2015年12月17日
眠っている間に英単語が覚えられる?
眠っている間に、英単語が覚えられたら苦労しないのに。テスト前に思ったことはないだろうか。眠っている間に脳に学習してもらい記憶に留めることを「睡眠学習」という。覚えたい内容を音声で再生し、眠りが浅いレム睡眠の間にだけ脳が記憶してくれるとのことなのだが、睡眠学習は本当に可能なのだろうか。
■睡眠学習は可能説が有力に
長い間、睡眠学習は不可能だとされてきた。「学習」をするときに神経から放出されるドーパミンという物質が、同時に「覚醒」も誘導すると考えられてきたからだ。
しかし、最近の研究で、動物はもちろん、ヒトにおいても様々な研究が行われていて、睡眠学習は可能なのではないかと考えられるようになった。
■サルも睡眠学習ができるかも!?
これまで、哺乳類における“記憶メカニズム”に迫る実験は、さまざまな種で行われてきた。サルにおける睡眠学習の研究が明らかになっているので紹介する。
徳島文理大学香川薬学部の桐野豊教授らの研究チームは、サルの睡眠学習の可能性につながる実験を行った。サルに音を聞かせ、音が鳴るのと同時に目に空気を吹き付けるということを繰り返した。目に空気を吹き付けると、サルは刺激を避けようとまばたきをする。1週間にわたりこの実験を繰り返すうち、サルは起きている間、空気の刺激がなくても音が鳴っただけでまばたきをするようになった。
実験中、偶然にもサルが居眠りを始めたので、桐野教授らは起こさずに実験を続けた。するとサルは、音が鳴るだけで閉じているまぶたをさらに強く閉じることが目の周りにつけた電極のデータ変化から分かった。起きているときのまばたきと同じ行動を取ったのだ。
つまり、起きているときに学習したことを眠っている間にも覚えていることがわかった。この逆ができれば、サルは睡眠学習ができるということになる。研究チームでは、眠っている時に学習したことを、起きてから覚えているかについても今後、探りたいと考えている。
■ヒトは睡眠中に学習できる?
イスラエルのワイツマン科学研究所などの研究チームは、「ヒトは眠っている間に学習することができる」と主張する。睡眠中の被験者にある特定のパターンの音を鳴らしながら、それぞれ違う匂いを嗅がせた。
いい匂いのときは強く鼻を動かし、臭いと感じる匂いのときは鼻の動かし方は小さいのだが、学習するうちに音を聞かせるだけで匂いがしなくてもそれぞれの鼻の動きをするようになった。そして、この行動は、目覚めた後も、同じように行うことができたのだ。“人間”は睡眠学習ができるということなのかもしれない。
■さらなる高度な学習へ、高まる期待
ここで紹介したのはあくまでも匂い、音などへの反応という話のため、英単語などを寝ながら覚える、などという高度な学習はまだ少し先の話かもしれない。しかしこの実験結果を見ると、テストの前日でも、余裕でぐうぐう寝ていられる日への期待を持たずにはいられない。
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