2020年06月22日
ゾンビの作法 もしもゾンビになったら
『ゾンビの作法 もしもゾンビになったら』とは、著:ジョン・オースティン、訳: 兼光ダニエル真による、ゾンビライフ白書である。
内容としては手形を押し付けるハンコのような手形の身分証明から始まり、食事の作法はないものの『脳味噌満喫ライフを目指す』ことを本書の目的に、知能が著しく低下したゾンビ達により作成された内容である。ゾンビの生態や狩猟行動を機密内容のためか、人間の手に渡ることを堅く禁じている。人生を棒に振ってまで幾多のゾンビたちから研鑽された知識の集約なので、当然といえば当然か。
【内容】
本文は大まかに述べて、人間を食料供給源としたサバイバル内容となっている。いかに生きて新鮮な人間の血肉や脳味噌を食らう手法、自分が本物のゾンビになったのか判別するための症例が事細かく記されている。以下はめんどいので、脳味噌(=人間)と表記することにする。
本書によれば、人間によるゾンビ対策は旧来のものでしかなく、時代遅れも甚だしいらしい。脳味噌はゾンビを恐れるあまり、(感染症と不死性を危惧して)その肉体を解体することがないので、その組成・組織などについてハッキリとした究明が進んでいないとか。確かに、ゾンビに対する脳味噌の防衛術は拳銃などによる一方的な殺戮が主で、ゾンビの元になるウイルスの開発を行っていても、被験者の調査は行われない傾向があるようだ。
第一章では「私はダレ」といった内容がタイトルされている。
人間からゾンビ化に伴う現象で、著しい知能の低下がみられるが、その原因はウイルス性痴呆症が原因だと力説されている。ヨダレをまき散らすなどのスキルが付与されるが、新鮮な脳味噌にありつく条件として、脳味噌は絶えず警戒心を以て武器を保有しているが、たどたどしい肉体動作でありながらもすでにリビングデッドとなった肉体には、ほぼ一撃必殺たる即死に至る方法がかなり限定されてるため、緩慢な動きの隙をついて攻撃が行われても痛覚がなく、脳味噌にありつくことが可能。
ゾンビとは社会から情報抹殺された存在しない存在であるため、「セキニン」とかいう負債はなく、思うように行動が可能。
税金を払わなくて良い、仕事・貯金・ダイエット・衛生管理なんぞ、ゾンビにとってはカンケーのない話である。
ゾンビ史上では、尻からクソを垂れ流しながら未来に邁進しなくてはならないと力説されている。これまで人類社会の滅亡に(知能が低下している所為か)達成できていないが、堂々とゾンビライフを満喫しなくてはいけない。
先史時代では、ゾモ・サピエンスがよろよろとした感じで約20万前に登場し、腐乱臭をまき散らし、コミュニケーション能力が欠如しているため、共食いを繰り返しながらゴキブリのようにしぶとく生存していた。
ゾモ・サピエンスの進化の傾向としては人間の集落へ突入する中で、
260万前には「ソミノッド・ブラメイト」
230万前には「ゾモ・ハビネス」
180万前には「ゾモ・エレクトゥス」
20万前には「ゾモ・サピエンス」
が登場し、現代でよく知られる既知のゾンビへ進化したという推移が表記されている。
ゾンビの歴史は常にホモサピエンスの脅威に晒されており、意味不明なレベルで石器道具による駆逐などの憂き目にあっている。武装した脳味噌たちは快楽目的でゾンビをジェノサイドしてきた。
この過酷な環境ゆえ、のろのっろとするだけのゾンビは進化を余儀なくされ2000代の現代社会に明確な脅威として、進化・発展するものだと当時の脳味噌たるホモサピエンスは予想すらしていなかった模様。脳味噌がチンパンジーではなく、温厚なボノボの系統遺伝子を色濃く引き継いでいれば、斯様な惨劇を招くことはなかったであろう。
脳味噌たちに虐げられてきたゾンビたちは脳味噌に対抗すべく、アドレナリンの過剰分泌(後に苦痛の鈍化につながる要素)、吐瀉物の排出距離の飛躍など、脳味噌たちにはみられない独自の進化を知性を捨てる代償として、本能(主に食欲と攻撃性)を会得したのであった。
約150年万前、ゾンビたちは昼の時間帯を主な活動時間としている連中に夜襲攻撃行ったところ、夜間という暗がりが幸いしてか、一時期脳味噌は存続の危機に危ぶまれることになるが、旧来のゾンビは本能を優先し、知性がないために野心といったものがなく、脳味噌が行っているように、ウシやヒツジなどの家畜化などは行えなかった模様。
脳味噌はこれ以上ゾンビの蹂躙と我が種族の子孫繁栄のため、住処していた区域から大幅に距離取るをという行動を行う。そもそも人類は他の動物類とは異なり、氷河期マンモスを食料としていた事実から、類稀なる驚異的な体力を保持していた。そのため、クソ愚鈍なゾンビたちから逃れることに成功したものの、脳味噌の中にすでにゾンビ仲間入りとなるウイルスに侵されていたためか、同士討ちのような惨状になるだけに留まらない。
アフリカ大陸を定住としていた第一民族はナイル川を隔てて北上し、アジア南部へ移動。無論ゾンビたちも追いかけようとするが、持ち前の腐敗による運動機能能力の筋力低下により置いてけぼりにされてしまい、アジア方面へ逃亡した脳味噌を追撃したゾンビたちがどうなったか、歴史の闇に葬られてしまうことになる。
第二の脳味噌は紅海を渡り、東へ移動。やがてインド付近に到達した脳味噌はゾンビに常に追随されており、北方アジアのベーリング地にまで追い込まれることになる。しかし北極大陸というツンドラ地域でゾンビの活動は、脳味噌よりも非常に過酷なものであり、自滅する結果となった。脳味噌たちは、ゾンビを置き去りに北アメリカへ逃亡した模様。
そして第三の脳味噌の逃亡方向である南は、ゾンビたちにとってごちそう溢れる豊満なテーブルであった様子。ゾンビの群れは指数関数的にその数を増加させ、旧人類を食いつくし、唯一ながらも大勝利を収める結果となったのである。
脳味噌たちのアフリカからの大規模移動により、ゾンビがストーカーの如く追跡して回ったことから、秘かにパンデミックが根強く蔓延るゾンビウイルスであるが、その正体が明らかになったのは比較的近代であり、これまで迷信といった空想上の産物としか見られていなかった。
ゾンビの存在が明らかになったのはおよそ五百年まえの16世紀の西部アフリカからコロンブスたちや幾多の奴隷承認によって拉致された奴隷たちにより、白日の元、明らかになった。
コーヒーやたばこなどの栽培などによって疲労困憊とした奴隷たちは、ゾンビたちからすれば恰好の餌食であった(とはいっても、職務内容だけは日本のブラック企業に比べればかなりホワイトだが)。
脳味噌たちの虐待などは日常茶飯事であった為、ゾンビに食い荒らされる奴隷たちの悲鳴など注目されるわけもなく、問題は無問題となる。しかしアンデットの食い倒れ謝肉祭を目撃した生き残りの密告により、ゾンビの存在が再発見され、奴隷たちは農具を武器に立ち振る舞うことになる。
しかし、奴隷の支配階級であった脳味噌は野生動物により仕業だと判断するも、酩酊したかのような足跡を元にゾンビの存在を認めなくてはいけなくなったのである。
ゾンビは泥酔状態の人間や薬物依存症、病人、中二病などのなんちゃってゾンビがいるもの、おろかにもゾンビの存在を認めない脳味噌がいるお陰で、復刻再臨を狙うように虎視眈々と地球の支配者としての地位を狙っている。
人類には人間と異なり知性と知恵があり、化学や薬品、兵器などの開発を絶え間なく行っている所為で、ろくに文化を持たない本能のみで動くゾンビと比較して、所持している力に大きな隔たりがあるものの、決して覆すことのできないものではないことを忘れてはいけない。
ゾンビの歴史として、
紀元前20万―ゾモ・サピエンス(ゾンビ属ヒト科ヒト系ゾンビ)の誕生。
紀元前4万年―アフリカから、初アンデットの移住活動開始。
紀元前9600年―アトランティスの滅亡に成功。
紀元前3000年―ストーンヘンジの征服。
紀元前480年―テルモピュライの戦争。
紀元前250年―万里の長城突破。
西暦717〜728年―ゾンビ第二次コンスタンチノーブル攻防戦。
西暦1340年―黒死病(欧州ゾンビ・パンデミック)。
西暦1527年―インカ帝国殲滅。
西暦1871年―イースター島攻略。
西暦1920年―失われた神秘の街「Z」を発見するも、後に捕食される。
西暦1942〜1944年―レニングラード・ゾンビ包囲網。
西暦2009年―豚インフルエンザ(ゾンビの疫病、即発に向けての第一段階目)。
など、脳味噌たちとはゾンビとは無関係と思える社会的事象に秘密裏に潜伏しているのであり、その歴史は有史以前から続いていたものであるため、油断して良いものではないのだ。
アポトーシスとしてゾンビでもない脳味噌が、ゾンビウイルスの発明を行っているなどの行動が散見される。
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