2019年08月03日
モナリザは医学では肥満と関連?食べなくても太るモナリザ仮説とは
かの有名な絵画「モナリザ」の名前が入った仮説、「モナリザ仮説」をご存じですか?
過去にアメリカで提唱されたもので、肥満についての仮説ですが、いったいどのような内容なのでしょうか。
今回は「モナリザ仮説」の概要、モナリザ仮説に基づいた交感神経の働き、肥満対策を医師に解説していただきました。
モナリザ仮説とは
1991年にアメリカで提唱された仮説で、「 Most Obesities kNown Are Low Sympathetic Activity」つまりほとんどの肥満では交感神経の活動性が低い、という言葉の文字の一部を取ってモナリザ仮説と呼ばれ、肥満は交感神経の活動性低下と密接に関係しているとする考え方です。
ちなみに、「モナリザ症候群」と呼ばれる症状も存在し、妊娠後期に起こる顔面神経麻痺のことを指します。
交感神経と副交感神経の役割
交感神経
体を活動的な状態に置くときに活性化する神経で、その働きは”Fight or flight”つまり目の前の敵と戦うか、逃げるかという緊迫した場面に有利です。
交感神経が活性化した状態では、体に下記のような変化が表われます。
・瞳孔は光を十分取り込めるようにかっと開く
・汗が引く
・口が渇く
・心臓の鼓動は早くなる
・血圧は高くなる
・胃腸へ行く血流を少なくして筋肉への血流量を増やす
副交感神経
逆にリラックスして休む場面で働く神経は副交感神経であり、脈は遅くなり、胃腸に十分な血流を送ることで消化を助けます。
交感神経と副交感神経を合わせて自律神経と言います。
交感神経の働きが低下するとどうなる?
交感神経の働きが低下していると、体重が増えやすく、体脂肪が多くなりがちであるというモナリザ仮説は、説得力があるように思われます。
理由として、交感神経の活動性が低いと食欲を抑制するホルモンが出にくくなり、満腹感が得られにくく、過食につながり、また、交感神経の活性化は脂肪細胞を分解して脂肪を減らす働きもあります。
交感神経活性化で肥満改善?
運動をするなどして交感神経の活動性を上げるよう働きかけることで、肥満を改善できるのではないかと考えられます。
運動をして肥満が改善されるのは、単にエネルギー消費量が多くなったからというだけではなく、運動により交感神経が活性化されたからでもあるとも考えられます。
食べてなくても太るのは交感神経の影響?
あまり食べていないつもりなのに太ってしまうという場合、交感神経の活動が低下しているのも原因の一つかもしれません。
どのような方が交感神経の活動性が低くなりやすいかというと、おそらく体質、つまり遺伝子による特徴が大いに関係していると思われますが、現時点では詳しいことは分かっていません。
自律神経のバランスを整える方法
■ 運動を続ける
■ 規則正しくめりはりのある生活をする
■ 毎日同じぐらいの時間に起きて太陽の光を浴びる
■ 姿勢を正しく保つ
■ 腹式呼吸を行う
■ サウナに入る
■ 爪の生え際にある自律神経のツボを刺激する
肥満は単に食べ過ぎだけで説明できるものではないということが分かってきました。
今後の研究が期待されますが、規則正しい生活や運動が肥満解消に効果的なことは確実でしょう。