2019年11月04日
突発性難聴 30代でも発症しやすいタイプとは?
30代の男性でも発症してしまう突発性難聴とはどのような病気なのでしょうか。
耳鼻咽喉科の岡田先生に、突発性難聴の原因・症状・治療内容はもちろん、発症リスクが分かるセルフチェックも教えていただきました。
突発性難聴とは
男性の突発性難聴
突然に発症する難聴であり、診断基準では「 隣接する3周波(例えば、250Hz、500Hz、1000Hzなど)数域で30dB以上の感音難聴が3日以内に生じたもの」とされます。
好発年齢
小児〜高齢者までのどの年代でも発症しますが、好発年齢は 30〜60歳代で、特に 50歳代が多い傾向にあります。
男女差や左右差はなく、通常は片側性ですが、ごく稀に両側に発症する方もいます。
突発性難聴の原因
内耳の仕組み
特定の原因が判明せず、原因が不明または不確実なものと定義されています。原因が明らかなものは、突発性難聴の診断からは除外されます。
これまでの研究により、内耳の循環障害やウイルスによる内耳炎が最も有力な原因とされています。
突発性難聴の症状
突然の難聴とそれに前後する耳鳴、耳閉塞感が生じます。
突然発症して症状が完成するという点がポイントで、発症したときに何をしていたか明確に覚えている方が多いです。
また、吐き気、嘔吐を伴うめまい(ぐるぐるした回転性、ふわふわした不動性)が出ます。
突発性難聴の治療内容
聴力検査
検査内容
問診、標準純音聴力検査、場合によってティンパノグラムや耳音響反射検査、頭部MRI検査
治療内容
初回治療としてステロイド投与が基本となりますが、場合によって診断3カ月以内の高気圧治療を行ったり、初回治療で不完全な回復の症例には鼓室内ステロイド投与の治療を行うこともあります。
処方される薬
内服治療として、一般的に循環改善・血管拡張薬が処方されます。
しかし、残念ながら、これについては現在のところ、治療効果は証明されていません。
治療期間
およそ数カ月で聴力は固定(それ以上回復しない)されることが多いのが実際ですが、半年〜1年ほど内服を続ける場合もあります。
突発性難聴で入院するケース
入院
■ 高度の突発性難聴でめまいを伴い、動けなくなっている場合
■ 糖尿病などがあり、ステロイドによって血糖の上昇が予想される場合
■ 高齢者
突発性難聴の予後
耳鳴りに苦しむ男性
突発性難聴はたとえ聴力が戻ったとしても、耳鳴りが残る非常に困難な病気です。
やっとの思いで難聴であることに慣れた方も、後遺症として残る耳鳴りに苦労されます。
突発性難聴は再発する?
再診風景
非常にごくまれに再発することもあります。しかし、基本的には突発性難聴は再発しません。
もし突発性難聴が再発するようであれば、外リンパ瘻、メニエール病、聴神経腫瘍など他の疾患を疑わなければなりません。
突発性難聴を予防はできる?
ビタミン一覧
突発性難聴そのものの予防ではありませんが、難聴の一種である音響外傷に対しては、ビタミンA、C、Eが抗酸化物質として予防効果が示されています。
また、臨床研究では加齢による難聴に対する予防効果も示されています。
しかし、これらに関してはさらなる追加研究で確認することも必要です。
突発性難聴になりやすいタイプ
チェックリスト
突発性難聴を発症された場合、以下のタイプが多いとされています。
□ 睡眠不足である
□ 朝食抜きなど不規則な生活を送っている
□ ストレスがかかっている
□ 食生活が西洋型
□ 葉酸欠乏や糖尿病である
□ 多量の飲酒をしている
□ 疲労が溜まっている
主治医
原因がわかっておらず、ステロイドも含めて確実に有効な治療法が確立されていないのも事実です。
主治医とよく相談の上、治療方針を考えていくと良いでしょう