2015年08月18日
政府の言う「遺憾」はどこまで強い非難なのか?
国際間の外交では、相手を非難することも出てきます。ニュースなどで「遺憾の意を表明した」なんて表現がよく使われますが、これはどの程度の非難なのでしょうか。今回は、外交プロトコルによる「非難の表現」についてです。
「外交」は独自の世界で、儀典上の表現というのが決まっています。これを一般的に「外交プロトコル」といいます。例えば、外国から要人が来た際にはどのように迎えるか、服はどのようにすべきか、などは外交プロトコルで決まっているのです。
「非難の表現」も外交プロトコルで決められているのです。「非難」の度合いが強い順番に並べると下のようになります。
■外交プロトコルによる非難の表現
断固として非難する
非難する
極めて遺憾
遺憾
深く憂慮する
憂慮する
強く懸念する
懸念する
「遺憾」は、上から4番目の表現で、非難の表現として中くらいということになります。外務省の文書検索をしてみますと、以下のように検索結果が出てきます。
断固として非難する:454件
極めて遺憾:626件
深く憂慮する:282件
強く懸念する:1,820件
※……結果は記事制作時のものです。
これを見ると一番強い表現の「断固として非難する」はやはり少ないことが分かります。そこまで強く言うことはよほどのことがない限りないようですね。
ちなみに「遺憾」は、本来「思いどおりに運ばなくて残念である」ぐらいの意味で、相手を非難するときだけではなく、第三者の行為について、また自分の行為についても使ったりします。また、この「遺憾」には謝罪の意味があるわけではありません。
アメリカではどうかといいますと下のような表現が使われます。
■アメリカで使われる非難の表現
condemn(非難する)
disappoint(失望した)
deplore(憂慮する)
concern(懸念する)
regret(遺憾である)
意外なのは「disappoint」がかなり強い表現であることです。『さよなら絶望先生』という漫画に「絶望した!」なんて表現が出てきますが、「失望した!」は上から2番目の表現に当たるのです。
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