有酸素運動という言葉はよく聞くし、なんとなく健康やダイエットによさそうなことも知っているかとは思います。ここではそもそも有酸素運動とはなんなのか、効率の良いやり方はなんなのかについてまとめてみました。
有酸素運動とは
有酸素運動とはなにか
運動は、「有酸素運動」と「無酸素運動」の2種類に分けることができます。
有酸素運動というのは長時間に軽度から中度ほどの力をかけて行う運動で、たくさん酸素を必要とします。取り込んだ酸素を使って、体に蓄えられていた脂肪や糖質を結合し、エネルギーに変え、燃焼させるという仕組みになっているのです。
代表的な運動といえばウォーキングや水泳などがあります。
無酸素運動は酸素をあまり必要としない運動のことをいいます。代表的なものといえば筋力トレーニングや短距離走などが挙げられます。短時間に強い力を使う運動なので、素早くエネルギーにかわる糖質がエネルギーの主原料になり、効果的に筋肉を鍛えることができるのです。
有酸素運動の例
有酸素運動の例としては、ウォーキング、ジョギング、水泳などがあります。いずれも運動開始から20分経つと脂肪が燃焼され始めるといわれていますが、開始5分からでも燃焼され始めることがわかってきました。
ただ、20分からさらに燃焼効果が上がるとのことだそうです。有酸素運動をこれから始めるという人は1日20分から30分を目安にはじめてみることをおすすめします。
1、ウォーキング
有酸素運動といえばウォーキングを思い浮かべる人は多いかと思います。特別用意するべきものはいらず、思い立ったら今からでもできるので、これから有酸素運動を始めようと思っている人には一番おすすめの運動です。
ウォーキングをするときは目線はまっすぐ前で背筋を伸ばし良い姿勢で行いましょう。下腹に力を入れ、ぐっと引き締めて、腕を振りながら歩くといいです。歩く速度は若干の早歩きをしましょう。
だらだら歩いていても効果はありませんので、少しだけキツイなと感じるくらいの早歩きがおすすめです。体型や性別でも変わってきますが、30分間早歩きをした際に消費できるカロリーは約130〜160kcalです。
2、ジョギング
有酸素運動の中でもダントツに脂肪を燃焼してくれるのがジョギング(ランニング)と水泳です。よくジョギングは朝と夜どちらにやるのが効果的かと言われていますが、どちらの時間帯に行ってもダイエットの効果は同じです。
しかし、朝と夜ではメリットが違ってきます。
朝ジョギングのメリットとしては、日中の活動の能率がアップしたり、継続のしやすさから健康に良い習慣が身に付きます。
夜ジョギングのメリットとしては1日のリセットができてリフレッシュできるほか、食欲を抑えてくれたり、夜寝付きやすくなります。
また、走るタイミングとしては食前をおすすめします。もし、食後に走るのであれば食後2時間経ってから走るといいでしょう。
こちらも性別や体型によって変化はありますが、30分間ジョギングをした際に消費するカロリーは約200〜260kcalです。
3、水泳
ジョギングと並んで消費カロリーが大きい有酸素運動が水泳です。泳げない人でも、水中を歩くだけでカロリーを消費します。水圧による抵抗のため体に負荷がかかり、同じ時間陸上で歩くよりも約2倍の効果があるのです。
足だけに負荷がかかっているように感じると思われていますが、実は全身の筋肉をつかっているので、水中ウォーキングはまんべんなく脂肪を燃焼できるのです。まず脂肪を燃やしたい人や初心者の方は水中ウォーキングからはじめてみるといいでしょう。
また、水中ウォーキングに慣れてきたり、体を引き締めていきたい人は消費カロリーの多い、クロールや平泳ぎにも挑戦してみましょう。クロールや平泳ぎをして水中を大股で歩くというのを交互にするメニューもおすすめです。
性別や体型によっても変わってきますが、だいたい1時間あたりの消費カロリーは、水中ウォーキングが約200〜400kcalで、クロールだと最大で約1300kcal、平泳ぎだと約600kcal消費します。
有酸素運動がもたらす効果とは?
有酸素運動をすると生活習慣病の予防になったりストレスを緩和させてくれたりと様々なメリットがあります。
その中から6つご紹介いたします。
1、脂肪が燃焼される
有酸素運動をすると、開始から5分ほどで脂肪が燃焼しはじめ、20分あたりからさらに効果は倍増するとされています。脂肪が減ることでダイエットになるほか、生活習慣病の予防などにもなるのです。
2、病気の予防や改善
有酸素運動をすることによって、血液中の糖質をエネルギーにかえるので血糖値を下げることに繋がり、生活習慣病である糖尿病を予防したり改善したりすることができます。
また、中性脂肪や悪玉コレステロールを減らす効果もあるので血液がサラサラになります。すると、動脈硬化を防ぐことに繋がるので、心筋梗塞や脳卒中、脳梗塞などの生活習慣病も防ぐことができます。
3、ストレスの発散
体を動かすことがそもそもストレスの発散には効果的で、無酸素運動より有酸素運動が効果的です。無酸素運動は短期間に強めの負荷をかけるので、やりすぎてしまうと辛さを感じてしまい、ストレスに繋がることがあります。
有酸素運動は長時間に軽度から中度ほどの無理のない気持ちいい程度の負荷をかけるので、体がリフレッシュでき、ストレスの発散になるのです。
4、睡眠を促進してくれる
運動をすることによる適度な疲労には睡眠を促してくれる効果があります。適度な疲労によって効果があるので運動時間が短くても長すぎてもいけません。だいたい30分から1時間の間にとどめておきましょう。
また、眠る直前に運動をしてしまうと逆に眠れなくなってしまうことがあります。眠る3、4時間前までには終わらせておきましょう。
5、疲労解消
有酸素運動をすると足の筋肉が強化されて、ポンプのような働きをすることによって血液の循環をよくし、心臓の負担を減らしてくれます。そのとき一緒に乳酸などの疲労の原因である物質も流しているので疲労の回復がはやくなります。
また、有酸素運動が疲労を生まない運動なので疲労解消には適しているといえるのです。
6、脳にもいい
基本的に有酸素運動をすると血行が良くなります。すると脳へめぐる血行もよくなるので栄養分や酸素が十分に行き届き、頭の回転が速くなります。脳が活性化され、記憶力がアップするなど、ボケ防止にも効果的です。
なぜ有酸素運動をするとダイエットに繋がるのか?
ダイエットを成功させるには内臓脂肪や皮下脂肪を落としていかなくてはいけません。運動をすることで脂肪が燃焼されることはご存知かと思いますが、なぜ無酸素運動ではなく有酸素運動が効果的なのでしょうか?
そもそも、エネルギーに使うものが違い、無酸素運動が筋肉をエネルギーに変えるのに対し、有酸素運動は脂肪をエネルギーに変えます。よって、無酸素運動よりも有酸素運動の方がダイエットに適しているといえるのです。
そして、その脂肪をどうやって有酸素運動で燃やしていくかというと、まず血液中のエネルギーを不足させるところから始めなければいけません。
先程説明したように、有酸素運動は脂肪をエネルギーに変えますが、まず優先してエネルギーに変わるのは血液中の脂肪なのです。体についてしまった内臓脂肪や皮下脂肪は、エネルギーとして使われることがなかった脂肪が蓄えられたものです。つまり、運動不足がたたった結果なのです。
運動することにより、血液中の脂肪が不足すると、蓄えられていた内臓脂肪や皮下脂肪がやっと燃焼され始めます。よって、少し運動をしただけでは脂肪は燃焼してくれないのです。最低でも20分以上は有酸素運動をするようにといわれているのもそのためなのです。
健康促進のために有酸素運動を行うなら知っておくべき「運動強度」って?
運動強度とは
有酸素運動をするうえで大切になってくるのが運動強度です。運動強度とは運動の激しさを尺度として表したものです。
運動強度というものは低度・中度・高度に分けることが出来ます。また、個人の肉体への負担を表したものなので、同じ運動量であっても運動強度は違ってきます。
運動強度の測定は心拍数と年齢で計算します。まず知っておくべきなのが最大心拍数です。
[推定される最大心拍数] = 220 – [年齢]
例えば40歳の方の場合、220‐40なので180が最大心拍数となります。
低度の運動強度は最大心拍数の40〜50%で汗もかかず比較的楽な状態です。
中度の運動強度は最大心拍数の50〜70%で少ししんどいと感じる程度です。
高度の運動強度は最大心拍数の70〜85%は激しくて、息遣いも荒くなり汗が噴き出ます。
心拍数を測るときは脈を測るよりも心拍計を使用するのが便利です。
有酸素運動をしているのに痩せない理由は?
有酸素運動をしているのに痩せない理由としては先程説明した運動強度が大きくかかわってきます。痩せようと思い、自分に鞭打って運動強度を上げることもあると思います。
例えば、ランニングだとしんどいけど早く走ってみたり、息は荒いけど距離を伸ばして無理してみたりなどです。一見、とても頑張っているしすごく痩せそうですが、実は人間の体は苦しくなるほど激しい運動をしてしまうと、早くエネルギーを作らねば!となり、脂肪よりも先に糖質をエネルギーに変えてしまうのです。
一番効率よく脂肪を燃焼する運動強度は最大心拍数の60〜80%といわれています。まずは60%から試してみて、慣れてきたら70%、80%とあげていくといいでしょう。これ以上あがってしまうと脂肪燃焼効果が減少してしまうので、無理のない程度に有酸素運動をするようにしましょう。
有酸素運動をする時の注意点
有酸素運動をこれから始めるにあたって注意しておきたいことは、水分補給と準備運動をしっかりすることです。特に持病をお持ちの方は、かかりつけの病院でご相談の上始めるようにしましょう。
1、水分の補給をする
運動をする前にはしっかりと水分を補給するようにしましょう。有酸素運動はたくさん汗をかくため、水分が足りていないと、血液中の水分が足りなくなり、血がドロドロになって代謝が悪くなります。すると、脂肪の燃焼効果も減少してしまうのです。
また、血流が悪くなることで心筋梗塞を起こしてしまうこともあります。だいたい1時間運動をするときはコップ1杯分ほどの水分をあらかじめ摂取しておきましょう。
そして、水分と同時に塩分を摂取することも大切です。水分と塩分、どちらも取っておかないと体が塩分濃度を保つためにせっかく摂取した水分を排出しようとしてしまい、脱水症状を引き起こし、熱中症になることもあるのです。
2、準備運動をする
運動を始める前は必ずストレッチをするようにしましょう。しっかり体を伸ばし、柔らかくしておかないと怪我をすることもあります。また、準備運動をすることで、脂肪の燃焼効果もアップします。運動が終わった後もストレッチをするとさらに燃焼効果が期待できます。
まとめ
有酸素運動をすると脂肪を燃焼してくれる効果があることがわかりました。しかし、運動強度が高すぎると無酸素運動になってしまい、脂肪燃焼効果が減少されてしまうこともわかりました。脂肪を燃焼しようとダイエットに励むのももちろん大切ですが、まずは、続けること、運動を習慣にするところから始めてみましょう。楽にできる程度で始めて、慣れてきたら徐々に運動強度を上げていくといいでしょう。