2021年07月07日
姑獲鳥の夏 2
うぶめの事――――――
世に語り伝ふる、うぶめと申す物こそ心得候はね。其の物がたりに伝へるには、産の上にて身まかたりし女、其の執心、此のものとなれり。其のかたち、腰より下は血にそみて、其の声、をばれう、をばれうと鳴くと申しならはせり。人死して後、他の物に変じ来たる道理候はば、地獄の事も、疑はしく存ぜられ候。如何に候やらん。
久遠寺の母は子供を見ると石で打ち殺すのですよ!
私を――助けて下さい。
ネタバレ
実は恋文の宛名は「梗子」ではなく「きょうこ(京子)」となっており、この「京子」の手紙を受け取った涼子に新しい人格が芽生える。涼子はとある人物によって、ダチュラ(朝鮮朝顔。猛毒。譫妄などの症状が発症する)を投与され、性的な暴行を受けていた。
彼は京子及び涼子と逢引きを重ねるにつれ、妊娠が発覚する。彼は彼女の両親に会うも断られ、彼女は我が子を出産するも無頭児であったために、久遠寺のしきたりで子供は石で叩き殺されることになり、院内で涼子は二度、三度と新生児の誘拐を繰り返した。
第二次世界大戦で集兵された彼はドイツの内乱で負傷。性器を破損し、子供を望めない身体になるも、体外受精による子供の妊娠法を考案していた。
事件当日、梗子は夫のありもしない出来事――真相は京子の人格を有した涼子が相手だった――錯乱し、夫を刺殺する。犯行動機は話の食い違いの末に起きた浮気が原因か。
関口が部屋の中で見た「きらり」と光るものは、凶器である刃物の光の反射であった。
そうして関口もダチュラを処方していた人物と同じことをし涼子に対する申し訳なさから、かつて京極堂の言っていた「人間は見たくないものは見ない」、榎木津が部屋を見て言った「警察に通報しろ」云々は、元々夫が部屋から出たわけではなく、死蝋化するまで室内に横たわっていたものであり、関口と、そうして実行犯である梗子らからしたら、突如出現するような形で現れた、古びた亡骸を再発見することになる。
事件の真相が明らかになったとき、涼子がまたしても赤ん坊を攫い、皆が追いかけていくのだが、関口の「かあさん」の一声で彼女は京子ではなく涼子としての人格を取り戻し、高所から落ちる形で死亡。
最後は京子ではなく、涼子に彼女は戻った。
後に、彼女は久遠寺因縁の無頭児であることが発覚する。
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