上の演台の奥には笑みをたたえた銀髪の教師が立っている。いつもの黒シャツに黄色のサングラスを身に着けた格好だ。異形の少女の話では大男が待ち受けるはずだが、拓馬はおどろかなかった。これは想定しえた一場面だ。
(やっぱりか……)
みずから正体をあきらかにしていても、教師は人の良さそうな演技を継続している。その対応が殊更彼の空恐ろしさを助長させた。
不気味な人物がいる演台の側面に、ヤマダが座っ..
拓馬篇−10章3 ★ [2018/08/04 02:00]
拓馬は狐を抱え、職員室前を通り過ぎた。ヤマダを置いてきた空き教室へもどる道中、またも化け物連中が出現する。ただし一体二体がちらほら通せんぼする程度だ。その脇を危なげなくすりぬけて行った。
(なんでさっきだけ、かたまってたんだ?)
最短ルートは通行止めをくらった。五、六体の異形がその体を盾にしてきたのだ。この現象は単なる偶然ではないように思えてくる。
(俺のジャマをする意味……時間稼ぎか?)
拓馬が二階の空き教室へ帰還するのを遅らせたかった。そんないやがらせか、も..
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