2016年05月06日
眠気がメジャーリーガーのパフォーマンスと将来を大きく左右していた
プロスポーツ選手にとって、日中どれだけ眠くなるかということが、何年後かのキャリアに関係することをご存知だろうか?
日中眠気を感じないメジャーリーグ選手に比べ、夜きちんと睡眠をとっているにもかかわらず、眠気を感じてしまう選手ほど、2年後の所属チーム離脱率が高いという。
■プロ野球選手40人に睡眠調査を実施
アメリカの睡眠専門医であるクリストファー・ウィンター氏の主導で、日中の眠気が、2年先のプロ野球選手のキャリアに関係しているかどうかの調査が行われた。
調査対象はメジャーリーガー40人。2009年のシーズン前に、睡眠時無呼吸症候群のチェックにも使われる「エプワース眠気尺度」で日中の眠気を自己評価してもらい、その2年後の2011年にも、同じ選手のステータスを調べた。
ステータスは3種類に分類され、
・2009年時の所属チーム
・同程度の規模を持つ別のチームに所属していた場合は「活動中」
・マイナーリーグへ降格した、どことも契約していない、野球選手として活動していない状態のいずれかに当てはまる場合は「休止中」
とした。
■眠気が強いほど2年後のチーム離脱率が上昇
結果、2011年には40人中15人(全体の37.5%)が「休止中」のステータスに変わっていた。これはメジャーリーガーではごく一般的な割合と言える。
ところが、エプワース眠気尺度の点数の悪さと離脱率には明確な相関があった。エプワース眠気尺度は、点数が高くなればなるほど睡眠に問題があるとみなされるテストだが、24満点中8点以上だった選手の場合、離脱率は57%、9点以上だと70%、10点以上だと86%まで上昇したのだ。
日本では11点以上で「病的なレベルで眠気を感じる」とされ、専門家による診察も推奨されるという。
■眠気による疲労や集中力の低下が原因か?
日中に起こる過度の眠気は、集中力の低下、食欲の低下、精神状態の悪化、疲労などを引き起こす。
ウィンター医師らは、ナショナルフットボールリーグ(アメリカンフットボールのプロリーグ)の選手55人にも同様の調査を行ったが、日中の疲れが少ない選手の56%が在籍していたチームに所属し続けていたのに対して、より疲労していると答えた選手は38%しか元のチームに残っていなかった。
常に万全のコンディションを保っていなければならないプロのスポーツ選手にとって、日中の強い眠気はパフォーマンスを低下させる十分な原因になるだろう。
この記事で紹介した2つの研究はどちらもプロ選手を対象としたものだが、アマチュアレベルでも同じ結果が得られる可能性は十分にある。
アスリートを選ぶ際、本来ならば今までの成績や能力テストなどを参考にすることだろう。しかし今後、日中の眠気が重要な指標として使われる日が来るかもしれない。
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