A 物権的効力
動産の売買や、担保権の設定を目的とする契約が締結されると、物権変動と呼ばれる効果が生じる。
詰まり、A 土地の売買契約を例に取れば、この売買契約によって A 土地の所有権が売主から買主に移転する事になる。
民法は物権変動につき意思主義を採用し、物権変動には登記や占有の移転など一定の形式・表象を必要としていない(民法176条)。
B 対抗要件
物権は、直接性・排他性がある強力な権利である。
然も、物権の変動は、一定の形式・表象を必要としない為、この物権変動を目で見る事はできない。
こうした事から物権取引の安全を図る為、民法は対抗要件と言う考え方を採用した(対抗要件主義)。
民法177条=不動産に関する物権の特喪及び変更は、登記法の定むる所に従い、その登記を為すにあらざれば、此れを持って第三者に対抗する事を得ず。
この条文は、視覚で捉える事のできない物権変動につき、登記と言う公示手段を備えない限り、第三者に対してその物権変動を主張できない、とした規定である。
対抗要件と言う考え方は、債権譲渡の場面においても重要な役割を果たす。
債権譲渡の第三者対抗要件は、確定日付ある証書による通知又は承諾である。
この場合の通知は、譲渡人が行う必要がある(民法467条)。
尚、確定日付ある証書とは、郵便局の内容証明郵便、公正証書、転付き命令の送達などである。
(3) 契約の様々
契約の内容は当事者が自由に定める事ができる(契約自由の原則)が、民法は良く用いられる典型的な契約について規定を置き、当事者の意思解釈・補充を行っている。
然し、これらの規定は、特に定めがない限り任意規定であり、当事者の合意に基づいて適用を排除する事ができる事になる。
民法に規定される13種類の契約は、一般に「典型契約」或いは「有名契約」と呼ばれている。
LEC 東京リーガルマインド 法学基礎講座から
現代社会においては、当て嵌まらない無名契約が存在する事に留意すべきらしい。