良い機会がありましたので紹介させて頂きます。
先日、夕方に会社に営業の方が来ました。
「店長はおられますか」
身なりはスーツでは無く普段着。
顔は無精ひげを蓄え、名前も会社名も
名乗らず開口一番にこう言われました。
少々口臭も気になりました。
歳は若く、学生さんが何かのイベントで
またやってきたのかと最初は思っておりました。
良く話を聞くと、どうも違うようでした。
「買取をしている小さな店舗とお客を結ぶ仕事をしている」
とおっしゃいます。
東京からやって来たともおっしゃいました。
「失礼ながらお歳をうかがって良いですか」と、
伝えると、24歳である事が分かりました。
会社は法人として立ち上げ、
五千万円の出資を集めたとの事。
パンフレットは無く、話を聞いても
漠然とした内容で言っている内容が
良く見えてきませんでした。
「単価の低い物を扱われているじゃないですか」
「単価の高い物を買い取れるよう紹介しているんですよ」
とおっしゃいます。
話しませんでしたが、数万円から数十万円の
買取はありますから、数百万円の買取の事を
言っているのだと理解しました。
「それだと五千万円程度の資金では
直ぐに足りなくなりませんか」と私が言うと、
「うちの会社は買取はやっていませんから」と、
返事が返ってきました。
買取もしない会社が買取の斡旋をするとは、
どういう了見だろうと感じました。
それは難癖では無く理由があります。
高額な商品を買い取る場合、
色々な問題点が出てくるからこそ感じた事です。
第一に、偽物を見分ける為の経験と知識が必要です。
それは鞄、時計、カメラ、衣類、家電、宝石貴金属と
広い分野であれば大変です。
目利きを誤って偽物を買い取ってしまうと、
全て損失になってしまいます。
東京からの斡旋ということは、
こちらは出張買取になるのでしょう。
古物の「行商」申請が必要になります。
また、買取品目の変更申請も必要です。
とりわけ大きな問題点としては、
潤沢な資金の準備、買取用資金の保管リスク、
買取商品の保管リスクの問題が出てきます。
それに付随して移動費、訪問先での
査定用具の準備に加え、
細かなリスクが沢山あります。
買取の経験を積まずして、
問題点は見えません。
営業さんのお話を伺っていてると、
「知識、経験、ノウハウはありませんが、
費用とリスクを貴方が負って契約してもらえませんか」と、
言われているように感じました。
この時、怒りとか理不尽という感情よりも、
憐れみに近い気持ちになりました。
当然、ご提案は丁重にお断りさせて頂きました。
これがもし、無精ひげが無く、
スーツで来店し、パンフレットを出しているだけで
印象が違ったように思います。
24歳で会社を興し、営業で全国を回っているというのは、
正直すばらしい才能だと思います。
私もかつて似たような過ちを
犯した時期がありました。
商売をやっていく上で本当に大切な事は、
金銭では無いという事。
その事に気づくのに遅れてしまうと、
取り返しがつかなくなります。
今回はその事を再認識する
良い機会となったと思っています。
その方には是非とも成長して
成功してもらいたいと感じます。
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