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2019年01月30日

卒業が近づくと…

センター試験が終わって、登校している高校三年生がほとんど数えるほどになった。
この先、高校三年生が全員揃うのは、卒業式の頃。
場合によっては、卒業式当日にも大学入試があるので、全員が揃わないこともある。

いよいよ高校時代の集大成だ。

私はもっぱら中学校担当で、接点も薄くなっているので、彼らとの別れも怖くない。
卒業式当日も、式に参列できるのは中学三年生まで、中1と中2は、卒業式の様子を教室でモニターを見る。そして、式が終わり、卒業生が式場から退場するとき、花道を作って、彼らを祝福するのである。別れを嫌う私には、ちょうどよい。

それでも、彼らを見送りながら、涙があふれそうになることもあるが、それはぐっとこらえる。

「先生、僕、明日から来ません。」
ある高3から、そんな風に言われた。
一瞬何と答えたるべきか躊躇したのち、
「卒業式には来るんだろ…。」
「もちろんです。」
「まぁ、俺は卒業式には出られないけどね…。」
と、意表をつく。

できたらこんな会話のやりとりはしたくない。
彼らには、すっと卒業してもらって、いろいろな分野で大いに活躍してくれたらいい。
それを、風の便りに知ることができれば、我々教師にとっては、最高の幸せなのだ。

縁あって出会った生徒と三年ないし六年間共に過ごす。
一緒にいる時間が長いから、お互いの性格もすべて分かっての付き合いになる。
こうなってくると、阿吽の呼吸で、多くを語らずとも、コミュニケーションが図れるようになるものだ。

すれ違い時に、「ニコ」って笑うだけでも、何となく気持ちが通じ合う。
調子の良し悪しなど、一発で分かる。

逆に生徒から、
「先生大丈夫ですか?」
などと、プロとしては情けないことを尋ねられることもあるが、ここで見栄を張ってもしょうがない。
正直に答えた方が、よほど気が楽だし、ある意味、彼らに甘えることだってできる。

国公立入試ともなれば、卒業式には進路は決まらない。
それでも、高校は卒業し、何とも中途半端な立場になる。

だが、その中で彼らは入試の関門を乗り越えようとする。
もう、手助けはできない。
あとは、自分で歩んでゆくだけだ。

そんな彼らの姿を思うと、何とも頼もしく、この仕事を誇らしく思えるものだ。








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