2021年07月19日
桜の森の満開の下
桜の森の満開の下とは、坂口安吾により執筆された短編小説。
短編小説とあるように小一時間で内容を読破することが可能である。
近頃は桜の花の下といえば人間がよろ集まって酒をのんで喧嘩していますから陽気でにぎやかだと思い込んでいますが、桜の花の下から人間を取り去ると怖ろしい光景になりますので、能にも、さる母親が愛児を人さらいにさらわれて子供を捜して発狂して桜の花の満開の林の下へ来かかり見渡す花びらの陰に子供の幻を描いて狂い死して花びらに埋まってしまう(このところ小生の蛇足)という話もあり、桜の林の花の下に人の姿がなければ怖ろしいばかりです。
桜の森の満開の下のストーリーは、雅も綺麗も分からない無頼漢そのものである盗賊の男は花が嫌いで、花の下は「ごうごうと風がなり、自分の足音だけが響く寂しいところ」だと思っており、毎年花の下に赴くのだが気が変になりそうになりながらも、毎年毎年、花の咲く季節になれば同じ行動を繰り返すといった、後悔を知らない行動を起こしている。
そんな山賊であるが、ある日いつもの通り、京の都から降りてきた旅人(亭主)を殺めるのだが、奇妙な感覚に襲われる。
はじめは亭主を殺すつもりはなかったのだが、亭主の女があまりにも美しい美貌をしていたために、思わず殺めてしまったのであった。山賊の男は女に対して「お前は今日から俺の女房だ」といい家に連れ帰るのだが、そこには亭主の女を攫う前から誘拐していた幾人の女がいることが発覚する。
亭主を殺された女は「女房は私一人だけじゃなかったのか?」と問う中、山賊の男はどうにかうまい切り返しが出来たものの、女はそれだけでは誤魔化されてはくれなかった。硝子のような綺麗な声で「他の女を殺せ」と命令をして、男がかつての妻を殺める中、キャラキャラと笑っているのである。
最後の一人になったびっこ(足が悪い)女を殺そうとしたときに、女は「もういい。その女は私の女中にする」といい、殺戮は一旦静まる。女の格下と看做した人物だけ殺さないように命じる姿は女性特有のいやらしさを感じらせるものとなっている。
それから、女と山賊の男は山での生活を送ることになるのだが、男はほぼ女の言いなりで、びっこの女も草の根をかき分けて、ごちそうを振舞うも満足することはない。食べ物以外でも、常に身だしなみを整えさせ綺麗な姿でいることに拘り、山賊の男が触れようとすると、ピシャリと跳ね除ける始末である。
女はそれだけに留まらず、山での生活を窮屈に思い、都に帰りたいと男に日頃から不満を口にして、とうとう根負けしたのか山賊は承諾してしまう。
しかし都に行くにはひとつだけ条件があり、「桜の花が咲いたら」を女に示すのである。男としては「いつもなら花の下で恐れをなして逃げてしまうが、次こそはどっしりと構えて腰を落ち着けてやる」といった克服という名の気兼ねなのだが、いくら仲の良い人間同士でも、この山の桜の木の下を通りかかると、恐ろしい花の下から逃れるため仲違いが発生してしまう場所とは知らずに、女は山賊の男に対して冷笑を浮かべるのみであった。
相手を小馬鹿にする笑い方は、「刀で斬っても斬れないような…」と男にモヤモヤとした感想を抱かせることになる。
都に行く前、男は一人で桜の花の下に赴くのだが、決意も空しく狂乱しながら逃げ帰り、まるで悪夢を見たかのような状態になっていたのである。
桜の森の満開の下 2へ
短編小説とあるように小一時間で内容を読破することが可能である。
【内容】
近頃は桜の花の下といえば人間がよろ集まって酒をのんで喧嘩していますから陽気でにぎやかだと思い込んでいますが、桜の花の下から人間を取り去ると怖ろしい光景になりますので、能にも、さる母親が愛児を人さらいにさらわれて子供を捜して発狂して桜の花の満開の林の下へ来かかり見渡す花びらの陰に子供の幻を描いて狂い死して花びらに埋まってしまう(このところ小生の蛇足)という話もあり、桜の林の花の下に人の姿がなければ怖ろしいばかりです。
(本書から抜粋)
桜の森の満開の下のストーリーは、雅も綺麗も分からない無頼漢そのものである盗賊の男は花が嫌いで、花の下は「ごうごうと風がなり、自分の足音だけが響く寂しいところ」だと思っており、毎年花の下に赴くのだが気が変になりそうになりながらも、毎年毎年、花の咲く季節になれば同じ行動を繰り返すといった、後悔を知らない行動を起こしている。
そんな山賊であるが、ある日いつもの通り、京の都から降りてきた旅人(亭主)を殺めるのだが、奇妙な感覚に襲われる。
はじめは亭主を殺すつもりはなかったのだが、亭主の女があまりにも美しい美貌をしていたために、思わず殺めてしまったのであった。山賊の男は女に対して「お前は今日から俺の女房だ」といい家に連れ帰るのだが、そこには亭主の女を攫う前から誘拐していた幾人の女がいることが発覚する。
亭主を殺された女は「女房は私一人だけじゃなかったのか?」と問う中、山賊の男はどうにかうまい切り返しが出来たものの、女はそれだけでは誤魔化されてはくれなかった。硝子のような綺麗な声で「他の女を殺せ」と命令をして、男がかつての妻を殺める中、キャラキャラと笑っているのである。
最後の一人になったびっこ(足が悪い)女を殺そうとしたときに、女は「もういい。その女は私の女中にする」といい、殺戮は一旦静まる。女の格下と看做した人物だけ殺さないように命じる姿は女性特有のいやらしさを感じらせるものとなっている。
それから、女と山賊の男は山での生活を送ることになるのだが、男はほぼ女の言いなりで、びっこの女も草の根をかき分けて、ごちそうを振舞うも満足することはない。食べ物以外でも、常に身だしなみを整えさせ綺麗な姿でいることに拘り、山賊の男が触れようとすると、ピシャリと跳ね除ける始末である。
女はそれだけに留まらず、山での生活を窮屈に思い、都に帰りたいと男に日頃から不満を口にして、とうとう根負けしたのか山賊は承諾してしまう。
しかし都に行くにはひとつだけ条件があり、「桜の花が咲いたら」を女に示すのである。男としては「いつもなら花の下で恐れをなして逃げてしまうが、次こそはどっしりと構えて腰を落ち着けてやる」といった克服という名の気兼ねなのだが、いくら仲の良い人間同士でも、この山の桜の木の下を通りかかると、恐ろしい花の下から逃れるため仲違いが発生してしまう場所とは知らずに、女は山賊の男に対して冷笑を浮かべるのみであった。
相手を小馬鹿にする笑い方は、「刀で斬っても斬れないような…」と男にモヤモヤとした感想を抱かせることになる。
都に行く前、男は一人で桜の花の下に赴くのだが、決意も空しく狂乱しながら逃げ帰り、まるで悪夢を見たかのような状態になっていたのである。
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