2019年01月07日
赤ちゃんは寝るまで泣かせてもいい?
泣き続ける赤ちゃんを放置――虐待のように見える行為だろう。
しかし、オーストラリアでの研究により、赤ちゃんを寝かしつける時には、この方法は決して悪いことではないというデータが出た。赤ちゃんを持つ親にとって、精神的にも肉体的にも大変な赤ちゃんの寝かしつけだが、少しほっとする報告である。
□オーストラリアでの睡眠訓練実験 泣いている赤ちゃんを放置
オーストラリアで、6〜16カ月齢の赤ちゃん43人を、「graduated extinction」「bedtime fading」「Control」の3つのグループに分けて、それぞれの睡眠訓練が、赤ちゃんの睡眠やストレスにどのように影響するのかを調べた。
「graduated extinction」は赤ちゃんをベッドに置き、1分以内に部屋を出て、赤ちゃんが泣いても放置する時間を徐々に長くしていくという方法だ。
「bedtime fading」は寝かしつける時間を遅くして行き、親が寝る時間に赤ちゃんの寝る時間を近づける。その時間にベッドに赤ちゃんを置いて、寝るまで一緒の部屋にいるという方法である。
「Control」は睡眠訓練に関する指示を与えられず、自分たちの方法で寝かしつけてもらうグループである。
□寝かしつけに睡眠訓練の効果あり
その結果は「graduated extinction」グループで、入眠までの時間が15分短くなり、夜中に起きてしまう頻度も減った。「bedtime fading」グループでは、入眠までの時間は12分短くなったが、夜中の覚醒回数には変化がなかった。
睡眠訓練によるストレスや悪影響は認められない
これらの睡眠訓練群の赤ちゃんではストレスホルモンであるコルチゾールの値が低く、訓練によるストレスがないことが示唆された。さらに、1年後の調査でも、その赤ちゃんが親に依存したり、問題行動が多く報告されたりすることもなかった。
また、睡眠訓練の1年後には、これらすべてのグループの赤ちゃんは、同じような睡眠を取るようになったという。おそらく、睡眠の健全性は自然に育つためであろうと考えられる。
他にも似たような研究が、2012年に行われている。その研究では、睡眠に問題のある7カ月齢の赤ちゃん326人に対し、泣きっぱなしで放置しても、その5年後に悪影響を及ぼさないという調査結果が出ている(※2)。
最近では子どものしつけや虐待に関するニュースが毎日のように見られる。
どこまでがしつけでどこからが虐待という線引きは難しい。今回の結果から、睡眠に関しては「寝るまで泣かせる」は間違っていないようだ。3日ほどで効果が出て来ることが多いようなので、家族やご近所が許容できるなら試してみてほしい。大人も子どもも気が済むまで泣いた方がぐっすり眠れるのかもしれない。
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