2018年09月12日
知っていた!? 睡眠時間6時間で徹夜後と同じ脳のパフォーマンス
あなたは「負債」を抱えていないと言い切れるだろうか?お金の話ではない。実は、知らず知らずのうちに、日常生活を通してたまってしまう怖い負債も存在する。それが「睡眠負債」である。
短時間睡眠を続けると、睡眠不足が徐々に蓄積して、脳や体に悪影響を及ぼす「睡眠負債」になってしまうというのが、最近の睡眠科学の考えである。今回はそんな怖い「睡眠負債」について考える。
□日本人の睡眠時間は世界最低レベル
一般的に7〜8時間の睡眠が推奨されているようだが、実は適切な睡眠時間というものはいまだに確立されていない。
2011年のOECD(経済協力開発機構)のデータでは、日本人の睡眠時間は28か国で最低で、7時間40分。2014年のミシガン大学の調査でも、日本の睡眠時間は7時間24分で100か国中最も短かった。しかし、世界に比べて短いといえども、意外と寝ているというイメージではないだろうか。
一方、蘭フィリップス社の調査では、日本人の40%が睡眠時間6時間以下であるという結果が出ている。
□睡眠時間は長い方が良いということではない
寝すぎが良くないという調査結果も発表されている。睡眠時間別の死亡率においては、6.5〜7.5時間睡の人が最も少なく、7.5〜8.5時間睡眠だと約20%も高くなるとのことである。
8時間以上の睡眠を取った場合は、心疾患のリスクが高まる。長すぎる睡眠も体には良くないのである。
□6時間睡眠では徹夜後と同じパフォーマンスしか出せない
短時間睡眠の脳波や認知能力に対する影響も指摘されている。
6時間睡眠を2週間続けた後の脳波や認知能力は「二晩徹夜」したのと同じだという報告が出た。
6時間寝て「睡眠不足でさー」と会社ではとても言えないが、認知テストや脳波の結果は8時間睡眠と比較すると悪く、徹夜明けと同じことになっているのだ。6時間睡眠ではあなたの本当の実力は発揮できないのだ。
□睡眠負債については分かった。 なら、寝だめは可能なのか
フィリップスの調査で分かる通り、平日に7、8時間の睡眠を毎日取るのは難しい人も多いだろう。そうなると、考えるのが週末の「寝だめ」だ。寝だめはそもそも可能なのか。
ペンシルベニア州立大学の研究結果では、6時間睡眠を6日続けた後、10時間睡眠を3日続けることにより、悪化した日中の眠気スコア・炎症マーカー・ストレスホルモン(コルチゾール)の数値は元のレベルまで戻るという。一方、脳のパフォーマンスは3日間睡眠をしっかり取っても戻らないという結果になった。
つまり、「睡眠負債」はできても、「寝だめ」はできないのだ。
□昼寝で睡眠負債の返済を
しかし10〜15分の昼寝は、脳の機能を回復させるという研究もあり、昼寝を組み合わせることで補える可能性は高いだろう。
誰しも持ちたくない負債。特に「睡眠負債」は誰かがこまめに取り立てに来るわけではない。「睡眠負債」が気付かぬうちに膨れ上がって返済不能にならないよう、「昼寝」と「寝だめ」でこまめな返済を心がけた方がいいようだ。