2015年08月05日
500円玉×100枚で、5万円のものが買えないってほんと?
電子マネーが普及したとはいえ、必ずといってよいほど財布に入っている「小銭」。消費税の計算がメンドウになったことも相まって、気づいたら大量の硬貨を持ち歩いていたなんて経験は誰にでもあるだろう。
バカげた質問に思えるだろうが、500円玉100枚で5万円(税込み)の物は買えるのか? 合計金額が合っていても20枚を超えているので、売り手が「受け取れません」と拒否することができる。逆に、紙幣には強制通用(きょうせいつうよう)力があるので、5,000万円の高級車を千円札5万枚で支払っても、文句を言われる筋合いはないのだ。
500円玉×100枚で、5万円のものが買えないって本当?「硬貨で支払えるのは13,320円まで」
■硬貨で支払えるのは13,320円まで
日本のお金の正式名称は、
・紙幣/お札 … 日本銀行券
・硬貨 … 貨幣(かへい)
で、この2つを合わせて「通貨」と呼ばれる。どちらも「お金」に違いないが、おもしろいことに異なる法律に基づいて運用されている。
貨幣のベースとなる法律は「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」で、2002年の改正以降は500円/100円/50円/10円/5円/1円の6種類、国家的な行事の「記念メダル」なら1万円/5千円/千円を作ることができる。
東京オリンピックを記念して2,020円玉が登場するのかと期待していたが、残念ながらこの法律が改正されない限りムリだ。
お札との違いはなにか?と問われれば、「形が違うだけ」と考えるべきで、500円玉を100枚集めれば1万円札・5枚と同じ「価値」を持つ。ところが、5万円の商品を買おうと500円玉・100枚を支払っても、売ってもらえないこともあるのだ。
これは7条(法貨としての通用限度)で「額面価格の20倍までなら法貨として通用する」と定められ、言い換えれば21枚以上は「オカネ」扱いされないとも表現できる。欲しいものを買おうと小銭が詰まった貯金箱を持っていっても、20枚を超えていると「売れません」と拒否されても文句がいえないのだ。
自動販売機も同様で、タバコを買おうと10円玉を投入し続けても20枚で「打ち止め」になり、それ以降はダイレクトに返却口送りにされる機種も実在する。
ただし、
・最大20枚は「同じ種類の硬貨」の意味
・受け取る側がOKなら、20枚超で支払っても問題ない
現在の6種類の貨幣を合計すると666円、それぞれ20枚までOKなので13,320円が上限となる。もし小銭でいっぱい貯まったら、まずは貨幣を預けられるATMで預金、紙幣を払い戻してから買い物すれば、だれにもメンドウをかけずに済む。
■「契約自由の原則」が法律を超える?
お札と呼ばれる日本銀行券は「日本銀行法」がベースとなり、貨幣とは真逆のルールがある。枚数に制限はなく、たとえ1万枚でもOKなのだ。
日本銀行法・46条-2には「日本銀行券は、法貨として無制限に通用する」の定めがあり、これは強制通用(きょうせいつうよう)力とも呼ばれ、貨幣のような上限がない。たとえ5,000万円を千円札・5万枚で支払っても、なにも問題がないのだ。
ただし「契約自由の原則」によって、契約内容は当事者同士で決められるので、売り手が「クレジットカードのみ」「お札は100枚まで」などと示していれば、いくら強制通用力だと騒いでも何の効力も持たない。硬貨・21枚でも買い手がOKなら契約が成立するし、「2,000円は使えません」な自動販売機も違法ではない。
知人に借りたお金をすべて2,000円札で返しても法律上問題はないが、「嫌がらせ?」と思われても当然なのでヤメにしておこう。
■まとめ
・硬貨の正式名称は「貨幣」、お札は「日本銀行券」
・20枚を超える「同じ貨幣」は、受け取りを拒否できる
・日本銀行券には強制通用力があるので、何万枚支払っても問題ない
・「2,000円札お断り」のお店があっても「契約自由の原則」でOK
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