2016年05月16日
瞬く間に消えていく記憶? 人はGoogle 検索で賢くなったと過信
Google検索によって、世界中の情報を簡単に引き出せるようになった。しかし、「簡単に探せる情報は忘れやすい」と心理学者は警告する。さらに、このGoogle検索は、自分の知識にはない事柄についてもよく知っているような「過信」を起こさせるとも言う。
■Google検索の弊害!? 人間は能力を過信しやすくなっている
米イェール大学の研究チームは、被験者にテーマを与え、それについて調べさせる実験を行った。被験者は2グループに分けられ、一方のグループは、リサーチにインターネットの使用が許されたが、もう一方のグループは禁止された。当然、インターネットを使ったほうが素早く簡単に情報を入手できる。
その後、被験者は調べた内容とは無関係の事柄(天気、科学、アメリカの歴史、食事、健康管理、人体の6項目)について質問され、意見を求められた。自分が知らないことも含まれているそれらの質問に対して、被験者は自分なりに回答するわけだ。研究グループはその回答内容を検討した。
その結果、インターネットを利用してテーマを調べたグループでは、自分の知らないことに対しても、まるでそのことを知っているかのような回答が多かったという。言い換えれば、インターネット検索は人を自分の能力を過信させる「Google効果」を引き起こしたという。
もちろん、簡単に仕入れた情報はすぐに忘れてしまう。インターネットで“見た”だけのような情報は、「短期記憶」として一時的に私たちの脳にストックされるが、必要がなくなればすぐに消去されるからだ。
しかし、インターネットを使わず四苦八苦して得た情報は、そんな苦労の過程とともに「長期記憶」として長く記憶に残ると言われている。感情や経験が伴う記憶が忘れにくいということは、誰もが経験していることだろう。
■鶏は「とさか」で順位付け。人間にも共通点?
私たちは、自分の能力をどのように「把握」しているだろうか? 人を判断するための基準はいろいろで、人によっては、学歴、社会的地位、仕事の成績、知識の豊富さなどにより、他人との比較をすることが多いかもしれない。その基準も、人間の場合にはさまざまな要因があり複雑だが、動物では比較的シンプルな例がある。
例えば、鶏は「とさか」の大きさによって、自分とほかの鶏の順位付けを行う。とさかの大きさが、その鶏の能力の象徴として捉えられ、自分や他人の順位を正確に把握できる仕組みだ。
不思議なことに、鶏は自分のとさかの大きさがある程度分かるようだ。とさかの小さい鶏に作り物の大きなとさかを付けると、その鶏は、自分が大物になったように振る舞う。周りの鶏もその鶏に一目置くようになり、順位も逆転する。ところが、この作り物のとさかを取り除き、元通り自分の小さなとさかだけにすると、一気に順位が転落するのである。鶏のとさかは、鶏自身を過信させるのだ。
人間は複雑な生き物だと思われているが、動物と共通する非常にシンプルな一面も持ち合わせているのではないだろうか。インターネットによって、正しいように見える情報が苦もなく手に入ってしまうと、あたかも自分の知識が増えたような錯覚を起こし、自分の能力を過信してしまう。それも「人間の動物的な一面」なのかもしれない。
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