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通販の「誤発注」は取り消しできるか?

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コンビニや売店でときどき世を騒がせる「誤発注」。保存のきかない食品を誤って10倍も発注し、買ってください的なメッセージが物議をかもしているが、重大な過失がなければ注文を取り消しができるのはご存じだろうか?

仕入れもショッピングも「注文」は意思表示と呼ばれ、勘違いなら錯誤(さくご)として取り消しを求めることができ、買う側に重大な過失がなければキャンセルできる。

ネット通販はさらに売り手に厳しく、注文を修正する方法や「本当に買います?」的な確認がないといけないルールが存在する。「カートに入れる」から「注文を確定」まで何段階もあるのは、売り手の過失にならないための工夫なのだ。

■勘違いならキャンセルOK!

人間なら誰でもミスを犯す。私生活なら「以後気をつけます」で済むだろうし、職場で失敗しても上司のお小言で済まされる場合が多い。契約や売買では絶対に許されない!と多くのひとが思うだろうが、なんと取り消しできるルールがある。

民法・95条(錯誤(さくご))だ。

錯誤とは「思っていること」と「事実」が違う状態を指し、つまりは「うっかり」や「勘違い」ミスを意味する。民法・95条を要約すると、

・意思表示に錯誤があった場合は、無効にできる

とされ、20個のつもりが注文書に200個と書いてしまった、10万円を1万円と見間違えて注文したなどをキャンセルできるルールが存在する。「売ります」も意思表示になるので、間違えて安い値段を表示してしまっても、この金額では売れません、が通用するのだ。

ただし、意思表示したひとに重大な過失があるときは、無効を主張できないとのただし書きがあり、ちゃんと確認しなかった場合は「あなたのミス」とされキャンセルできない。ここまでを整理すると、
・うっかりミスは取り消しできる

・確認を怠るなどの重大な過失があると、キャンセルできない

となり、確認不足を「うっかり」ととらえると矛盾が生じる。数量の書き間違えも、注文する前の最終確認も、「うっかり」とも「過失」とも表現できるので、「ワタシの錯誤なのでキャンセル」と主張しても、認めてもらえない可能性もあるのだ。

■ネット通販では「買います?」の確認が必要

ネット通販の場合、売り手にはさらに厳しいルールがあり、たとえ買う人のミスでもキャンセルを認めなければいけない仕組みになっている。

これは電子契約法・3条(電子消費者契約に関する民法の特例)で、

・ネット通販などの「電子消費者契約」では、民法・95条は適用されない

とされ、「リアル・お客様は神様状態」になっているのだ。

ただし、これでは消費者に都合が悪すぎるので、

・「確認画面」を設ける

・買う側が「確認画面は不要」と意思表示する

の場合は除外され、注文したひとのミスでキャンセルできないとしている。お店で買い物をするときに「本当に買いますか?」と聞かれたらアタマに来るだろうが、ネット通販ではこれが不可欠で、さもないとキャンセル天国になってしまうのだ。

多くの通販サイトでは、

・カートに入れる/カート内を確認する

・レジに進む

・注文を確定する

と、数ステップを踏まないと注文できないのはこのためで、もし「錯誤でした」と主張されても、何度も確認したでしょ!と言い返すことができる。まどろっこしく感じるひとも多いだろうが、確かにうっかりミスを防ぐには有効であり、これが作法なのだ。

もし間違えて10倍の数量を注文しても、売る側がOKしない限り取り消せないので、しっかりと確認してから「注文」をクリックしよう。
■まとめ

・うっかりミスなら、注文をキャンセルできる

・確認不足などの重大な過失があった場合は、取り消すことができない

・ネット通販では、売る側が「確認」を求めなければいけないルールが存在する




タグ:生活

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