憲法は14条で「法の下の平等」を定めるが、日常生活で不平等や不公平を感じる場面は多い。
格差を是正する為に、憲法を活用する事はできるのだろうか。
----------憲法が定める「平等」はどんなものか。
教育や就労などの機会が全ての人に開かれている「機会の平等」を定めていると解されているが、それだけでは参加できないグループが生まれる。
弱い立場にいる人たちに便宜を図る事で参加の機会を生かせる様にする「実質的平等」の意味も含まれる。
只何を平等とするかの考え方は人により多種多様で、時代によっても変化する。
不平等と感じても裁判で平等権違反の判決を勝ち取るのはハードルが高い。
違憲判決が示されたのは「在外者の選挙権」など、差別により重要な権利の侵害が起きた場合に限られる。
何が平等かについて合意を形成するのは本来、司法ではなく政治の役割だ。
----------差別を是正する措置として、差別是正措置(アファーマティブ・アクション、A A )が日本でも注目されている。
近年は男女差別是正策として議論される例が多い。
合理的な目的を掲げ社会的に合意を得て実施されるなら合憲と考えられる。
只社会的、経済的弱者の救済策として、薔薇色の物ではない。
特定グループを優先する事で、新たな構造的差別が生まれる恐れは常に生じる。
「多様性の確保」を根拠に A A 導入を求める例が多いが、人によって捉え方が全く異なる。
----------格差が広がっているが、憲法の平等原則から是正策を導く事はできないか。
格差や分断が進めば他者に無関心になり、国民の一体感が失われる。
災害時でも助け合い、法を順守する日本人のモラルの高さが失われる恐れもある。
不公平や不平等の不満が溜まれば、憲法が描く健全な社会から遠ざかる。
平等原則を定める14条は裁判で権利を勝ち取る根拠とするのは難しいが、理念として幅広く解釈できる。
全ての人に健康で文化的な生活を保障する生存権を規定した25条と組み合わせる事で、国に格差を是正する法制度や政策を求める根拠として活用できる。
限られたパイを奪い合って過酷な椅子取りゲームをする状態では、格差の本質的な解消には繋がらない。
全体が底上げされる様な経済成長策を含め、社会資源が貧しい人にも配分される政策が必要だ。
桐蔭横浜大法学部 茂木 洋平准教授
愛媛新聞 平等って何ですか?から
14条と25条を組み合わせると根拠として活用できるらしい。
国に求めるべきだ。