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2014年04月03日

札幌近郊のオショロコマ

 本州のフライフィッシャーが北海道の釣りで感激することのひとつに、虹鱒やアメマス、イトウなどの大型魚ではなく、オショロコマの存在がある。夕張以東の十勝や道東、道北で釣りを行う人には珍しくも無い魚だが、岩魚特有の白い斑点に赤い斑点(場所によっては赤い斑点の無い種もいる)の見た目の美しさと、フライへの元気な反応から。
  やまめのように放流することなく、自然産卵を繰り返して生息するオショロコマだが、札幌近郊では限られた河川でしか見ることができなく、よく「札幌近郊でオショロコマの釣れる川を教えて」と聞かれることがある。生息河川は、苫小牧や支笏湖近辺の森を流れる涌水河川ではなく、奥の深い山岳河川となる。例えば、余市川支流の然別川や尻別川支流の真狩川、札幌からは少し遠いが日高の千呂露川や占冠の双珠別川など。
 低水温を好むことから、緯度の高い河川の上流が生息域となっている。そのために、緯度が低く高い山のない道南にはほとんどおらず、こうした条件に適した十勝や道東で多く生息しているわけだ。ちなみに、北海道における南限は森町の鳥崎川の上流と見られる。

 保護水面に指定されている、然別湖に生息するオショロコマは同湖の固有種で、同じく保護水面の千走川のオショロコマも固有種。道東の河川にいる種類とは異なる。こうした保護水面では尺を越える成魚が見られるが、一般河川での尺オショロコマは十勝や道東の河川でもそう多くはない。十勝では札内川や戸蔦別川の上流、北見方面では支湧別川や丸瀬布川などが上げられる。知床の河川は魚影が濃いかわりに大型魚は少ないようだ。

 札幌から一番近い、オショロコマの釣れる河川は支笏湖に向かう国道の横切る川。この川の上流、下流には近年数え切れないほどの堰堤が設置された。魚道は設けられているが、新設された堰堤のさらにその下流に、かなり昔に築かれたと思われる、高さ10メートルはある巨大な堰堤が設けられていて、下流からの遡上を阻んでいる。必然的に、下流に生息する虹鱒や岩魚、アメマスは堰堤に遮られて遡上できず、上流にはオショロコマしか生息していない。

 この川のオショロコマは、こうした環境の中で川を下ることもなく自然産卵を繰り返してきた。新設された堰堤との関係なのか、固体数の減少とともに魚体の小型化も進んできているようだ。まだ、自然河川の景観を残していた20年ほど前には、20センチ級も手にすることができたが、昨年は最大でも12〜13センチほどで、数も大幅に少なくなった。それでもまだ、堰堤の新設計画が立てられているようで、この川のオショロコマの先行きに不安を感じている。
残留型のオショロコマ=標津サーモン科学館のホームページから
残留型オショロコマ 標津サーモン科学館ホームページから.jpg





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