2019年09月16日
ビールのおいしさは音楽で決まる? 本場ベルギーでユニークな実験
音楽を聞きながら飲むビールは、おいしいと感じる傾向にある――ベルギーのブリュッセル自由大学と英オックスフォード大学の研究者らが、ユニークな研究結果を発表している。
研究者らは音が形や色など、人間の感覚情報に与える影響を調査しており、今回の研究では味覚に与える影響を調査対象とした。
対象となったのは、さまざまなバンドのアルバムをイメージしたビールを醸造している、ベルギーの「The Brussels Beer Project」による「SALVATION」というポーター(濃い色で苦いタイプ)ビール。ポーターならではのチョコレートのようなしっかりした風味と、醸造時に注入したアールグレイによるシトラスの香りが特徴とされている。
実験は、健康な男女231人を対象に3日間行なわれた。まず初日は醸造元によるSALVATIONのプレゼンテーションを実施し、試飲せずに「どのくらいおいしいと思うか」というアンケートに回答させた。
翌日は、対象者を3つのグループに分類。それぞれ、「ラベルが貼られていないボトルを提供され、音楽はなし」「ラベルが貼られているボトルを提供され、音楽はなし」「ラベルが貼られているボトルを提供され、音楽を聞く」という状態で試飲を実施した。
使用された音楽は、SALVATIONのイメージ元となっている、英国のロックバンドEditorsの「Ocean of Night」という曲。また、実験会場の雰囲気が影響しないよう、試飲時は、無言でテーブルに座って飲むよう指示をしている。
3日目に再度アンケートを実施し、昨日飲んだビールの味やアルコール度数、風味などへの感想を回答させた。その結果、ラベルが貼られていないか、ラベルが貼られていただけのグループの評価は、試飲前とほとんど変化していなかったのに対し、音楽を聞きながら試飲したグループは大幅に評価が上昇しており、特に「味がよかった」と回答した人が増加していた。
研究者らは、音楽を聞くことで得られたポジティブな感覚が、味覚にも影響しているのは明らかであるとし、今後は食事療法を受けている人に、より健康的な食品を選択肢させる音などがあり得るかを検討していきたいとしている。
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