2018年12月05日
男の子は生まれる前から母親を悩ます存在だった!?
母親にとって男の子の子育ては難しいと言われることがある。生まれながらにして持っているわんぱくさや、けんかなどのトラブルに悩まされることがあるからだ。
ところが、本当は生まれながらではなくて、母親のおなかの中にいる時から男の子は母親に問題を持ち込むことがあるとか。オーストラリアの研究者によると、男の子を妊娠した母親は、妊娠中から出産の合併症に悩まされることが多いということが明らかになった。
□男の子と女の子の妊娠中の違い
オーストラリアのアデレード大学の研究者は、男の子と女の子のための出産結果の違いを確認するために、1981年から2011年の間に生まれた、南オーストラリア州の574,000人以上の出生のデータを調査した。
その結果、男の子を妊娠中の母親と女の子を妊娠中の母親には、違いが見つかった。男の子を妊娠中の母親は、妊娠中に「糖尿病」や「子癇(しかん)前症」といった出産の合併症で苦しむことが多いことが分かったのだ。
男の子は、おなかの中にいる間から母親を悩ませ始めることもあるようだ。
□男の子を妊娠すると増える妊娠中のリスク
研究により分かった男の子だと増大する妊娠中のリスクは、以下のものだ。
・男の子を妊娠中の母親は、女の子を妊娠中の母親に比べて、早産の割合が妊娠20〜24週では1.27倍、30〜33週では1.24倍、34〜36週では1.17倍高かった。
・男の子を妊娠中の母親は、妊娠性糖尿病を患う可能性が1.04倍になる。
・男の子を妊娠中の母親は、子癇前症に苦しむ可能性が女の子の母親の1.75倍になる。
□糖尿病や子癇前症などの出産の合併症とは
妊娠中は、普段とは食事量や運動量も変わり、普段健康な人でも合併症になりがちだ。
合併症の一つである妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて発見された糖代謝異常のことを指す。妊娠糖尿病と診断された場合は、血糖を管理する必要がある。妊娠糖尿病と診断された場合や妊娠前から糖尿病の場合には、胎児に流産、形態異常、巨大児、心臓の肥大、低血糖、多血症、電解質異常、黄疸(おうだん)、などの危険がある。
また子癇前症(妊娠中毒症)は、尿タンパクを伴う高血圧で、妊婦の約3〜7%が妊娠20週以降に発症する。子癇前症になると、早期胎盤剥離や早産が起こりやすくなり、出産直後に新生児に問題が生じるリスクが高まる。
初めての妊娠や双子などの多胎妊娠、肥満や高血圧、血管障害の人、高齢出産では、発症リスクが高まることが分かっている。
□胎児に合わせて治療ができる可能性もある
今回の研究により、胎児の性別に合わせた、新しい合併症の治療法を考える必要があることが分かった。また合併症になりやすい条件が明らかになったことで、発病前の予防につなげていくこともできるかもしれない。
合併症は、重症になった場合には妊婦や胎児を命の危険にさらすこともあるため、今回の研究を生かした治療法や予防法が見つかれば、母子の命が助かることにもなる。研究者らは、今回の研究が治療につながるように研究を続けていく予定だという。
合併症の発症にはこれらの要因とともに、母親や父親が生活改善することで防げる合併症もあるため、生活改善も同じように重要だ。
それにしても、男の子は生まれる前から母親をやきもきさせるなんて、早くも母親に甘えているようで、なんともほほ笑ましい存在ではないだろうか。
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