2015年12月22日
酢豚にパイナップルを入れる理由は中国にある?
中華料理の酢豚に「パイナップル」が入っていることがありますね。このパイナップルですが、酢豚に入っているのを「好きだ」という人は……正直あまりいないのではないでしょうか。でも、なぜ酢豚にパイナップルが入るのでしょうか!?
■パイナップルは「菠蘿」 実は歴史ある食材!
果物であるパイナップルがご飯のおかずに入っているというのは、日本人の目からするとヘンに思えますね。これは誰が工夫して始めたことなのでしょうか?
このパイナップル入り酢豚のレシピは日本で工夫されたものではないのです。「酢豚」発祥の地、中国で生まれたものです。『菠蘿古老肉』(ボールオグーラオロウ)という料理がそれです。この「菠蘿」は「パイナップル」という意味です。
勝見洋一先生の『中国料理の迷宮』によれば、パイナップルは歴史ある食材で清(1644年-1912年)中期にはすでにあったそうです。また、「清のはじめの頃までは、パイナップルの替わりに山芋を使っていた」(講談社現代新書版・同書P.254より引用)とのことです。
■日本人も酢豚が好きになった! そのレシピが日本に……
酢豚、またこの『菠蘿古老肉』は北京の人たちに愛された料理で、それを日本人も好きになり、満州(現在の中国東北部)を経由して日本に入ってきたのです。つまり、日本のパイナップル入り酢豚は、古く清朝中期に生まれたレシピを継承して作られたというわけです。
中国料理は「北京」「広東」「上海」「四川」に分かれる、なんて説明がされますが、実はそんな簡単なものではありません。私たちが普段日本で食べるいわゆる「中華料理」は「広東」料理の味をベースに日本ナイズされたものがほとんどなのです。
酢豚もまた、日本人の嗜好(しこう)が反映された、日本ナイズされた味になっています。最近酢豚にパイナップルが入っていないのも、「パイナップルが入ってるのはちょっと……」と思う人が多いことの表れなのでしょう。
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